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俺は特攻隊員として死んだ  作者: Saisen Tobutaira
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俺、目にした

図書館へ向かう道中の公園で、何やら集会が開かれていた。ふと立ち寄り、話を聞いてみた。


「靖国参拝反対、靖国参拝反対、靖国参拝反対」


耳を疑った。


「天皇制反対、天皇制反対、天皇制反対」


「君が代反対、君が代反対、君が代反対」


……


言葉を失った。


もう一度言う、俺は言葉を失った。


一体この集団は何なのか?今の日本人は皆そう思っているのか?俺達の死はなんだったのか?お前達の幸せ、未来のために俺は死んだと言うのに……


俺は立ち竦んでいた。隣に立つ集会に参加している若者の会話が聞こえた。


「昔の日本ってほんまにあほだよね。爆弾抱えて敵艦に突撃とかテロと一緒じゃん」


俺達のことか?


「確かに。命大事にしろよな」


俺達も死にたくなかったさ


その若者達は軽蔑するような口調で笑いながら話していた。


「そもそも負ける戦、仕掛ける時点であほじゃん。アメリカに勝てるはずないのに、昔の日本人はあほばっかりだよね」


自衛のため仕方なかったのだ、ハルノートなど受け取れるものか


そして若者の発したこの言葉に俺は絶句した。


「あの戦争で死んだ人らほんま無駄死にだったよね。どんまい」


無駄死にか……

それに、どんまいの意味などわからないがある程度想像がつく


俺は悪夢のような公園から立ち去ろうとした。立ち去る際に、ビリビリに破られた日本国旗や日章旗が目に入った。彼らはビリビリに破いた後踏みにじったのだろう、国旗にはいくつもの靴跡が付いていた。そしてなぜか、ヒトラーの肖像画もビリビリに破られていた。


俺は未来の日本に絶望しかけていた。俺が愛し、守りたかった日本はもうないのだと胸の奥深くで思っていた。あの角を曲がった所に図書館があるはずだ。とりあえず行ってみよう……


俺は絶望の中、図書館へ足を進めた。体の感覚などすでにないが、涙で溢れる目、怒りではないが熱くなる胸、ショックのあまり震える脚とともに図書館の門をくぐった。


さあ、歴史を学ぶか……







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