ウルトラマンは、もういない
ウルトラマンは、もういない。
僕たちを守るために、ボロボロのスーツと赤く光る眩い命の灯火を胸に抱き、その身が潰えるまで戦った。
ウルトラマンは、もういない。
己の信ずる愛と正義と共に、邪悪な怪獣へ輝く拳を叩きつけた。
ウルトラマンは、もういない。
怪獣は叫ぶ命の咆哮に、魂の咆哮を叫び上げた。
ウルトラマンは、もういない。
怪獣の生きる世界から、小さくてか弱い僕たちを守るため、己の命を燃やし尽くした。
怪獣は、もういない。
ウルトラマンがやっつけた。
怪獣は、殺した。
たくさんの生きるものを殺した。
ウルトラマンは、殺した。
怪獣を殺した。
ウルトラマンは、正しかった。
僕たちを守ってくれたから。
ウルトラマンは、殺した。
己を殺した。
ウルトラマンは、殺した。
己の涙を殺した。
ウルトラマンは、殺した。
僕たちが願った。
テレビの前から願った。
ウルトラマンは、もういない。
最後の最後まで戦ったから。
ウルトラマンは、もういない。
ウルトラマンは、もういない。
ウルトラマンは、、、、、、、、、、、、、僕たちが、殺した。
ウルトラマンは、もういない。
玩具箱の奥の奥で眠っている。
胸の明かりは、もう光らない。
ウルトラマンは、尋ねる。
「本当の正義って、なに?
本当の愛って、なに?」
ウルトラマンはもういない。
光の国へと帰っていった。
ありがとう。さようなら。