まずは服から直していくべきだと思います。
「お嬢様、令嬢の儀を無事に終えられましたこと、心よりお喜び申し上げます。しかし、本日はどのようなご用件でございましょう。」
にこやかに話しかけてくる女性こそがこの国の王妃も贔屓にしている「マドモア・ゼル」のオーナー「マダム・ベルタン」だ。
「ええ、少し聞きたいことがあってね。」
「わたくしで答えられることならどのような事でも聞いてくださいませ。」
…少し大げさな気もするがまあいい。それよりも私の目的は『あれ』だ。
「今の上流階級の女性はコルセットをきつく締めているでしょう?あのままだとどうなるのかしら?」
そう、コルセットだ。パーティーで見た限りではどの女性もみな、ぎゅうぎゅうに、それこそ触れると折れてしまうのではないかと言うほど締め上げていた。
私の推測だけれど、あんなに締めたら後々大変なことになると思うの。
「そうでございますね…まず初めに、コルセットをつける事で『折れそうな細い腰』を表現できます。腰を細くする事で全体的に華奢に見せております。」
成る程、つまり自分の価値を上げようとしているわけね。
「しかし、あれは骨に異常をきたします。内臓の位置も変わりますし、浅い呼吸しか出来ない為常に貧血状態でもあります。」
よくよく聞くと、この世界では『何かの拍子に失神するほど感じやすい繊細な女性である事が「よし」』とされていたらしく、中にはわざと意中の男性の前で倒れると言う女性もいるそうだ。
気絶した時用にどこの家にも『失神ソファー』が備え付けられてあるらしい。これは失神した女性を素早く寝かせるための形状をしているらしく、女性を移動させる側が寝かせやすいようにと配慮された作りだそうだ。
パーティーなどで失神した女性は、主に男性に所謂『お姫様抱っこ』をされ別室に移動し、失神ソファーに寝かされる。その後『smelling salts』と呼ばれる気づけ薬で目を覚まさせていたらしい。
「しかし、令嬢の儀を終えられたばかりのお嬢様にはまだコルセットは必要ありませんわ。そうですわね…6歳頃になられましたら柔らかいものを用いてコルセットに慣らされていくでしょう。」
「それなのだけれどね…」
「コルセットなしの服を浸透させようと思っている」と言った時のマダムは目をひん剥くかの勢いでポカーンと間抜けな表情を晒していた。
冗談じゃないわ。あんな苦しそうなもの、つけてなるもんですか‼︎
「お嬢様、では本当にコルセット無しの服を作られるのですか?」
「ええ。ゆくゆくは化粧方法も変えようかと思っているわ。」
その後、詳しく説明をした。ドレスの型はこんな感じで、素材はこんなのがいいわね。と言う具合で淡々と話していく私を横目に、マダムはただただ舌を巻いている様子だった。
「お嬢様は随分と早熟であられるのですね…」
何とか絞り出して紡いだと言った具合の言葉は心からの言葉だったようだ。
ええ、私も齢2歳にしてドレスの型や化粧方法などについて斬新なアイデアを出すような子供は自分自身で怖い、と思いますとも。
考えた服は、丁度帰ってきたお母様に相談したところ、お母様が次の公式パーティーである『建立記念パーティー』に着て行って下さるらしいので、お母様の好みに合わせたデザインで仕立てるように、と言いつけてマダムを帰した。
新しい形の服を作れるとなって、生き生きとした様子でそそくさ帰っていったマダムを見る限り当日には女神のようなお母様が見れるだろうと確信した。
次話投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした。
理由の方はもう1つの小説『悪役令嬢は絶対平和主義です』の方に掲載しております。
まず、これからは2日に1話投稿していこうと思います。
2つ目、この小説の最終目標は『書籍化』です。理由?そんなの自分が考えたキャラを具現化して尚且つ動かしたいからですよ( ˘ω˘ )
と言うわけで、今後とも『貴族令嬢の革命』をよろしくお願いいたします‼︎