祖母の家にて
「あたしはお団子の方が好きなんだけどねぇ」
おばーちゃんの家に無事についてお土産を渡したのにすぐ文句を言われた。
「しばらく泊まっていい?」
「それはかまわないけど、家出かい」
「そんなところ」
手を洗ってうがいをして、ショウは茶の間に座りこむ。
(せっかく買ってきたのに)
パン屋の袋からドーナツを取り出して一人で食べる。
カリっとしていて甘さとあぶらがじんわり口に広がる。絶対においしいやつだ。
(トビナガ先生だったら絶対喜ぶんだけどな)
おばーちゃんはお茶を持ってきてちゃぶ台に置いた。
「味見しないわけじゃないよ」
文句を言った割にばーちゃんはドーナッツをつまむ。
「まあこれはこれで悪くないね」
二人でもぐもぐ味わいお茶をすする。
「学校はどうするんだい」
おばーちゃんが本題を切り出してきた。
「行かない」
ショウはうつむいた。すぐに反対されるのはつらい。
「勉強はどうするんだい」
「分かんないよ」
ちょっとだけ涙が出て鼻声になる。
「ふうん」
おばあちゃんはそれから何も聞かなくなったから、ショウは書斎に引っこんで
古いマンガをひたすら読んだ。
夕飯は肉が入っていない煮物だけど家出させてもらっている身だから文句も
言えない。
テレビもいつも見ている番組は見させてもらえなかった。
(それでも安全ならしかたないよね‥)
お風呂の後、かび臭い布団にショウはくるまる。
そのままあっさり眠りにつく。
孫が買ってきたお菓子ににいちゃもんつけてきて、
しかも完食する祖母の話は実話です。




