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左手で吸収したものを強化して右手で出す物語  作者: へたまろ
第2章:王都学園生活編

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第69話:ボーイズトーク?

本当は休むつもりだったので、短め。

「全然エマと仲良くなれない……」


 ヘンリーがその日の夜、隣のベッドで漏らす。

 まあ、仕方がない。

 小さい頃から、ちょいちょい空気が読めないのが特徴の子供。


 それは本人には伝えない。

 だって、僕は空気が読めるから。


 前にあっちでそう言ったら、マサキに鼻で笑われた。

 そして、土蜘蛛達に顔を背けられた。


 マサキ……笑ってるけど、僕の本質は君だからね?

 ブーメランだよ?


 これは言葉にしない……

 言い訳上手のマサキの事だから、きっと10倍になって言い返される。


 今回のオセロ村の視察についても、村長からはいくら子供とはいえ最先端の技術の現場を見せるのはどうなのかと言われた。

 対応はマサキ。


「別に構わないよ……リバーシなんて見れば簡単に造れるし、鉛筆はすでに主な卸先が王立学園や、王国内の事務方だから、いわゆる王室御用達を貰えているからね? 安価な品質の悪い量産品が出回れば、こっちは品質をさらにあげてブランド化を図れば良い」

「ブランド? とはなんですか?」

「書けて消せる鉛筆が欲しい人じゃ無く、オセロ村の鉛筆が欲しいという人を育成するのさ……セリシオ殿下とお揃いの鉛筆。良いじゃん、金持ちはいくらでも欲しがると思うよ」

「はぁ……」


 あんまり分かっていない村長に、中身マサキの僕が今は分からなくても良いよと、笑って肩を叩いていた。


「吹きガラスの方は……」

「今回来るのは貴族の子供だよ。それも、まだ親に領地の運営に関する口出しも出来ないような」

「とはいえ……」

「問題無いって、貴族の子供だけならともかく、セリシオ殿下……王族が来られるんだから。彼の目の前で最初に技術を発表することに意味があるとは思わないかい?」

「言われてみれば……」


 僕も良く分かって無かったけど、領地の技術や生産物ってのは基本的に国に帰属するとか。

 でもって、今回はセリシオ殿下が来るから、他の領地が思いつく前に発表してしまえと。


 それ以前に……


「というか……僕としては、観光資源の1つとして職人体験ってのをこの村で流行らせようかと」

「それは……貴重な技術を無償で教えるということですか?」

「いや、勿論参加費は頂くよ? 割高の材料費を。でもって、ガラスの製造なんて1日掛かるから、必然とこの村かベルモントに一泊する必要が出るわけさ」

「……中々に、都合の良い話のように聞こえて来たから不思議ですが、結局は持ち帰って技術を盗まれる事には変わりないですよね?」


 村長が食い下がる。

 全く同じ説明をお父様にしたからか、マサキはスラスラと言いくるめていく。


「こんなもん、どっかで盗み見されたら簡単に盗まれるし。だって、穴の開いた竿を口で吹いて膨らますだけだからね?」

「確かに……」

「どうせ、ここからガラス製品を売り出したところで、すぐにその技術は盗まれて模倣品が出回るよ?」

「でも、それまではうちだけの商品として、高額で……」

「短期間の利益を求めるより、細く長くだよ」


 村長さんが首を傾げる。

 その様子を見て、マサキが懇々と説明を続ける。


「まず……ガラスの製造方法だけど、もっと技術革新を進めて他が真似出来ない方法を考えているところだから」

「今日の坊っちゃんは、やけに小難しい話し方をされる」


 マサキ?

 怪しまれてるよ?

 子供らしく……ん? ある程度、自重は止めた?

 知ってるけど。


 この村は、いずれ貰うから今のうちに村長をこっちに引き込んでおく?

 いやいや、お父様が許可……しそうだ。

 だって、この村の特産は殆ど、僕が遊びと結び付けて考えたアイデアって事になってるし。


「模倣品大いに結構。だって、この製造方法を最初にやったのが、オセロ村ってのはこの夏の間に王城が知る事になるからね……他ならぬセリシオ殿下、もしくはその護衛から」

「はぁ……」

「となると、ビーチェ家とマクベス家は手出し出来ないよ。あとトリスタ家とエメリア家も……まあ、エマ辺りはなんかやってくるかもしれないけど、女の子がそんなに興味を持つとは思えないし」

「そういうものですか?」

「精々、作り方を親御さんから聞かれるだろうけど、その時まで覚えているかも怪しいし、セリシオ殿下が参加したことを聞いたら、そんなに大胆な事は出来ないはず」

「なんか……大丈夫そうですね」


 実際には、どうか分からないけどね。

 少なくとも、ベントレーとヘンリーは問題無いだろうし。

 そういうことをサラッと出来るのは、ジョシュアだけかな?

