旅立ち
初めまして。執筆に関しては全くのド素人なのでわからない事だらけですが何卒暖かく見守ってください。
今回書いている作品のおおまかなストーリーは出来上がってるんですが、間の話は全く浮かんでません。なので、今後投稿していく度に主人公やその周りの登場人物が僕と一緒に成長してくれるんじゃないかと思ってます。よくわかりませんが、とにかく本当に素人なので、日本語がおかしかったり文面が変だったりすると思いますが、どうか、どうかよろしくお願いします。
雨…なんでだろう…
僕は、目の前で血を流している親友を見下ろして疑問を感じていた。
『なんでこうなったんだ?どうして?』
「…まこと…。」
親友の名を口にしても彼から返事は無い。
「…なぁ…まことってば…。」
外から聞こえるザーザーという雨音が耳に突き刺さるような感覚と
まことの最後の言葉だけが頭に響く。
『ごめんな、空』
どうして謝られたのか、何を謝っていたのか僕には理解できなかった。
ただ一つ、わかることは
「…親友を…殺したんだ…僕。」
右手には血まみれの包丁
制服のシャツには大量の血
誰がどう見ても、僕は人殺しだ…
その時ふと頭に浮かんだそれは僕を恐怖のどん底に叩き落とした。
そして同時にこう思った。
『逃げなきゃ。ここから逃げなきゃ。』
まことの家の事はよくわかっている
小さいころから隣近所でお互いの家に遊びにいったりしたからだ。
間取りやまことの着替えがある場所
まことの家族が何時に帰ってくるかも…
時計を見るとまことのお母さんが後30分後に帰宅する
この状況をどうにかしてお母さんを迎え入れることは無理だ
自分でも不思議だった。
この状況下で次第に恐怖は消えていき冷静さを取り戻せていた。
まるで…この状況に慣れている事を思い出したかのように。
とにかく今は全てを投げ出し逃げる事を優先した。
逃げるあてはない。
当然僕はまだ高校1年生だから逃走だって徒歩だ。
今の恰好で電車に乗るなんてまずありえない。
まことの部屋へ行きまことの洋服を何枚か取り出した。
逃げる方法…
そうだ…まことの自転車があったはず…
僕は玄関に向かい自転車の鍵をさがす
「…あった。」
これで逃げよう
包丁はその辺に投げ捨てる
服の血は…雨に濡れてそのうち取れるだろう。
その後に着替えは済ませる。今は着替えている猶予はない。
逃げる判断をした後からはまことを見る事ができなかった
もしも生きていて、こっちを思いっきり睨んでいたらどうしよう
そんな考えがあったからだ。
僕はまことに背を向けながら
「…まこと…僕はもうこの町には戻らない。余所の町で生きていくよ。誰も僕を知らない場所で。…僕が犯した罪を誰も知らない場所で。…だから…ごめん。」
なぜあんな言葉をかけたのか。自分でも理解できないほど恥ずかしかった。
まことの自転車…今更だが両手を合わせて拝む。
そして僕はこぎだした。
僕が殺した親友の自転車で、あてもなくどこまでも。
僕は自転車を必死にこぎながら、なるべく人気の少ない場所を探しながら進んでいた。
河川敷や路地裏。
この町のいろんな道は小さいころからまことと一緒に探検してたから
良く知っている。
この道も…あの道も…
どこを通ればなるべく早く町から離れられるか…
僕は、雨の中、涙なのか雨なのかわからない水滴を流しながらこぎ続けた。
1時間程ぐらいだろうか…走り続けて足も腕もガクガクと震えていた。
僕が住む町に流れる大きな川に何か所か橋が架かっている。
河川敷を走っていた僕はそこで一旦止まって、橋の下で服を着替えることにした。
「…寒い。」
時期は6月。
高校生になりほど良く新しい環境に慣れ始めていた時期。
梅雨の影響でしばらく雨は降り続けるらしい。
最初はじめじめすると思っていたこの雨も、今では体を芯から冷たくする凶器にすら感じてしまう。
僕はまことの部屋から持ち出した服に着替えた。
当然着替えもかなり濡れている。
結局血の付いた制服を脱ぎ捨てるだけで、寒さは解消されなかった。
だからなのか、体の震えは増すばかりだった。
その震えは寒さからなのか、それとも…
ふと『親友を殺した』という事実が頭をよぎる。
…僕はこの時、自分の中で最低な決断を下した。
今思えば、あんな決断をしなければ後悔に押し潰されて
きっと自ら命を絶っていただろう。
連日の雨で勢いを増しているあの川に飛び込んでおけば
そこで何もかも終わっていたかもしれないのに…
僕はあの橋の下で、雨音を聞きながらこう呟いた…
「…まことの事…忘れたい。」
そう、親友はいなかった
この世に存在すらしていなかった。
僕は小さいころからずっと1人で遊んでいた。
『まことはいない』
その言葉を口にした瞬間
何もかもが楽になった。
ただ、自分はもう戻ることができない。
まことは存在しない。
だったら、僕は誰も殺していない
なら、逃げる必要もないんじゃないか?
いや…これは…逃げているんじゃない。
「…一人旅だ…僕がひとりでも生きていけるかどうか証明するための、ただの一人旅なんだ。」
心の中を空にする。
宙に浮いたような感覚になりながら一つずつ、一つずつ
まこととの記憶を消していこう。
「さようなら。まこと。」
これは、現実からの逃走だ。
それでもいい。
何がきっかけで、どうやってまことを殺したかは覚えていない。
だけど、あの光景は僕がまことを殺したことを証明している。
だとしたら逃げるしかない。
僕はまだ…子供なんだ。