祝いの言葉
「…………おめでとう」
「…………おめでとうございます」
「…………おめでとう」
今日は僕の誕生日。
でも、天涯孤独な僕を祝ってくれる人は誰もいない。
物心がつく前に村長の屋敷の前に置き去りにされていた捨て子の僕。
村長に養われ物心がついた頃には下男として働かされていた。
本当の誕生日なんて分からない。
今日という日は村長に拾われた日で1年で1日だけ与えられた休みの日。
だから僕は毎年此処に来る、屋敷の近くにある神社に。
村の人たちが入れ替わり立ち替わり訪れ互いに新年の挨拶を交わす。
「あけましておめでとう」
「おめでとう」
「おめでとうございます」
その言葉が聞きたくて僕は此処にいる。