“君を催眠術にかけるよ! 君は僕の事が大好きになる!”
ある日、僕は一人の女性を連れて僕の知り合いに
会わせることにした。
会わせた男性は? 催眠術師。
彼女には催眠術にかかってもらうよ。
どんな催眠術にかけるかというと? 僕を大好きになる催眠術だ。
だって! 彼女は僕の事が好きじゃない!
しかも? 【絶対に貴方の事をこの先も好きになる事はない!】
とまで僕は彼女に言われてしまう。
そんなこと言われたら? 僕の恋の炎が燃え上がってしまうじゃないか!
こうなったら? 僕は手段を選ばない。
催眠術だろうが? 強引でもいい、彼女を絶対に僕の事を好きにさせて
やるんだと決めた!
・・・だからね?
知り合いの催眠術師に頼んだんだよ。
彼女には、僕からこう言って着いてきてもらったんだ。
『これが、僕からの最後のお願いだと思って着いてきてほしんだ。』
『変なところじゃないよね?』
『勿論だよ! 変な事をする気もないしね。』
『・・・分かったわ、最後だからね!』
『うん。』
僕は散々、彼女を追いかけ回して彼女にも嫌われていた。
でも、これが最後だからと彼女に言うと素直に僕に着いてきてくれる。
僕は、彼女のそういうところも好きだよ。
だから諦めきれないんだ!
彼女は優しすぎる。
こんな僕にもとっても優しんだ。
だから僕は君を独り占めしたくなったんだよ。
ほんの少しでいい! 僕の事を好きになって欲しいんだ。
たった僅かな僕の願望を叶えたい!
もう少しだからね、君は僕の事が大好きで仕方なくなるよ。
『やあ!』
『おう!』
『・・・この男性は?』
『少し話をするだけでいいんだ。』
『どういう事かちゃんと説明して!』
『ワタシが貴女を“催眠術にかけるように彼から頼まれたんです。”』
『・・・何の催眠術をかけるきなの?』
『こんなにも君は僕の事が嫌いならきっと催眠術にかけても僕の事が
好きになる訳ないと思ってね。』
『・・・そんな催眠術に私がかかる訳ないでしょ!』
『じゃあ、やってみようよ!』
『嫌よ!』
『“僕を好きになるのが怖いの?”』
『貴方はそんな姑息な手を使ってまで私を好きにさせたいの?』
『させたいよ。』
『・・・分かったわ! 催眠術にかけてもらってもいいわ!』
『ありがとう!』
『但し“催眠術にかからなかったらそこで終わりだからね!”』
『分かった。』
『もうこれで、私たち最後よ!』
『大丈夫! そうならないから。』
『そんなの強がりよ。』
『いいから、さあ! 早く始めよう!』
『あぁ!』
*
『ではゆっくりと目を瞑って。』
『はい!』
『ワタシが今から催眠術に貴女をかけます! 10数えたら目をゆっくりと
開けてください!』
『はい!』
『じゃあ、はじめます! “貴女は、濟賀氏ハルトの事を大好きになります!”
ワタシが10数えたら催眠術にかかりますよ。1・2・3・4・5...10。
はい、ゆっくり目を開けてください。』
『・・・・・・』
『目を開けたら? 彼の顔を見てください! もう既に貴女は彼の事が
大好きになっていますよ。いいですね、彼を貴女は愛しています。』
『・・・うん、ううん、』
【バチン】 催眠術師が手を叩いた音。
『貴女は完全に彼の事を好きになりました。』
『“私は彼の事が大好きです。”』
『ありがとう、もう男性の仕事は終わった、少しこっちに
来てくれないか、ギャラを払うよ。』
『ありがとう。』
【グサッ、、、ウッ、何を!? アァ、何故だ!】
『彼女の催眠術はこの先、永遠に解けない方がいいんだ!』
『・・・だから俺を殺すのか?』
『あぁ、助かったよ。』
・・・僕はゆっくりと彼女の元に戻り、彼女を連れて家に帰った。
彼女は僕の事を心から愛していると言ってくれる。
まるで別人のように変わってしまったが、僕は気にしなかった。
どんな彼女も、僕は愛せるからだ!
催眠術が解けてしまっては意味がなくなる。
だから催眠術師の彼を僕は殺した。
誰も疑いはしないよ! それは警察もね。
だって! 催眠術師の彼とは元々知り合いでもない。
僕が逆催眠術を彼にかけて昔からの知り合いにしただけ。
僕は彼女が僕の事を大好きでさえいてくれればいいのさ。
最後までお読みいただきありがとうございます。