表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
左手で吸収したものを強化して右手で出す物語  作者: へたまろ
第2章:王都学園生活編
94/304

第79話:マサキ考える~クルージング(前編)

「やり過ぎです」

「いや、フリだけだし……」

「本当に、主ときたら」

「私達も、あの魔王の表情にはくるものがありました」

「命令だから、仕方なくやったのですが」


 えっ?

 お前らノリノリだったよね?

 魔王をからかって戻ってきたら、土蜘蛛からジトっとした目を向けられた。

 どうやら、眷族との情報共有で俺のやっていたことを見ていたらしい。


 そして土蜘蛛の不機嫌を感じ取った、収穫を手伝ってくれた虫達が俺を生贄に差し出す。

 邪神様?

 最近、虫達のコントロールが甘くなってるんですけど?


 とはいえ、俺もやりすぎたのは分かっている。

 でも、本来の目的は魔王を怒らせる事だったから。


 今まで、魔国の様子をずっと見ていたけど。

 あれっ?

 魔王って、意外と王様じゃねと感じたのは事実。

 そして、ミスリルさんも真面目に仕事をこなしている感じ。

 他の3人の四天王は、ちょっと怪しいけど。

 配下の牛たちも、バルログさんも、エドガーさんに至っては気のいい料理長だ。


 魔王の今までの行動を見て、それから北の塔で清掃作業をしていたトクマさんと直接触れ合って魔族が人間を滅ぼすように動くことに疑問を感じたからだ。


 いや、厳密に言うと人間じゃ無くて世界を滅ぼすとか言ってたっけ?


 取り敢えず魔王に対して、1人の人として興味が湧いてきた。

 あと、邪神様があれだけ言う、魔王の力も。

 

 ただ、あそこまでやって怒らないのは、想定外。

 本当は、最初にトマトを勝手にもいだ時点で怒るかなと思っていた。

 それもただの人間の子供。


 てっきり、すぐに消し去ろうと攻撃をしてくるもんだと思っていた。


 まさか、トマトを勧められるとは……


 そのトマトを握りつぶしたフリをした瞬間は、魔王から漏れ出る覇気にチビるかと思ったけど。

 それでもグッと堪えた魔王にビックリ。


 そして、諭すように叱ってくる魔王に思わず混乱してしまった。

 子供に言い聞かせるからか、その目は凄く優しかった。

 ただ、顔は怖かった……


 牙といい、角といい。


 いや、マジで魔王なんなの?


 本気でそう思った。

 で、仕方なく嫌々虫達にあんなことを……


 そういう言い訳をしてみたけど、土蜘蛛の目はあからさまにこちらを疑っているようなものだった。

 見た目には分からないけど。


 丸いし。

 黒いし。


「子供達が見て無かったから良かったものを、あんな非道な行いをしてトト達に顔向け出来るのですか?」


 ガーン!


 って、ふざけている場合じゃないか。

 実際に一瞬だけ楽しかったけど……


 ただ、部下達のために子供に頭を下げる魔王を見て、心が居た堪れなくなった。

 一瞬で冷静に戻るほど。


 完全に本来の目的を見失って、魔王を怒らせる事が目的になっていたが。

 魔王を怒らせて実力を図って、今の自分との差を見極めること、それと魔王が人に対してどのようなスタンスを取っているかも分かれば良いなと。

 勿論、魔王っていうくらいだから変身することは織り込み済み。

 しなければラッキーと考えていた。


 裏ミッションの、魔法で成長促進した野菜の味の確認は成功したけど。

 トマトはなんか、みずみずしいというか……トマト風味の水を詰め込んだトマト食感の何かだった。

 あれは良くない。


 極寒の地でも気候に左右されず、しかも成長促進の魔法まで合わせられるとなると、マルコに関係ある子の実家の助けになるかと思ったけど……とてもじゃないけど、実用性が無さすぎる。

 無いよりはマシだけど。

 あれじゃあ、普通の野菜の10分の1以下の値段で売れるかどうかといった感じか?

