出逢いと得るのは、一気にどうぞ!!
檻の外は、いつも、騒がしい。売られる私達。買う貴殿。この国では、それが普通で、仕方ないことだった。感情なんてモノ、とうに棄てたはずだった。だけど、心のどこかでは、希望という儚い思いがある。
「次は、11235番 1000イェンから!」
私が、競りに出された。かれこれ、半年。競りに出されるが一向に売れない。これがダメだったら、また、檻での生活だ。いろいろな事をさせられる。早く売られたい。
「…………」
一向に、値が上がらない。1000イェンは、カボチャ三個を買える値段だ。私は、それよか低い。いや、それより酷い。
「えー値が上がらないので、この商品は檻にもど……」
檻に戻される、その時に、手が挙がった。
「15万イェンで、その子買うよ~」
手を挙げたのは、見た目17、8歳の女だった。当然、周りがざわめく。なんせ買おうとしてるのは、中古の中の中古だった。傷物でも、あったからだ。でも、主催者側としては当然歓喜だ。即落札された。すべての競りが終わり、商品が手渡される。
「この鎖を解く、呪文はナンだい?」
女が主催者に聞く。それに、答える。
「<呪縛から解き放て>ですよ。お客様。でも、ここでの詠唱はやめて下さいね。なんせ、全部解かれてしまいますので」
「ほほう、なるほど、なるほど。」
女と主催者は、高笑いをした。商品の気持ちも知らないで。
そして、女は急に真顔になり叫んだ。
「<呪縛から解き放て>!!!」
商品の鎖が、一斉に解かれる。一瞬の時が止まり、商品と主催者達が騒ぎ出す。逃げ出す商品。捕まえようとする主催者。私も、逃げようとするが、女に手を掴まれ。
「こっちだよ~ん。」(ウィンク)
そのまま、逃げた。街を駆け、ある場所に走る。
そこには、大きな荷車と少人数の人が居た。そして、その人達に向かって、女は叫ぶ。
「アンタら、準備はそこいら辺で良いから。逃げるわよ!出発進行~~!!」
一斉に、走り出す。4、5台の荷車と、それを引き連れる女。
牛みたいなのが、激走する。門の所では、主催者と貴殿達が、呆けている。
「あはははは!!私たちの勝っち~!!」
両手を挙げ、大いに喜び騒ぐ、女。私の救世主。私の、新しい仲間で母親のような存在になる人。家族に、なる人達。
そう、この日から、新しい日々が始まった。