良い夢と悪夢
だんだんショウにも分かってきた。
イメージ力を上げるためには、いろんなことに興味を持つ必要があることに。
ショウは毎日空を飛ぶ鳥を観察するようになった。
鳥って地面から飛び立つ時はたくさん羽ばたくけど、高い所から飛び下りる
時は羽根を広げるだけでほとんど羽ばたかない。
また読書の宿題が出るから図書館にもしょっちゅう通うようになった。
本って読むのはめんどうだけど、ハマると面白いことにショウは気がつく。
飛べそうな地形は他にも見つけたし、ドーナッツを食べる時はよーく味わう
ようにしている。
だから今夜の夢はバイキングだ!
以前の言いつけをしっかり守り、ショウはトレーからお寿司を手づかみして
口に入れる。サーモンもトロも新鮮でおいしい。
「トレビアン! 君の成長には驚かされるよ」
トビナガ先生もローストビーフを堪能していた。
「君なら夢マスターになれるとも!」
そう先生はお墨付きをくれたのだけど。
ショウは建物の中にいた。
周りは無機質な壁に囲まれている。
暗くて寒くてジメジメしているそこから、ショウは逃げ出したかった。
エスカレーターに乗ればいいのは分かっている。
周りにいる知らない人たちは次々と乗って上がっていく。
上の階は明るくて暖かくて楽しそうだ。
ショウはエスカレーターに乗るけど、ものすごい速さで動く階段にショウの
体はたえられなかった。
転んだ体は下に落ちていき、いつになっても『上の階』にはたどり着けない。
誰もそんなショウには気がつかず、みんなはスムーズに上に登る。
「助けて」
転がり落ち続けるショウの体を止めたのは柔らかい羽毛だった。
自分の将来が不安です。
認知症とかになって夢と現実の区別がつかなくなったら‥




