第???回目
誰もが一度は考える「自分がもし転生したら」。
それが現実になったとき、どうなるかというお話。
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異世界に憧れ、毎夜毎夜転生を心に願っている君に伝えなければならないことがある。
あれ、違う?
そんなことないって?
細かいことはいいんだよ。
もし君が、今の人生に不満、あるいは不幸を抱いていて、それが違う世界に強くてニューゲームで転生したら何もかも覆る……などと考えているならば。
選り取り見取りの美少女、剣と魔法のファンタジー、笑いあり涙ありのドラマティックな英雄譚を歩めるのだなどと、しょうもない妄想を膨らませているのであれば。
私は真実を伝えなければならない。
異世界転生における最大の敵は、魔物でも、魔王でも、神様でもない。
『地球型惑星かつ温度酸素重力大気圧その他諸々の気象条件が最適な環境で人に近しい知的生命体の言語を始めとする文明が発達していて飲み水や食料等を十分に確保できる資源がありその世界の生態系の頂点に立つ生物が明らかな異邦者に対して友好的である』―――という世界。
転生した君がまず最初に戦うのは、他でもない『確率』だ。
闇鍋のように混沌としたハズレ世界の中から、上記のような神世界を引き当てなければならないという絶望的確率なんだ。
……何を言っているのか分からない?
そうか、ふむ。
そうだな。
ここはやはり、私の体験談を話した方が分かりやすいか。
つまらないかもしれないが、しばし思い出話に付き合ってくれ。
自らの寿命が尽きるまで転生し続ける、という、厄介極まりない力を持って生まれてしまった私の―――無限地獄のお話さ。
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