最終回
二人の目の前には深い崖が広がる。
「君は必ず飛べる」
先生の言葉と同時にショウの体は軽くなっていく。
とんとんっと地面をけって、ショウは空の中に飛びこんだ。
「ほら、空気に乗って」
落下する体が弧を描いて浮かぶ。
(ああ飛べる、ボクは飛べる)
「そうそうその調子」
ショウの隣りで先生も飛んでいる。
周りの世界はキラキラと輝いていた。
町を飛びこえ森をこえる。
海の上、水面ギリギリをすべった。
最後にクルっと回って満開の桜の木の下に着地。
ショウはトビナガと向かい合った。
「今までありがとうございました」
「こちらこそ、君は良い生徒だった」
「トビナガ先生のこと、絶対忘れないよ」
「ああ、私もだ」
そしてニッコリ笑いあうと、トビナガは羽根をはばたかせて空にまい上がった。
「さらば!」
その声を最後に、トビナガは太陽にすいこまれて‥消えた。
ショウは起き上がった。
心がキュウッとするけど、同時にすがすがしい気分だ。
今日は学校に行かなくて良い。
「おはよう」
ママにあいさつすると心配そうな顔で見られちゃった。
「今日はどうするの」
「図書館行く」
昨夜の内から考えていた。
「本読んで勉強する」
うまく行くか分からなかったけど、ショウはしばらく安全な場所にいることに
したんだ。
静かな図書館でショウは本を読む。
学校に行かない決断は正しかったんだろうか。
みんなと違うってのはものすごく不安になっちゃう。
でも、トビナガ先生のことを思い出すと心はポカポカするのだ。
多分きっと大丈夫。
(だってボクは空を飛べるんだから)
the END
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来週からはカナタの星を再開します。




