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コロナが家にやって来た(もしかするとまだ滞在中かもしれない)  作者: 三矢 由巳


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3/9

03 タンパク質が足りない

書き忘れていましたが、夫は自宅療養を選択しました。

これといった持病はないし、今のところ重態ではありませんから。

というわけで、私はこの段階では濃厚接触者でした。

いただいたA4のプリント「新型コロナウイルス感染症と診断された方へ」によれば、「有症状の方は発症日から7日間経過し、かつ症状軽快から24時間経過した場合に療養解除」となるということでした。

夫の療養最終日は早くて1月5日ということになります。

正月休みは4日までなので一日だけ休みが延びるということに。

休みといっても療養なので家で休んでいなければいけないわけですが。

濃厚接触者の私は5日間経過するまで待機が必要。つまり1月3日までです。




夫の陽性が判明した夜、私は実家の母に明日帰省できないと電話しました。

予定では翌12月31日に帰省し、一緒にすき焼きを食べて年越しするはずだったのです。

そのための肉もすでに近くの牧場直営の精肉店に注文しこの日実家に配送されていました。

四人前はあるので少しずつ解凍して食べればいいと言いながら、ああ、食べたかったな、あれいい肉だったんだよなと少々残念な気持ちになりました。

夫の身体がよくなったら絶対にすき焼きを食べようと心に誓いました。  

また、出席予定だった同窓会の幹事にも濃厚接触者になったのでキャンセルすると電話しました。

支払ったお金は返金できないということでしたが、記念品は送付するとのこと。まあ、仕方ないです。同窓会開催三日前ですし。幹事さんも大変だと思いますし。




こうして年末年始の予定は大幅に変更となりました。

そのため、大問題に直面することに。

食料が足りないのです。

年末年始を実家で過ごす予定だったので、日持ちのしない生鮮食品は食べきっています。

父の喪中でお節料理も作っていません。当然お節の材料もありません。

袋ラーメンや米、餅、雑煮用に用意しておいた野菜はありますが、病人にそればかりというわけにはいきません。

タンパク質が必要です。

卵はありました。でも魚や肉がないのです。豆腐も納豆もありません。

タンパク質のおかずが卵だけ。なんだか物足りません。

濃厚接触者でも買い物には行けます。必ずマスクを着用し、なるべく人と接触しないようにして客が少ない時間帯に行って短時間で済ませればいいのですが、ここで困ったことが。

私もなんとく喉がいがらっぽく、鼻水の量が増えてきたのです。

恐らく感染している、この状態で買い物に行くわけにはいかないと思い、利用したことのあるネットスーパーのサイトを見れば年末年始の分は注文を受け付けていません。

早くて1月4日にならないとタンパク質が手に入らないのです。

3日まで、いえどんなに早くても4日の朝まで、手持ちの食材をやり繰りして二人分の食事を作らなければならないというのは厳しいです。

こうなったら、生活支援物資を頼むしかありません。

すき焼き用の肉は入っていないと思いますが、魚の缶詰や肉の入ったレトルト食品くらいあるはずです。

届出対象の夫には明日保健所から連絡がきます。

その時に生活支援物資を頼んでもらうことにしました。




明けて大晦日。

夫は相変わらず咳で睡眠不足。

薬のおかげか熱は37度台に下がりました。

朝食もいつもよりごはんは少な目にしましたが、なんとか食べました。

私はなんとなく倦怠感はありましたが、家事はいつものようにできました。

午前中に、夫のスマホに保健所から電話があり体温等身体の状態を訊かれました。

やはり療養は自宅でということに。

生活支援物資の配送とパルスオキシメーターの貸与を申し込みました。

どちらも届くのは遅くなるかもしれないということでした。

それにしても大晦日だというのに保健所の職員さん達も大変です。

電話をかける先は一軒二軒では済まないはずです。

それなのに丁寧に応対してくれるのですから。

ありがたいことです。

コロナの流行が沈静化したら、いえ今すぐにでも、国は医療関係者や保健所に勤める人達になんらかの栄誉と相応の手当を与えてしかるべきだと思います。




家事が一段落した後、メールをチェックしていると、「抽選販売福袋発送のご案内」というタイトルのメールが届いていました。

コロナのあれこれですっかり忘れていました。カルディコーヒーファームのオンラインストアの食品福袋に当選していたことを。

今まで抽選にずっと外れていたのですが、今回初めて当選したのです。

お届けは1月1日以降とあります。

田舎だから1日に来るとは限らないなと思いながらも、少しだけ安堵しました。

生鮮食品はないけれど、ちょっとしたお菓子もあります。

お菓子があれば少しは気分が紛れそうです。

なんだか救いの手が差し伸べられたようで心が温かくなりました。




ほっとしましたが、夫の熱はこの後また上昇しました。

午後4時前に38.1度。

6時前に38.8度。

7時半には39度。

紅白歌合戦どころではありません。

夕食を食べるとすぐに就寝しました。

私も36.8度に上がっていました。

ふだんは36度前後なので、やはり私の身体にもウイルスは侵入しているようです。

喉の調子と鼻水も相変わらずです。

とはいえ大晦日です。

私はあれこれ作業をしながら紅白歌合戦とゆく年くる年を見て新年を迎えました。

感染してるかもしれないのに、のんきな話です。





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