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炎の魔法使いを追って  作者: oga
式神
9/15

ケース2 その4

 昼になり、放送で3人を呼び出すことにした。


「ムロ、これで飯食ってこい」


 1000円を渡して、邪魔なムロを追い払う。

12時を回って、さっきの受付に放送を流す手配をしてもらうと、一人ずつ面談室に呼び出す。

ロウが部屋で待っていると、まず最初に赤嶺アカネが現れた。

赤みがかった髪の色の生徒だ。

おもむろにドアを開けて、椅子にドカと腰掛ける。


「で、私に何の用ですか?」


「昨日、式薫が焼死体で発見された。 式薫について、何か変わったことが無かったか、話を聞きてー」


 式薫が死んだ、という話は既に小耳に挟んでいたようで、赤嶺アカネは微動だにせず、さあ、と手を広げた。


「私は何も」


「……」








 次に呼び出したのは、青山ルビー。

青みがかったショートヘアの女子で、ノックをして中へと入ると、軽く会釈をして椅子に腰掛ける。

さっきと同じ質問を投げかけると、目線をそらして、何も知りません、と答えた。


(……3人で口裏合わせをしてんのか?)


 結局、青山ルビーからも情報を聞き出すことは出来なかった。

3人目の矢部メガネを呼び出す。


「失礼します」


 中に入ってきたのは、ザ・生徒会長という出で立ちの、黒髪の女子。

式薫について質問すると、実は、という返答。


「……絶対に、私が話したことは言わないで下さい」


「ああ」


「式さん、口封じで殺されたのかも知れません」


「口封じ?」


 矢部メガネは、紫式部の秘密を口にし始めた。

 

「私たち紫式部には、もう一人メンバーがいました。 黒闇キョウコ。 1年前に、私たちのイジメにあって、死にました」


 ロウは、ゴクリ、と唾を飲み込んだ。

矢部メガネの話によると、紫式部発足前に、黒闇キョウコを含めたメンバーでつるんでいたが、黒闇は友達というよりむしろ使いっ走りで、式薫の儀式の実験台にされた。


「式神のカードで、式神を呼び出してみろ、と」


「……」


 式薫の火のカードに10円玉を走らせ、五芒星を書き出す。

こうすることで、九尾狐の式神が現れる。

放課後、何があっても大丈夫なよう、人気のない屋上でそれを試したらしい。


「それで、どうなった?」


「……炎が」


 黒闇は炎に包まれ、全身大火傷の重症を負い、病院で亡くなった。

事件は明るみにはならず、それ以降、罪悪感を感じた彼女らは、罪滅ぼしに紫式部を立ち上げ、今に至る。

これが、紫式部の秘密の全容であった。


「マジか…… じゃあ、式薫はその秘密を誰かに話そうとしたってことか?」


「恐らく。 私たちの中の誰かがそれを知って、秘密を守るために殺したのでは……」


 赤嶺アカネ、青山ルビー。

どちらかが、式薫を殺した犯人なのか?


 

 

 

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