ケース1 その2
「とりあえず、ステータス、見せてくれ」
ステータスとは、いわゆる身分証明書で、そこに個人の能力が記載されている。
小島恵子は、財布を取り出し、そこからステータスカードを抜き取ると、ロウに渡した。
「……」
名前 小島恵子
職業 サッキュバス
HP 23
MP 35
魔法 テンプテーション
※相手を誘惑する 使用MP1
(火に関連する魔法は使えない、か)
もし小島恵子が嘘をついていた場合、人を燃やして殺す方法はざっと4つ。
1つ目はガソリンを撒いて火を付ける方法。
これは、部屋にガソリンを撒かれた痕跡があればすぐ発覚するだろう。
2つ目はガスを使ったガス爆発による方法。
これも上に同じ。
3つ目は火炎放射器などの重火器を使用する方法。
これは、入手すること自体が難しい上に、取り扱ってる店も限られるし、購入履歴ですぐに足が着く。
最後に、魔法を使う方法。
ただし、強力な魔法を使うには資格が必要となる。
ステータスへの記載も義務付けられている為、その線は現時点では捨てても良いだろう。
「小島恵子さん、鑑識結果が終わるまで、申し訳ないすけど拘留させて頂きますよ」
「え~、いいですけど。 エッチなこととかしちゃダ・メ・よ?」
「……」
この後、鑑識が数名現れ、現場の調査。
ガソリン、ガスが部屋に残っている痕跡は無く、小島恵子が殺人を犯した可能性は極めて薄くなる。
(後は重火器、か)
ロウが、102号室の前で電子タバコを燻らせていると、向こうから男が一人、現れた。
「おや、おやおや? 一体全体、どうしたんですか?」
先の丸い杖を持って、おかっぱの男。
どうやら、このアパートの住人らしい。
「ああ、今朝、死体が発見されたんだよ。 このアパートでな」
すると男は、妙にでかいリアクションをとって、驚いた体をとる。
「し、死体ですかっ!? 一体全体、どんな焼死体が見つかったんですか?」
(……こいつ)
焼死体、とは一言も言っていない。
クサイな、と思ったロウは、ステータスの掲示を求めた。
「一応、ステータス出してくれ。 捜査の参考程度にな」
「ええ、ええ。 もちろん協力しますとも」
調子のいい男は、ステータスを財布から取り出した。
名前 ムロ
職業 魔法使い(自称)、コンビニの店員
HP 15
MP 10
魔法 ダンボ
※周囲の温度を最大10℃上げる 使用MP1