 まあ、いいや。

 こっちこそついでだし。


 魔王の能力測定が問題。

 変身した姿を多めに見積もって、元の力の100倍までと考えていたが……まさか、怒るどころか悲しむとは。


 完全に、どっちが悪者だか分からない。


 今となっては、魔族自体悪だとは思えないが。

 いつもなら、事前にブレーキを掛ける邪神様が何も言わなかったところを見るに、俺自身に見極めさせるために敢えて放置していたのだろう。


「まあ、調子に乗り過ぎたのは事実だ……だけど、お前に謝る必要あるか?」

「その必要は無いです! ただ、今後はもっと慎重に行動をお願いします」

「分かったよ、そっちの方は自重するさ……それにアフターケアもバッチリしたんだから、多少は大目に見てくれ」

「まったく……まあ、目的あってのことだと思いますから、今回は何も言いません」


 散々言っておいて、どの口が……とは言わない。

 だって、ちょっと怖いし。 

 

 土蜘蛛が言いたい事が終わって満足したのか、戻っていく。

 尻をプリプリと振っているところを見ると、まだ少し怒ってそうだけど。


「今夜の夕飯は、肉と魚のみですからね! 野菜を粗末にする人には野菜は出しません」

「うっ……いや、粗末にはしてないけど」


 さすがに動物性たんぱく質のみの食卓とか。

 この場合、植物全般をさしてそうだし。

 だから、味付けも塩のみで植物由来のものは無しにされそうだ。

 

 確実に胸やけを起こす。


「すまん」

「まったく」


 取りあえず謝っておく。


 さてと、考えを纏めるか……


「主様!」


 と思ったらすぐに別の虫が。

 断罪の(エクセキューター)女王蜂(・クイーン)だ。


 土蜘蛛とは打って変わって上機嫌なのが丸わかりだ。


「流石、主様ですわ! 魔王を跪かせて見下ろす姿に、妾は年甲斐もなく胸がときめいてしまいました」

「いくつだよ!」

「女性に歳を聞くのは、野暮ですわよ?」


 そんな事を言いながら、俺の肩に手を置くジョウオウ。

 あっ、一応蜂のまとめ役だから名前を付けた。

 ジョウオウだ。

 そのまんま?


 いや、色々とイメージ通りだと思うけど。


「妾も、これでもかなり攻めた方だと思うておりましたが、まだまだ主様の足元にも及ばないようですわ! 尊敬いたします」


 あまり嬉しくない。

 そういう意味合いの行動では無かったのだが。


 うっとりとした表情で見つめて、流し目を送ってくるジョウオウを手でシッシッと追い払う。

 いや、表情は変わらないし複眼だけど……


「つれないですわ」


 良いから、出てってくれないかなあ……


「でも、妾に対して唯一、攻め手を務められるのは主様だけですわ……その、そっけない態度、ゾクゾクします」


 良いから、出てけ!


 散々俺に色目を使って来たが、冷たくあしらったら恍惚の表情を浮かべて帰っていった。

 羽を器用に羽ばたかせ、俺の肩に手を乗せてその上に顎を乗せて見たり。

 俺の横にホバリングして、ふとももに手を乗せて見たり。

 いちいち色仕掛けが古い。

 

 ちょっと違った意味で可愛く見えて、フッと鼻で笑っておでこにデコピンをしてやった。

 おでこを押さえて、ポーっと頬を赤らめてこっちを見てくるジョウオウ。


 なんかカチッて音が聞こえたけど。

 まさか、フラグが立った音とかじゃないよな?


(たぎ)る……」

 

 そんな事を言いながら、フラフラとようやく出てってくれた。


 色々と不安だ。

 大丈夫か、あいつ?


 あと数百人規模の人妻は、ごめんだから。

 バツイチわぁ!

 処女がぁ!

 とは言わないが、子沢山は無理。

 いきなり、数百人の子供のパパにはなれません。


 それにしても、まさかの魔王が穏健派だったとは。

 しかも人間との国交正常化を考えているとは、色々と考えさせられる。

 あげくに部下思いの、子供好き。


 これでも一応、魔族と人との確執は調べたつもりだ。


 どっかの国の貴族が、護衛として大事に扱っていた1人の魔族にいきなり理由もなく殺された上に、殆どの防衛戦力を潰され領地を乗っ取られかけたとか。

 本には、その魔族は表情を変えることなく淡々と貴族の四肢を千切って、イチモツを焼き切った後、冷たい目で失血死するのを眺めていたとか。

 それから、取り押さえに来た警備の者達の頭を全て吹き飛ばして、街の衛兵達もほぼ皆殺しにして魔国に帰っていったと。


 魔国はその下手人の差し出し要求を突っぱねたため、その魔族は人間の国に攻め入るための尖兵だったとの疑いを持った人間の国が連合を組んで、12人の英雄を犠牲に北の半分に押し込んだんだっけ?


