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炎の魔法使いを追って  作者: oga
ファイアガン
13/15

ケース3 その1

 今日、黒闇キョウコの審理が行われる。

本人は身動きが取れない為、病室の映像をスマホで裁判所に送っている。

ロウは傍聴席からその様子を眺めていた。


「では、判決を言い渡します。 黒闇キョウコは、式薫及び矢部メガネを式神を用いて殺した罪により、懲役35年の刑を言い渡す」


「ま、マジか……」


 流石に2人の人間を殺した罪は重い。


(黒闇キョウコ…… 少し、同情するわ)


 一度は殺されかけ、生き延びても長い投獄生活。

ロクな人生ではない。

裁判官が小槌を振り下ろし、閉廷、と思いきや、


「……と、言いたい所ですが、黒闇キョウコにも色々と込み入った事情があった。 それに現在治療中故、怪我が完治した後、刑務所への連行を命じます。 その間、ロウ捜査官、あなたが面倒を見るように。 以上、閉廷!」


 カン、という乾いた小槌の音が響く。

みな、立ち上がり、裁判所を後にする。

その中で、ロウは一人、呆気に取られていた。


「……俺が面倒を見るって、どーゆーこっちゃあああああ!?」


  






 

「……何でこんなことに」


 日曜日。

ロウは今、ムロ、黒闇キョウコと共に、美術館に来ている。

黒闇キョウコがどうしても、「コッホの絵」を見たいと言い出した為、看護婦の許可を取って車椅子でやって来た。


「私、芸術に興味があって、特に印象派のホニャララ」


 芸術に一切興味の無いロウは、適当に相づちを打つ。

ムロも、アニメやら漫画の方が好きな為、さっきから全く会話がかみ合わない。


「今期のオススメはマリファナ・フレンズですな。 これは絶対見ておいて損は無いですぞ」


(しらねーよ)


 美術館のコッホ展は中々に盛況で、チケットを購入するのにも列が出来ている。


「ちょっと列並んどいてくれ」


「なっ、逃げる気ですかっ」


 ムロが胸ぐらを掴んでくる。


「ばかやろ、腹減ったからタコ焼き買ってこようとしただけだって」

 

 ムロを突き放し、銀だこの期間限定「ピザポテト」味を購入。

その内の一つを楊枝で差して、黒闇キョウコに渡す。


「あ、ありがと……」


 中に入ると、壁に絵の具をそのまま塗りたくったような絵が等間隔に並べられている。

格式高そうな人らがその絵をマジマジ見つめる。

黒闇キョウコも、車椅子から身を乗り出して、絵を見ようとする。


(これのどこにそんなときめきがあるんだろな)


 腕を組んで、首を傾げるロウ。


「なあ、ムロ」


 まあ、どうせこいつもときめきメモリアルのが好きなんだろな、と思っていると、凄いキラキラした眼で絵を見ている。


「赤と黄色の鮮やかなコントラスト。 素敵ではないですか」


「あ、ムロさん、分かります? ここの赤と黄色が……」


(や、やべえ、俺だけ取り残される)








 美術館を一周し、最後にメインの「花瓶のひまわり」を見る。


「すげー人だかり」


「これだけを見に来た人もいるかと」


 人がはけるのを待っていると、突然、前例の客が悲鳴を上げた。


「ワアアアアーーッ」


「何だ?」 

 

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