ケース2 その6
「狐だっ、クソッ」
数発の銃声が真夜中に鳴り響く。
そして、今度は叫び声。
「逃げ…… ギャアアアーーッ」
2階から外を覗くと、火だるまの警察官が地面に横たわっている。
部屋にいた警察官が銃を抜いて、叫ぶ。
「俺が対処する。 絶対に下に降りてくるなっ」
階段へと走る。
続け様に、警察官の悲鳴。
「もう、ダメ……」
その場に崩れる青山ルビー。
ロウは、部屋の扉を閉めて、どこからか脱出出来ないか、辺りに目を配らせる。
(警察官が時間を稼いでる間に、何とかしねーと……)
鍵を閉めると、ベッドへと向かいシーツを引っ剥がす。
「なに、して……」
「よく映画とかであんだろ。 シーツを裂いてロープにすんだ!」
「……!」
繋いだシーツを部屋のどこかに縛り付け、窓際から脱出できる。
2人で作業に取りかかると、ドンドン、と部屋をノックする音。
そして、抑揚のない声がする。
「ハイッテモイイデスカ、ハイリマスヨ」
間に合わない。
鍵を開ける音がしたかと思うと、ドアが開く。
そこには、九尾の狐が立っていた。
「キャアアアアアアアーーーッ」
「ちきしょっ」
ロウは、腰に差していた拳銃を抜き、乱射。
しかし、鉛で出来た弾丸は、狐の目の前でロウソクの様に溶けて消える。
「式神…… お前、式神使えないのか?」
ジリジリと後退しながら、ロウは聞いた。
「紙に水って書いて…… 出来ねーのかよっ」
「や、やってみる……」
青山ルビーが、机に向かう。
狐が一歩を踏み出す。
破れかぶれで拳銃を投げつけるも、弾かれ地面に落ちる。
「お前、誰の式神だよ」
「……」
狐からの返答はない。
(クッソ、ここで死ぬのかよ……)
狐の口が開かれる。
その口から、メラメラと火が立ち上る。
自分は、このまま死ぬわけにはいかない。
だが、横に飛べば、青山ルビーに炎の塊が命中する。
(……そーだ)
この式神の主の名を呼べば、一瞬、狐の気をそらすことが出来るかも知れない。
青山ルビーでも、赤嶺アカネでもない別な人物。
「……黒闇キョウコか?」
「……」
狐が固まったかのように見えた。
背後から、水しぶきが立つ。
振り返ると、巨大な亀がロウの後ろにいた。