 大軍を率いて先陣を切り、当時の四天王を下し北の魔大陸で合流した12人の英雄。

 当時北の大陸は、全域を魔王率いる魔族が統治していたため魔大陸と呼ばれていた。


 そしてそのリーダー達は、精鋭として500人規模の兵を連れて攻め込み、多くの犠牲の上に魔王の元に辿り着いた。

 そして魔王との熾烈な争いの後に死んだ12人を、12英雄としてその国は丁重に弔って石像まで立てている。


 ちなみに東西南北の各大陸にある4つの塔は元々大使館的な役割をしていたらしく、塔内に魔王城との転移陣があるとか。


 現状、その転移陣を押さえて、魔王城への足掛かりとするために各国が冒険者や兵士を使って押さえているらしい。

 逆にそこから魔王軍が来ることも考えられるため、最悪は転移陣を壊す事も視野に入れていると。


 だが、先の魔王や魔族達の様子を見る限り、そんな様子は全く見られない。

 これは、魔王サイドの話の内容を確認する必要もあるかも?


 今度、きちんと正面から会いに行ってみるか……

 ただ、それはそれ、これはこれ。


 それから、四天王の方はちょっと様子見。

 いずれ魔族が人間の脅威になるらしいから、もしかしたら四天王の誰かがクーデターを起こして魔国が過激派になる可能性もあるし。


 取り敢えず、トクマには会いに行こう。

 友達になったし。

 ミスリルさんは、そのついでに……


――――――

「本当にあんたら仲良しね」


 ヘンリーを連れだってホテルの食堂に向かったら、エマから挨拶より先にそんなセリフが飛び出した。

 まあ、仲良しなのは否定しないけど。


 全員揃ったところで、仲良く朝食を頂く……つもりだったのに。

 セリシオがさっさと食べてた。

 聞いたら、一番に来ていたらしい。


「俺は、全メニューを制覇してから帰る」

「はあ?」


 そんな事をのたまうセリシオを前に、ジトっとした目を向ける。

 偉く志の低い王子様も居たものだ。

 大人の貴族や、クラスメイト以外の生徒の前では割と王子、王子してるくせに。

 このメンバーだと、子供っぽくなる。


 まあ、それだけ距離が近いと思えば悪い事では無いけど。


「で、それ全部食べられるの?」

「ん? 大丈夫だ! 残ったらクリスが食ってくれる」

「えっ?」


 すでに自分の分を取り終えているクリスが、驚いた表情を浮かべている。


「冗談だ……流石に、いくらなんでも手を付けた物は渡さんよ」

「てことは、全部食べるつもり?」

「当然だ!」


 確かに結構な量を食べた様子は見られるが、それでもまだまだ料理はお皿に乗っている。

 大丈夫だよね?


「む……無理だ」


 大丈夫じゃ無かった。

 まあ、一口ずつ全制覇みたいなことは出来ないからね。

 量を選べない物もあるし。


 四角く切り分けられたラザニアみたいなやつとか、最初から小皿に入れられた料理とか。

 

 昨日は海水浴をする予定があったから、腹八分に留めていたらしい。

 ディーンの警告を受けて。

 泳ぐ前に食べ過ぎると、危険なのは事実だ。 


 でも、今日はガンバトールさんが個人的に持つ船で、遠洋の方まで出るから腹いっぱい食べるつもりだったと。

 セリシオって船に乗った事あるのかな?


「ん? 船か……昔、父上に他の大陸に連れて行ってもらった時に大きな船には乗ったぞ?」


 さいですか。

 ご愁傷様です……いや、優秀な殿下なら?

