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炎の魔法使いを追って  作者: oga
魔法使い
2/15

ケース1 その1

 早速、車で死体の見つかったアパートへと向かう。

連絡をくれたのは、死んだ男の恋人、とのことだ。


「か、カズ君が目の前でいきなり、燃えたんです!」

 

 朝っぱらから彼氏が燃えるなんて、災難だな。

ハンドルを握りながら、ロウはそんな風に思った。

アパートの前に車を止め、外へと出ると、女が一人、立っている。


「あっ!」


 そう言って、パジャマ姿の女性がこちらに駆けて来た。


「えーと、連絡くれた焼死体の彼女さん?」


「もうっ、そんな呼び方やめて下さい! 私の名前は小島恵子ですっ、プンスカ」


(ぶりっ子か?)


 彼女の名前は小島恵子。

年齢は20で、職業はサッキュバス。

その証拠に、頭から小さな角が生えている。

うるせぇ〇らに出てきそうな、そんな出で立ちだ。

ちなみに、死んだ彼氏は黒焦カズオで、職業は悪魔、とのことだ。


「で、死体はコッチ? ドッチ?」


「アッチ、です」


 腕を引かれて、102号室の前までやって来る。

鍵を受け取り、ドアノブを捻ると、猛烈な匂い。


「おえっ、おええっ」


 思わず、玄関にゲロをぶちまける。


「やっべ、現場汚しちまった…… つか、人の焼けた匂い……」


 例えようのない、気持ちの悪い匂いが立ちこめる。

お邪魔しま~す、と部屋の中へと歩を進めると、いた。

黒焦げの、遺体。


(まーじでか)


 ロウは、携帯を取り出し、鑑識課に連絡を入れた。


「ちょっと、死体見つけまして…… ええ、かなりグロいす。 じゃ、頼みます」


 ぶつ、と携帯を切ると、手で口を押さえながら急いで外へと向かう。


「ぶはっ、すー、はー、すー、はー……」


 息を止めながら電話したため、危うく窒素するとこである。

新鮮な空気を吸い込むと、小島恵子が言った。


「死体とか、見るの初めて何ですか?」


「……は、初めてじゃねーわ」


「クスッ、かわいいですね」


「ばっ、馬鹿やろ……」


 といいつつ、お前もかわいいゾ、とか思っちゃうロウ。

オホン、と咳払いしつつ、事件当初のことを質問する。

 

 事件が起きたのは早朝の8時。

彼氏の黒焦カズオがスーツに着替えている最中に、突然燃えた、とのことだ。

冷静さを欠いた彼女は、ただ慌てるだけで、そのまま彼氏は死んでしまったらしい。


「私がもう少し早く水をかけてれば…… えーん、カズ君」


 えーん、えーん、と泣きマネをする彼女。


(何か、怪しいな……)

 

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