 彼、実家から離れたいって野心持ってそうだし。

 商人になりたいみたいな事言ってたし。


 それ以前に、マサキは僕を含めた子供達に楽しい思い出を作ってもらいたかったらしい。

 折角の夏の思い出に、自分達で作ったガラスの食器をお土産に持って帰る。

 それだけでも、胸が躍るだろうと。


 でもって、子供達が作ったという事で親の方もこちらの気遣いに、深入りはしてこないはずというお人好し理論を展開していた。

 マックィーンは確実に来る。

 

 ただ、セリシオという手札があるから、取りあえずその手札をジョーカーにランクアップは出来るだろうとも考えていた。

 そう都合よく、いけば良いけど。


 そして、今回の試みが上手くいったら、色々な人を親子で招待して親子ガラス作り体験ツアーなるものを考えているとか。


 特に機密性の高い技術は、オセロ村の職人区画の中でも中心に工房が集められ、高い塀で覆われているから盗み見られる事も無いだろうし。

 まあ、実はこれもダミーだったり。

 漏れても、見ただけでは真似出来無さそうな技術研究が行われているとか。

 

 本当に最高機密レベルの技術は、余所者が入り込まない住宅区域の裏で行われている。

 天窓を取り入れて、周囲を殆ど外から見えない状態にしても中は明るい工房。

 シリンダー法の大きな1枚ガラスを、数枚天井に張り付けているが中に入らないとそれすらも分からないとか。


 ただ、彼の場合は彼の親と違った意味で、僕のサイドに付くだろうことは予想出来る。

 割と、彼……自分の両親の事嫌いだし。


 学校で作った人脈を元に金儲けをして、実家の鼻を明かしてやろうって魂胆が時折見える。


「聞いてるのマルコ?」

「ああ……ヘンリーはもっとエマの表情を見た方が良いと思うよ?」


 折角色々と情報を教えて、ガイド役にしたのに……

 結局男の子の興味ばっかり引いて、肝心の女子はテトラに取られてたし。

 というか……うちに居る間、テトラのせいで距離が縮まる感じがしない。


「うーん……アシュリーとは上手い事行きそうなんだよね? いまは、マルコだけが頼りなんだけど」

「そうだね、明日は宝石を加工する工房に行くからさ、どんなのをエマにプレゼントするか考えてみたら?」

「一緒に、考えてくれないの?」

「しょうがないなぁ」


 ふっふっふ。

 僕はもうアシュリーと、この夏一気に距離を縮められたからね。

 是非、ヘンリーにも上手くいってもらいたい。


「なにその笑み……すっごく余裕があって恨めしい」

「う……羨ましいの聞き間違いだよね?」

「ジッ……」


 ヤバい、ヘンリーがダークサイドに堕ちた。

 さてと知識という武器を与えても、肝心のエマが興味を持たなければ意味が無い。

 折角要所要所のネタを仕込んでも、使いどころが悪く切れ味がナマクラだ。

 

 だったら、ここはもう正攻法で行くしかないよね?

 

 さてと原石はすでに用意済みとの事。

 今回使うのは、ルビーだとか。

 子供相手には、勿体ない気もしないでもない。


 ルビーか……

 多面体カットじゃなくても、大丈夫な石だ。

 そもそも短時間ではブリリアントカットのような、根気のいる作業は無理。

 というか、研磨専用の機械の無いこの世界では、本当に時間が掛かる。


 一応手動の研磨機は、構想自体は終わっているけど。

 デカい歯車と小さい歯車を組み合わせて歯車の間を革で繋ぎ、大きい歯車を一人が手作業でグルグル回すシンプルなやつ。

 まだ、誰にも言ってない。


 と言う事で必然とカボションカットと呼ばれる、丸みを帯びたカットになる訳だけど。

 ただの丸じゃなくて、楕円にするのか、ちょっと頑張ってハート型にするのか。

 

 いや、それも無理そうだ。


「宝石は丸で良いからさ、土台を工夫してみようよ」

「土台?」

「うん、宝石の台座の形を工夫すれば、ハート型に見せたり、菱形に見せたり出来ると思わない?」

「!!!」


 そう、何も宝石をその形にカットしなくても、台座の覆いをハート型にして中に石をはめ込めばハート型に見える。

 マサキと一緒に考えた。

 もう一度言おう、マサキと一緒(・・)に考えた方法。


「それ良い!」

「じゃあ、形は?」

「ハートで!」

「露骨過ぎない?」

「えぇ……」


 他にも色々と形が作れるのに。

 まあ、そのくらいストレートな方が良いかな?


 それから、一生懸命2人であれこれ考えてみた。


「マルコ?」


 何やらヘンリーの声が聞こえる気がするけど、今は一生懸命トマトをどう調理するか考えないと……


「……」


 ヘンリーが何か言ってる。

 言葉を喋ってもらいたい。

 あっ、駄目だよクコ!

 その苺、まだ洗って無いんだから。

 ああ、マコ! 

 それはトマトじゃ無くて、パプリカだから。


 あれっ?

 外が明るい。


「おはよう……」


 横を見ると、ムスッとしたヘンリーが。

 どうしたんだろう。


「急に、スースーって声が聞こえてきたから、呼んだら寝てるし」

「ああ、寝ちゃってた? ごめん」

 

 どうやら、宝石の事を考えながら寝てたらしい。

 お母様にはブローチをプレゼントしよう。


本編というよりもオセロ村観光からベルモント観光の繋ぎの閑話的なものと思って頂いたら。


今日乗り切ったら休みなので、しっかりと脳みそを絞ります。

それはもう、マヨネーズのチューブのように……


ブクマ、評価、感想頂けると嬉しいですm(__)m


下に、まあ酷い短編を無理矢理3話にした完結済み作品のリンク貼りました。

モブ戦記……何も考えちゃ駄目です。

感じて楽しんでください!


そして……レビュー3件目を頂きました♪

本当に、嬉しいですね。


これからも、宜しくお願いしますm(__)m


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