003 芽衣の一存
文章書くの難しいですね・・・
萌絵との衝撃の出会いから数時間後。
和泉家居間での出来事。
「なあ、芽衣姉。芽衣姉って休みの日、友達と何して遊んでんの?」
「は?」
驚愕の表情でこちらを見られた。
地味に初めてみる表情かもしれない。
「え?なに?どういうこと?」
「だから、女っていつもどうやって遊んでんの?」
すると芽衣はにやぁっと面白そうな表情を浮かべて、翔太に寄って来た。
そして翔太を引き寄せ、つんつんと頬をつつく。
「ちょっと、どういうことよぅ。お姉ちゃんに余さず隠さず教えてみなさいよぅ」
「うざっ」
姉に聞いたのは間違いだったかもしれない。
芽衣はそれでも笑みを絶やさず、しばし考えたのちあれ?っと小首を傾げた。
「それに女の子じゃなくて女で、あたしの友達とですって?
ってことは年上ですかぁ?中学生ですかぁ?ませてますなぁ」
鋭い。が、惜しい。
この姉、変なところで勘が良い。
萌絵の制服を思い返す。
あれは駅の方にある高校のものだった。
元々この辺の中学校は一つしかなく、そういう意味では萌絵の年齢は簡単に推し量れた。
中学生じゃなくて高校生といったら姉はどんな顔をするだろう。
さすがにそこまでは想定の範囲外だったろう。
「ん?まさかあんた、あたしの友達に手を出したりしてないよね?殺すわよ?」
「違うっつーの。殺すのかよ。いいから早く」
「うーんとね。モールで買い物に映画・カラオケとかかなぁ。
あ、あの改装の終わった水族館に行きたい」
そこはせめてこの商店街で買い物じゃないのかよ、と言いたくなった。
けど、そういうもんなんだろう。
「そんな金なんかないよ。あと別に芽衣姉の行きたいところは聞いてない」
「なんだなんだ。金のない男はモテないぞぉ」
「小学生になに求めてんだよ」
「あとは図書館とか公園デートとかいいんじゃない?お金かからないし」
「デートとかそういうんじゃないってば。単純に女でも楽しめるとこ」
「ありゃりゃ、随分お優しいことですな。片恋ですかなにゃ?片思いですかにゃ?
それは芽衣姉さん大好物ですにゃあ。
グローブとバットとボールが恋人だった弟もついに色気づいたかにゃあ」
マジでこの姉、いっぺん簀巻きにして屋根から吊るしたい。
「言ってろ。もういいよ」
芽衣の腕を持ち上げて、居間から抜け出す。
すると俊太の背中に姉から声がかかる。
「翔太~。まずは自分の楽しいこと教えてあげなよ。
それで相手が翔太を気に入ってくれれば、お互い楽しめるよ~。
まずは自分を知ってもらわないとね~。何事も一足飛びは無理なりよ~」
「・・・最初からそう言えよ。サンキューな」
「どういたしまして~」
姉の声を聞いてふと、歩きを止めて居間の姉に声をかける。
「ああ、そうだ。お礼に芽衣姉が水族館に行きたがってたって春にぃに言っとくよ」
「はああああ!? あんた、マジ殺すから!何言ってんの!?誰があんな馬鹿と行きたいなんて言ったの!」
ギャンギャンと喚く姉を見ておお恐いと呟いた。
先ほどとは一線を画す迫力に、さっさと退避する翔太であった。
しかし助言は得た。
自分の楽しいことなら簡単だ。
翔太はひとまず家を出て、隣の家に向かう。
時刻はまだ六時、隣の店にはまだ明かりが灯っていた。
フラワーショップ安岐と書かれた看板が目に入る。
店に入ると心地よい花の香りと笑顔の中年の女性が出迎えてくれた。
「こんばんわ。鈴芽おばさん。春にぃいる?」
「あら~?翔太ちゃん。こんばんわ~。春?春なら奥にいると思うわよ~」
「お邪魔しま~す」
店の中を横切って、母屋の方へ。
夕食時なせいか、おいしそうな匂いが翔太の鼻孔をくすぐる。
「おう。翔太か。今朝方ぶりだな。これから肝試しか?」
どうも勘違いがまだ続いているらしい。
まあいいかと結論して春を見上げる。
細マッチョがお玉片手にエプロン姿は地味にかっこいいなと思った。
「どうした。また芽衣と喧嘩でもしたのか?」
「違うよ。俺だってもう来年は中学だぜ?」
「カカカ。そうかそうか」
「春にぃ、グローブ貸してくんない?あとバドミントンとかも」
「? 別にいいけどよ。俺の部屋にあるから勝手に持っていけよ」
「サンキュー」
そう言って、翔太は二階へと上がり、目的のものを手に入れる。
とりあえず準備はできた。
決戦は明後日。
人事は尽くした。あとは野となれ草となれ。
あ、もちろん水族館のことはそれとなく言ってきた翔太。
あの二人、はやくくっつけばいいのにと頭を悩ませるできた弟であった。
そしてその夜のこと。
「あれ?翔太、あんた体操服、上のほうどうしたの?」
「あー・・・あれ。うん。学校に忘れた」
「はぁ?なんで上だけ忘れんのよ」
「いや、やむに已まれぬ事情で」
「ごまかすんじゃない!」
しっかり拳骨をもらいました。
姉の芽衣はツンデレツインテールです。
残念ながら日本人なので金髪成分はありません




