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契約成立
「空は飛べる? ボクでも」
食い気味の質問にトビナガは即答した。
「ああもちろんだよ、ただ練習は必要だね。あと良い先生に教わることも」
「練習って何すればいいか分かんないよ。いい先生もどこにいるのか知らないし」
シュンとするショウにトビナガは得意そうに羽根をふくらませた。
「ふっふっふ‥ここにいるではないか」
「教えてくれるの?」
ショウは体をのり出す。
「ふふ、条件はありますよ。君のイメージ力が上がったらおいしいドーナッツを
一緒に食べること」
「分かった!」
(変な夢)
ショウは目をさます。
オバケから助けてくれた大きな鳥に味のしないドーナッツ。
さっきの夢を思い出しながらショウはトーストをかじる。
(でも面白かった。もっと見てたかった‥)
今日も学校に行くしかない。
決められたことをやらなくちゃいけない。
みんなと同じにならなくちゃいけない。
ショウがショウでいると怒られるんだ。
ずっと夢を見ていた方がマシだった。