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第3回目①

***




 人間が生身のまま宇宙に出ると、どうなるか知ってるかい?


 体が内側から破裂する、全身が凍り付く、真空中で血が沸騰する。

 所説あるようだけど、実際のところ、どうなのか?

 私が答えよう。


 人は普段、地上で「大気圧」という空気からの圧力の中で生活している。

 その空気の重さに押し潰されずに済んでいるのは、体の内側から外側へ「反発する力」が働いているからだ。

 もし大気圧がなくなってしまうと、内側に残った反発力で体は膨張し、自壊してしまう……というが、そんなことはない。

 実は、人の体ってのは思った以上に頑丈でね。

 航空機を操縦する人になんかは、時に10Gもの重力がかかる。

 または、海底に潜水する人も同じだな。大気圧の10倍以上の圧力がかかったりする。

 それでも潰れたりすることはない。

 なら、たかだか1気圧程度の力で体が爆発することもないってわけだな。

 顔が少しむくんだ感じになるのが精々さ。


 また、宇宙の温度はほぼ絶対零度の極寒だが、だからと言って宇宙に出るとすぐに凍り付くなんてことはない。

 体が冷えるには、体から熱を奪う物質が必要だ。

 伝熱の原理は知っているかな?

 宇宙には空気も何もないから、熱が移動する先がない。

 つまり、いくら宇宙空間が寒くても、そもそも体温が下がることはないのさ。

 暗黒星雲のど真ん中にでも転生した場合は話が別だがね。


 富士山の頂上で水を熱すると、80℃くらいで沸騰するという話は聞いたことがあるかな?

 これは、気圧が低いと沸点が下がるためだ。

 山頂は空気が薄いというだろう?

 では、気圧をゼロにする……つまり真空になるとどうなるか。

 沸点と融点が限りなく近くなり、結果的に水は「一瞬で沸騰し」「すぐに凍り付く」ことになる。


 しかーし。

 血液も同じことになるわけじゃあない。

 というのは、気圧がゼロになっても、血液は血管から「血圧」という圧力を受けているからだ。

 圧力があれば沸点は変化しない。

 つまり、血液が沸騰することもないというわけだな。


 結論を言おう。

 人が宇宙に出ても、内側から破裂することも、凍ることも、血が沸騰することもない。

 どうだい、案外行けるじゃんと思うだろう。

 私も、初めて「地球型惑星」の地面を踏みしめたとき、そう思ったものだ。




 15秒後には氷像になっていたがね。




***

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