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炎の魔法使いを追って  作者: oga
式神
8/15

ケース2 その3

「4枚しかねーの?」


 5つの式神を呼び出す、という話である。


「はい、もう一枚が見当たりませんでした」


 水、土、雷、氷、の4つのカードは、床にばらまかれた状態で見つかったが、残り一枚が見つからなかったらしい。


「もう一枚って、火、のカードか?」


「母親曰く、そのようです」


 カードには、漢字で文字が書き記されている。

自殺なら、自分で式神を呼び出し、その際、火がカードに燃え移ったか。

他殺なら、誰かがカードを抜き取って、殺した可能性がある。


(式神使いの家族にもう一度事情聴取だな)


 ふと、ムロの方を見やると、何やら鼻息を荒くさせ、棚にかけられている制服の匂いを嗅いでいる。


「こっ、これは…… クンクン」


「おいこら、てめっ」


 ロウが拳を振り上げ近づくと、ムロが早口でまくし立ててきた。


「ロウ殿、これはかぐや月姫女学園の制服ですぞ! しかも……」


「知るかよっ」


 しかし、かぐや月姫女学園、の名前を聞いて、一瞬動きが止まる。


「……紫式部、か?」


 ムロの目の奥で、光が瞬く。


「……ご存知でしたか。 式薫という名前、どこかで聞いたことがあると思っていたのですが、紫式部のメンバーの一人で間違いありませぬぞ」


 ロウは、紫式部については全くの無知であったが、今朝、電車でその名前を聞いたのを思い出した。

ムロによると、紫式部とは、花より〇子でいう、「F4」のようなもので、文武両道の伴った上位4名が在籍する学園最高峰の部の事である。

メンバーは、赤嶺アカネ(吹奏楽部部長)、青山ルビー(水泳部部長)、式薫(式神研究会部長)、矢部メガネ(生徒会長)のそうそうたる顔ぶれであり、学内の風紀を守りつつも、イジメの撲滅に尽力したりと、その活動範囲は広い。

正義の味方として、学外でもファンが多数存在するとのことだ。


(説明なっげ)


 耳くそをほじりながら、一応、話を聞くロウ。

ムロは更にヒートアップし、メンバーについてあーだこーだと喋り続けている。


(このメンバーに、式薫の近況がどうだったか、話を聞いてみるか)








 

 午後、やって来たのはかぐや月姫女学園。

ムロを車内に残そうとすると、


「私を連れて行かねば、この場でダンボを連発しますぞ!」


 と言われ、慌てて叫ぶ。


「ざっけんな、てめっ……」


 車内をサウナにされたらかなわない。

渋々、ムロを連れて行くことにした。


「あんま生徒をジロジロ見るんじゃねーぞ」


「私はこう見えても、紳士を自負しております」


(変態紳士だろーが)


 ブツクサ言いながら、校内へと入り、事務室へと向かう。


「えーっと、シンジュクク警察署の、ロウって言います」


 警察手帳を取り出し、受付の女性に素性を説明。

昨日の事件の概要を伝え、式薫の近況を知りたいからと、紫式部のメンバーの居場所を聞き出す。


「今はまだ授業中ですので、12時に放送で呼び出します」 

 

「どーも」


 


 

 

 



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