何故この変態陛下から爽やか殿下が生まれたのでしょう
「アリキアナ公爵家当主レメーア・アリキアナ様、ご令嬢ヒュッレム・アリキアナ様ご入場‼︎」
あ、お父様の名前レメーアって言うのね。この2年生きてきて初めて知ったわ。
騎士がドアの前で声を張り上げ私たちの名を呼ぶ。私は緊張のせいか令嬢の儀に全く関係のないことを考えていた。しかし緊張も勿論あるが私は前世ではおしゃれが大好きだった。この世界は地球で言う中世ヨーロッパ時代のような感じ。どのような化粧をし、どのような格好をしているのかがとても気になる。好奇心で胸が高鳴りつつもそこは公爵令嬢。そんな態度などおくびにも出さずに冷静を装いお父様にエスコートしてもらいながら扉をくぐった。その先にはどんな華々しい光景が待っているのかと期待に胸を膨らませながら。
壇上にいき、これから見る華々しい光景に胸を躍らせながら顔を上げる。すると…
(な、何よあれ‼︎もはや幽霊じゃないの‼︎)
流石は王族の血を引く大公爵家令嬢のパーティーだけあって畳200畳分の部屋いっぱいに人が集まって居た。しかし私が見たのは予想して居た華々しく美しい光景ではなく、まるで前世で見た某ホラー映画の「貞○」の様な恐怖の光景だった。特に女性‼︎私も母も真っ白な肌をしているが私たちの様に生まれつきのものではない、明らか化粧をしている感満載の真っ白の肌に何か肌に…あれは…ホクロ?違う‼︎ハート型だわ!ハート型のホクロを描いてるわ‼︎それに白や赤、紫などのド派手な色をした盛りに盛られた髪‼︎それ何よ、あのほっっっそい腰は‼︎内臓上下にずれてるんじゃないの⁉︎どんだけコルセットしめているのよ‼︎
お母様は元々絶世の美女だから普段から薄い化粧をして居たのね…
お母様が22歳で妖精と呼ばれる理由がよく分かったわ。
私は何とか表情を隠してにこやかに挨拶をした。周りからは「まだ2歳だとは思えない」だの「なんと麗しい姫君だ」だの「これで未来の社交界の華も決まった様なものだな」なんてこっちを見ながらコソコソ言われている。まあ第一印象は完璧だったみたい。
「やあ、レメーアのご令嬢はまるで天使のようだね。」
「陛下、来てくださり光悦至極に御座います。」
「そんなに堅くならなくてもよい。今日の主役は君のご令嬢なんだから。」
お父様と挨拶回りをしていると此処にいる貴族の誰もが恭しく礼をしている人物がいた。人混みをかき分けて出て来たその方はお母様にそっくりの美丈夫だった。そしてチャラかった。このチャラ男が陛下…?
「お兄様‼︎御機嫌よう。」
「おお、サーラ‼︎また一段と綺麗になったな‼︎手の中にいる子はホグワーツか?」
「ええ、我が公爵家の跡取りですわ。」
「此処には天使が3人も…俺は天界に来たのか?」
「父上、勝手に死なないでください。」
「あら、レアール?お久しぶりね。」
「叔母さま、ヒュッレム嬢の令嬢の儀おめでとうございます。」
「ほう、レアールもいい男に育っているな。」
「お父様、この方々は?」
「そうだったね、お母様の隣にいる方は第二王子レアール・ヒュラー殿下。で、隣が現国王だ。」
「なあレメーア?俺の紹介雑くないか?」
「ああそうだ、私の可愛いヒュッレム。陛下は変た…忙しい方だからあまり近寄ってはいけないよ?」
「今変態って言いかけたよな⁉︎」
「うるさいですよ変態陛下。」
「俺は可愛い妹と甥姪を可愛がっているだけだ‼︎」
「ヒュッレム嬢、あちらに行きましょう。此処にいては耳が腐ります。」
「え、えぇ。」
なんだかパーティーとは思えない会話を聞いていると隣にいたレアール殿下が私をバルコニーに誘って下さりそそくさと2人で離れようとした。後ろからお母様の呆れたため息が聞こえた。お母様も苦労なさっているんですね…
化粧などは実際にあった中世ヨーロッパの化粧方法です。
いや〜…女性の美に対する執着はどの時代も凄まじいですね。