表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Past:code ー無力な凡人と万能人ー  作者: 翠 紫代
第1章 始まりの一週間、唯一無二の万能人。
3/4

第2話 生きてる実感、その朝は。


 ■■■ ■■ ■■■■■■   ■■■■■



 ーーーーーーーー静かで、寂しく何も見えない。


何時間経った?....此処は何処だ...何も分からない。

僕は死んだのか.....?いや、まだ死んじゃいない。

意識がある!まだ頭は動く。


沈んでいく.. ただ沈む。


死ねるか、まだ何も見えなくても、まだ立てなくても。

やり直すんだここから、ここで。

暗闇の中でもがく。必死に抵抗する。ーーーーー


もう...だめ....だよな。


諦めかけたその瞬間、

一筋の光が見えた。


なんだあれ?


反射的に手を伸ばした。ーーーーーー


届け、届いてくれーーーっ。


手がその光をかすめる。


お願いだ、俺を"そっち"に帰してくれ。


そう、願った。



    ■■■ ■ ■■■■■■■  ■■■■■■■■■■■■



 のどかな風と共に、賑わう声が聞こえる。


強い日差しが目蓋を照らす。ーーー眩しい。

とても温かく、温みのあるこの光。

懐かしい、これは僕の..欲してたものだ。

このままここに居たい、そう感じさえする。

生きている。

そう、実感できた。この痛み、この触覚これは僕の物だ。

重い目蓋を開ける。ーーーーーー


見知らぬ天井、見知らぬ壁、見知らぬお爺。



「どこだここぉーーーーっ!!!??」



この世での僕の第一声がそれだった。

聞こえてくる言語は聞き覚えも無いもの。

英語?ドイツ語?ラテン語?

どれも違う、全くの聞き覚えのない、全く知らない言語。

つまり此処はーーーーー



「いやいやいやいやぁーーーー確かにそっちに帰してくれとは言ったけど、僕が望んだのはあの...電波飛び交う、高層ビルディング建ち並びーの、騒々しい車の音が聞こえていたあの国、あの世界じゃぁぁぁぁぁぁ!!!」



この状況に嘆き叫ぶ子供のような少年の姿がそこにはあった。

すると、隣の椅子に腰を掛けて寝ていた爺が起き上がり、少年に疾風の如く強烈な平手打ちを放った。



「やかましいわ!このあほがぁぁぁぁぁっっ!!」



少年はこの爺が放った平手打ちでベットから放り出される。


なんちゅう威力なんだよーーーーっ!


僕がそう心の中で叫びながら壁に激突するのであった。

痛い、脇腹の痛みも相まって物凄い激痛だ。ーーーーー



「ヤバい、もうダメだなこりゃ。」



そして僕はまた意識を失った。



   ■ ■ ■ ■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■



長い夢を見て、夢うつつなまま目が覚めた。


もうすっかり陽は落ちていた。

しっかりとベットに寝かされていて、頭の横には桶と木綿?の生地のような巾が置いてあった。

きっと、あの爺が看病してくれていたのだろう。

でも、何故あの爺、日本語を喋れたのだろうか?

その疑問だけが、心の中につっかえていた。



「何者だ、あのおっさん。」



こんなこと僕が言うべきではない、何せ向こうさんからしたら、僕の方が未知だ。

だから、この言葉は失礼にあたる。

だけど、気になって仕方がない。あの爺が日本語を喋れた理由が。



「こんな時間だし、聞くのは明日か。」



窓の外を見ると三日月が綺麗だった。

僕のいた世界じゃ、もっと黄色かったっけ。ーーーー

ボソリとそんなことを呟きながら、深い眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