 無理か。

 だって、セリシオだし。


 ただ、このままだと二次災害が発生するかもしれないし。

 あと、セリシオの名誉の為に伝えておこう。


「あんまり食べ過ぎると、船酔いした時にぶちまける事になるよ?」

「ぬっ! そうなのか?」

「ええ、ただまあ、命の危険はありませんので」


 セリシオが聞いてないといった表情でディーンに問いかけると、ディーンがなんでもないように答える。

 これは、わざと教えなかったパターンか……


 少し頬が引くついているし。

 相変わらず、良い性格だ。


「船に乗って、海や島を見て回るのは良い事のように聞こえたのですが」

「船は結構揺れるからね、馬車酔いみたいなものだよ」

「そうですか……馬車なら大丈夫だけど」


 ソフィアが不安そうに呟いている。

 それから、目の前のお皿を眺めている。

 うん……君も結構盛って来たね。


 いや、分かるけど。

 バイキングって、最初に取りに行ったときはお腹も空いているから、食べられると思って取り過ぎちゃうんだよね。

 僕は色々なものを食べるというより、気に入ったものをたくさん食べたいからそんなに大量には取ってこないけど。


 ちなみにセリシオ以外は皆を待っていたので、まだ料理には手を付けていない。

 そして、僕とヘンリーに至っては料理を取りにいってもない。

 仕方ない。


「まだ手を付けてないんだったら、半分貰うよ。僕は取りに行って無いし」

「本当ですか?」


 ソフィアが助かったといった様子で、ホッと胸をなでおろしている。

 その横のエマは、それなりの量しか持ってきてなかったけど。


「エマも大丈夫? 半分貰ってあげようか?」

「あら、私は大丈夫よ。そんなに取って無いし」

 

 ヘンリーが僕の真似をして、エマに尋ねたけど見事に玉砕していた。

 というか、見れば分かるだろう。


 普段はソフィアの方がしっかりしているけど、案外ソフィアは食い意地が張っているのかもしれない。


「じゃあ、僕のを半分貰ってくれるかな? まだ手も付けて無いから」

「えっ? あっ、うん」


 そう言って、ホテルの人に自分のお皿の料理を分けさせたのはジョシュア。

 ヘンリーがあからさまに微妙な表情を浮かべていたけど、自分からエマに言い出した手前断り切れなかったようだ。


 それから手早く食事を済ませると、一旦部屋に戻る。

 僕は大丈夫といえば大丈夫だけど、溜まった洗濯物を頼めばホテルの人が洗ってくれる。

 長期滞在客の為のサービス。

 フロム、マサキ!


 そう言えば長期出張客の為に、洗濯とアイロンのサービスを有料でしている高級ホテルって日本には結構あったしね。


 マサキがガンバトールさんに、いっぱい泊まりたくなった人って着替えが足りなくなりそうだね?

 ホテルでお金取って洗ってあげたらお金貰えるし、もっとこの街に居てもらえるんじゃない?

 と言ったら、すぐに採用されていた。


 本当に、マサキはこの街をどうしたいんだろう?

 ベルモントより、観光産業の開発に力を入れていたように見えたけど。


 と聞いたら、見るからに地中海な雰囲気のこの街を、じっくりと観光したいらしい。

 その時に、少しでも過ごしやすくするために色々と手を貸しているとか。


 現に、今日乗せてもらう船も構想はマサキが考えていたし。

 観光船という概念は、この世界にはまだ無かった。

 勝手に曰くを付けた岩や、見た目で無茶苦茶な形容をする岩とか。

 それを、見るためだけに船に乗るとか。


 船は移動か漁の為のものというのが、この国の常識だ。

 決して、景色を楽しむためのものでは無かった。


 船に乗って、周囲を回るだけでお金が貰えるとか……

 半信半疑だったガンバトールさんが、マサキとぐるっと船に乗って周囲を回って戻って来ると、すぐに採用されたけど。


 その時のルートは覚えていないけど、ガンバトールさんの反応を見るに良いものだったんだろう。


「あちらに見えますのが、邪神岩です! どうです? ぽっかりと空いた穴が、全てを飲み込んでしまいそうなほど恐ろしいでしょう?」


 そう言って岩窟を指さすのは、観光をお手伝いするお店の女性。

 主に、街の案内やこういった船から見える景色の案内をしてくれる人だ。


 ガイドだな……


 ガイドといえば街の孤児に頼む人や、またそういった仕事を勝手にやっている人は居たが、お店としてやっているのはこの街だけだろう。


 その分、しっかりと知識を持っていてこっちの質問にも答えてくれる。


 指を指した先にあるのは、ぽっかりと大きく空いた洞窟の入り口。

 光が届く範囲は青く透き通っているけど、その奥は真っ暗で入ったら抜け出せ無さそうな印象を受ける。


「あれは夫婦岩ですね」

 

