イメージ
「ショウ君か。まぁよろしく」
あいさつがすむと鳥のトビナガはどこからか箱を取り出す。
「え、なんで?」
「これは私の力でね。夢を見ている人間の記憶から、いろいろ取り出せるのさ」
箱の中にはドーナッツがつまっている。
「君も食べてみたまえ。えんりょはいらないよ」
そう言ったトビナガはドーナッツをつまんだ。
(知らない人から食べ物もらっちゃダメだよね‥でも鳥だしいいのかな? あ、
夢の中なら関係ないのか)
ショウも納得してチョコレートがついているやつにかぶりつく。
モグモグモグ‥
「味しないね」
残念ながら口の中はボソボソするだけ。
トビナガもがっかりした顔でうなずく。
「君ならイメージ力があると思ったのだが‥」
ごっくんと口の中の物体を飲みこんでから、ショウは口を開く。
「イメージ力がないとダメなの?」
「いや、ダメと言うわけじゃないさ。ただ、うまくイメージができる子なら
一流レストランの料理も食べ放題になるってだけ‥だね」
「それすごいじゃん」
トビナガはショウににっこりする。
「ああ、好きな物は何だって出せるし、何だってできる。魔法を使ってヒーロー
に変身するとか」
「空は? 飛べる? ボクでも?」
ドキドキしてショウは割りこんだ。
羽根でどうやって食べるのか、といった疑問にはお答えできません。
夢の中なので何でもありなのです。