第1~2回目
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最初に転生した世界のことは忘れもしない。
なんたって地面がなかったからね。
木星型惑星というやつさ。
……その顔は分かってないな?
ググれと言いたいところだが、まあいい。教えてあげよう。
木星型惑星というのは、要するにガスで出来た惑星だ。
岩石や鉄で出来た惑星は、地球型惑星という。
地面が無ければ、当然立つこともできない。
重力に逆らうこともかなわない。
結果どうなったか?
引きずり込まれたよ。星の中心まで。
いつ死んだのかも分からない。
体の中も外も未知のガスで埋め尽くされて何が何だか分からんうちに、私は次の世界にいた。
次の世界。
そこは、寿命を迎える寸前の星だった。
中性子星というらしいね。
表面温度は数百万度に達し、あまりに強烈な磁場で物性が変わってしまうのだとか。
重力は実に、地球の二千億倍にもなるそうだ。
そりゃあ即死するさね。
おそらく潮汐力というやつかな。転生した瞬間、微粒子レベルでバラバラさ。
あるいは磁場か、はたまた超高温で蒸発したか……。
ん?
ああ、確かに。
即死したのに、そこが木星型惑星であったこと、中性子星であったことが何故分かるのか?
うん、正直言ってな、私にも確かなことは言えない。
けど、なんていうのかな。
大体どの死に方でも、一瞬で桁外れの負荷が全身にかかる。
慣れてくると、その感覚に思考が追い付いてくるんだ。
そこに知識を後付けする感じかな。
まあアレだよ。
それくらいになるまで死んだってことさな。
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