 どこにでもある大小の岩山。

 三重の伊勢の近くの夫婦岩。

 天の岩戸で有名な二見玉輿神社のあれはかなり知名度が高いが……


 天の岩戸だけで言ったら、宮崎の方が有名かも。


 夫婦岩や天の岩戸は全国津々浦々あちこちにあるのだから、ラーハットにも似たようなものはある。


「大きな岩が嫁、小さな岩が夫とされています」

「なんで?」

「さあ、なんででしょうね」

 

 子供の質問に、ニヤニヤとした笑みを浮かべて首を傾げるガイドさん。

 いや、割と男尊女卑だからねこの世界。

 それこそ中途半端な貴族なんて、嫁を跡取りを産む道具にしか見てない者も居る。

 まあ、家柄や色々な政治的思惑もあって、好きでも無い女性と結婚させられたらそうなるのは仕方ないか。


 普通に恋愛結婚したならば、それなりにお互いを尊重しているみたいけど。

 ほぼほぼ、男性の立場が強い世界とはいえ、何故か女性の尻に敷かれている男性の方が幸せそうに見えるのは……本当にお互いが愛し合っているからかな?


 それもそうか……貴族達が嫁を道具としか見てない中で、男が増長してしまうのは仕方ない。

 そんな風潮のある古臭い世界の中で嫁が、自分に対して何をしても許してしまえるのは……それだけ、愛しているからだろう。

 無論、現代日本ではガチで強い女性が沢山いるけれど、別れないっていうのはそういうこと。

 俺もそんな女性に巡り合いたかった!


 と言っていたマサキを見て、何故か意外とメルヘンだなと自分事ながら思ってしまった。

 本当に怖い鬼嫁だっているし……


 承認欲求の高い人は、自分が何をしても許して貰える事で安心するらしい。

 これは、男性だから、女性だからって差は無い。

 ペアに酷い事をして、それでも許して貰ってやっと愛して貰えていると実感する面倒臭い人達は居るのだ。

 相手の愛情を確認するために行う、虚しいDV……それで別れたら傷付くのは自分なのに。


 僕の記憶の片隅にあるくらいだから、マサキだったらもっと知っているはずなのに。


 そういった知識があるから、自分は大丈夫だって思いこむのは危険だよ?

 僕は大丈夫だけどね。

 アシュリーの事を思い出して、ついつい頬がにやけてしまう。


「あらっ? マルコ様は意中の相手でもいらっしゃるのですか?」

「えっ? なんで?」

「いえ、夫婦岩の説明の中に、笑っておられましたので」

「ええ? はは……まあね」


 ニヤニヤしていたのをガイドさんに見つかって、突っ込まれてしまった。 

 恥ずかしい。


 それから横から見ると言われてみればって感じのドラゴン岩や、人面岩を見て苦笑い。

 いくらなんでも無理があるよマサキ。


 そして、本日のメインイベント。

 ホエールウォッチング。


 といっても、これは完全に運任せだけど。

 波に揺られて、船の上でしばらく待機。


 ちなみに操舵室の下は、広いリビングのような作りだ。

 柔らかいソファとテーブル、そして入り口側の全面はうちから提供したガラスで覆われている。 

 2階建てのクルーザーのような船。


 推進力は、一応風の魔法を得意とした男性魔導士と、風の魔石。

 船の左右に1人ずつ。

 彼等が、水中で風を推進力に代えている。

 操舵室に居る船長が、ウィンカーの代わりに光る魔道具を灯す事で舵取りを伝える。


 ちなみに魔道具を点滅させているが、そのテンポで旋回から急旋回までを詳しく指示している。


 割とこの世界において、魔法を便利に利用した最先端の船なのだ。

 

 


時間が無くてキリよくいけませんでした(;^_^A

描写をおろそかにするくらいならと、半端で投稿しますm(__)m


感想、評価、ブクマを頂けると嬉しいです♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴブリンの管理の仕事に出向する話

↓↓宣伝↓↓
左手で吸収したものを強化して右手で出す物語
1月28日(月)発売♪
是非お手に取っていただけると、嬉しいです(*´▽`*)
カバーイラスト
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