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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

友人

友人

作者: 蒼聖石

「俺、お前が好きなんだ」


俺の部屋で二人並んで漫画を読んでいると突然切り出した。

こいつは何を言ってるのだろうか。

完全に思考が停止して返答できないのをいいことにこいつは俺に詰め寄ってくる。

ついには押し倒された。このまま流されるのはさすがにマズイな。


「重いんだが、どいてくれないか」

「いやだ」


いつになく真剣な目をしている。こいつは冗談を言うとき視線がやや左にずれる。嘘を吐けない体質と言うやつだ。

そんな奴が真っ直ぐにこっちを見てるのだから茶化しや嘘でないのは確かだ。

しかしこのままというのは辛い。押さえられている腕が痛くなってきた。


「話ならちゃんと聞く。だからどいてくれ。腕が痛い」

「あ……悪い」


あっさりどいた。自分でも力を入れていることに気付かなかったのか。

こいつがこんなことをするなんて、多分俺のせいだな。

俺の部屋にはたくさんの本に混じってGLやBLの本が軽いものからちょっとディープなものまで並んでる。

ほとんだ姉貴の影響だけど……。

俺の前では読んでないが飲み物を取りに行ってる間に見てる形跡はある。


「どうした。感化されちまったのか?」

「………」


どうやら図星のようだ。俯きながら視線を右にずらす。

こんなわかりやすい反応をするのに、今までの恋はいったいどうしていたのだろうか。

というよりこの堅物に恋なんてあったのか。あったのだろうがきっと何も言えなかったのだろう。


「気持ち悪いとか…思わないのか?」

「俺の部屋を見た上でそれを言うのか。むしろ俺がそう見られてると思ったよ」

「そんなことない。お前は可愛いよ」


か……可愛い!?

いやいやいやいや!おかしいだろ!

髪はボサボサだし、にきびもあるし視力が悪いから目つきだって……

ってそうじゃないだろ!男に可愛いってとこがおかしいだろ!


完全にてんぱってる俺の前髪をかきあげ、顔全体を見てくる。


「ほら、可愛い」

「そ、そういうことは女に言え!それに俺はノーマルだ!」

「俺だってそうだ」

「じゃあなんで!」

「好きだから」


こいつ………!!!

そんな恥ずかしいことを真顔で言いやがった!


「お、お前は!この前女子に告られてたろ!それはどうした!」

「断った。あいつらは俺を見てない。俺を彼氏にしたって事実が欲しいだけだ」


まあ、そうだな。こいつを彼氏に出来たら羨ましがられるだろう。

1年生でありながら柔道部のエース候補、頭脳明晰、容姿端麗、寡黙な男、女っ気なし。

モテル男の要素を限りなく持っている。

それに比べて俺は成績は中の中、根暗でオタク。

嫌われる要素が満載だ。そもそもこいつが俺と友達になってくれたのが不思議だった。


「なんで俺なんだよ…」

「可愛いから」

「そうじゃなくて」

「……俺、友達いなかったからさ」

「嘘だ」

「嘘じゃない。知り合いはたくさんいるけど友達はいなかった」


あんなに周りに人が集まってるのにそれは全部友達じゃないというらしい。

若干不愉快な気持ちになっていると不意に抱き締められた。


「なんだよ」

「お前は俺の内側を見てくれた。知ろうとしてくれた。優しかった」

「お前だってそうじゃないか。この部屋を見ても受け入れてくれた」


こいつは寡黙じゃなかった。むしろよく喋るほうだ。少し人見知りをするらしい。

成績もかなり頑張っているらしく苦痛ですらあるらしい。

まあ容姿は生まれ持ってのものだし柔道は好きなことだからそのままだが。

しかし、ああ……なんだろう。こいつの腕の中は心地良いな。


「嫌だったら俺を殴れ」


そういって俺を解放したかと思ったらしっかりと両肩を掴まれる。

この体勢はあれをしようとしていることで間違いないだろう。


「殴ったら、どうするんだ?」

「帰るよ。もう友達ではいられないと思う。今度接したら、我慢できない」


そんなこと言わないでくれよ……。

俺にとって友達はお前だけなんだから、受け入れるしかないじゃないか。

俺だって……我慢してたのに。







「今度は学校でな」

「……馬鹿言うな」


こうして俺達は友人から恋人になってしまった。


そしてその瞬間を姉貴に見られてしまったのはまた別の話だ。

もしかしたら続きができるかもしれません。

そのときはよろしくおねがいします。

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