最後の宿題
「いいかい、また宿題を出すのだがこれは絶対にやってほしい。成功するまで
あきらめちゃだめだ」
トビナガ先生が真剣な顔でショウを見つめて来る。
もちろんショウはうなずいた。
「安全な場所を探しなさい」
ショウは首をかしげた。
「安全? べつに危険なんてないけど」
「君の心にとって安全な居場所だ」
ショウは目を見開いた。
「そんなの分からないよ」
トビナガ先生は重々しくくちばしを開く。
「私は君よりずっと長く生きて、たくさんの人間の夢を渡ってきた。だからこそ
知っているのだよ。安全な場所が、必ずあることを」
先生はすごく真剣にしゃべっている。
気休めを言いたいだけには聞こえない。
「君の周りでは戦争はないだろう? 家族は、たとえそれなりだとしても君を
愛しているのだろう? 食べる物がなくて死にそうなわけでもないのだろう?
そんな子には、逃げられる場所があるのだ。今は知らなくても、必ず」
「本当に?」
ショウはかすれ声でたずねた。
トビナガは力強くうなずく。
「絶対だ」
「どうやって探せばいいの、ボク分からないよ」
「君は今まで世界の観察を学んだはずだ。その続きだと思えば良い。特に
出会った人間は全て観察対象にしなさい」
「人間、も観察するんだ」
「安全な人間がいる場所は安全なことが多い。もし安全な居場所が見つかったら
そこに逃げなさい、これが最後の宿題だね」
ふわふわの羽毛にまたギュっとされて、ショウの夢は終わった。
安全な場所も頼りになる大人も、ある所にはあるしいる所にはいます。
出会うまでが大変なのです。




