ホットケーキの作り方
トビナガ先生は翼についた細かいかけらまでつついて食べた。
「ふむふむ‥おいしい。イメージ力も上がっている」
「他に食べたい物ある? 買ってみるけど。あ、高いのはムリ」
ニッコリ笑うトビナガ先生は焼き立てのパンケーキをリクエストする。
「作るのは簡単ですから、ぜひ手作りで」
そして深呼吸してから先生は語り出す。
「ショウ君はピーターパンを知っているかな」
「うん、聞いたことはあるよ」
「とても有名な本だからね。これはその作品に出て来る言葉なのだろうが‥
飛ぶためには自分が必ず飛べると信じなくてはいけないのだよ」
ショウにはまだ良く理解できない。
「飛べるかもしれない、ではなくてね。絶対に飛べると信じる心が人を
飛ばすのだ」
「信じる心?」
「ああ。昔の人だから私は会ったことはないが、おそらく作者のバリさんは
空飛び名人だったのではないかな」
必ず飛べる、の言葉をショウは胸にきざむ。
(知らないにおいだ)
ショウは目をさましていた。おばーちゃんの家だったことはすぐ思い出せる。
朝ご飯のおかずはひじきと豆の煮物とみそ汁だけ。
(ここは安全だけどもうちょっとおいしい物食べたいんだよなぁ)
「今日はあんたのお母さんが来るからね」
食べ終わったショウにばーちゃんが無慈悲な一言を放つ。
「うん」
まあ予想はしていたからショウもあわてない。
「あのさ、パンケーキってどうやって作るの?」
夢の会話を思い出して質問すると、お昼に一緒に作ってくれることになった。
材料はホットケーキミックスって言う粉と卵と牛乳。
「卵くらい割れないとね」
ばーちゃんに指示されながらボウルに卵を割り入れる。
牛乳を入れてかき混ぜた後、粉も加えてまた混ぜる。
「火を使うのは大人がいる時だけにしな」
フライパンに油をちょっとそそぎながらおばーちゃんは注意する。
ガス台に火をつけて、ボウルの中身をフライパンに流し込んだ。
弱火で焼くと表面にプツプツ泡がわいてくる。
「表面が乾いてきたらひっくり返しな」
フライ返しでケーキを逆さまにする。
「後は3分くらいで焼きあがるよ」
焼き立てのホットケーキはめちゃくちゃおいしかった。
「こんなに簡単なら、もっと早く作れば良かった」
「そりゃそうだね」
これなら自分の家でも作れるってショウはやる気になる。
その後はひたすらマンガを読んですごした。
ピンポ~ンとチャイムが鳴ったのは夕方。
仕事終わりの母親がショウを迎えにきたのだ。
パンケーキはお鍋(英語でパン)で焼いたケーキ
ホットケーキは温かいケーキなので
この場合は同じ意味です。
つまりオーブンで焼いたケーキも熱々で食べればホットケーキになります。




