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左手で吸収したものを強化して右手で出す物語  作者: へたまろ
第3章:高等科編

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第1話:高等科の洗礼

 高等科になったら、儀礼的なものがある。

 上級生の貴族たちが、下級生の貴族たちを集めて校内における上下関係を教えるあれだ。

 と、それに便乗してクラブ活動の勧誘。

 まあ、早い話が派閥争いだ。


 今年の新入生争奪戦は激しいぞ、きっと。


「あっ、マルコ君は参加しなくていいから」

「えっ、あっ……はい」


 貴族科と各科の貴族の子達を迎えにきた先輩から、そんなこと言われた。


「その後のパーティまで、悪いんだけどサロンで時間を潰しててもらっていいかな」

「あー……はい」


 パーティって、もうクラブ勧誘とかも終わってるよね?

 もしかして、ハブられてる?

 と思えなくもないけど、パーティには誘われたから悪くは思われてないよな。

 思われてないはず。


 しかし……僕だけ不参加か。

 他は全員参加してるはず。


 ちょっと危険だけど、アシュリー連れてサロン行こうかな。

 今日だったら、絶対に誰もこないし。

 ふふ……


「マルコが行かないんなら、俺もいかんぞ」

「えっ?」


 セリシオ―!


「あの、殿下には是非挨拶をしていただきたかったのですが」

「マルコを俺の派閥に加えようと思ったんだがな」

「あっ、えっとそれはお譲りするんで」

「譲らないで先輩……」

「というよりも、ロイヤルファミリーの方たちには勧誘をしないようにしてますので」


 その設定いきてたんだ。

 初等科だけだと思ってた。

 あんまり浸透してなかったか……

 ディーンが笑顔を差し向けるだけで、コソコソ噂してた人達黙っちゃったし。


 女子は頬を染めて。

 男子は顔を青ざめて。


 高等科でも、ディーンスマイルが発動しそうだ。


「ふふ、面白そうな話ですね先輩」

「ディーン様」


 と思ったら、早速音もなく背後に忍び寄っていた。

 おおう、流石に先輩といえども侯爵家の子供には気をつかうのか。

 ん?

 この先輩は……


「ウェッジ・フォン・クルーズ。クルーズ男爵家、次男です」


 ありがとう、蜂さん。

 こっそりと教えてもらった。


「ロイヤルファミリーって、王族のことですよね?」

「えっ、あのみ……あっ、はい。そうです……」


 ディーンやめたげて。

 ウェッジ先輩の顔が青ざめているし。


「それとは別に、今年の貴族科はみんな殿下のご友人ですからね」

「はい、もともと貴族科同士ですと、ただの交流会ですのでご安心を」

 

 あー、貴族科同士の場合はオリエンテーション的なものになるのか。

 総合上級科は、貴族科の先輩方に対する礼儀を叩き込まれるみたいだけど。

 ちょっと物騒な言葉でいってみたけど、トラブルを起こさないための注意事項の説明。

 総合上級科同士でのもめ事はおろか、一般生徒相手のもめ事でも貴族科の生徒の派閥の子に手をだしたら問題が大きくなることがある。

 だから、先輩方の相関図的なものを。


 あとは、目印。

 派閥に所属している生徒は、ちょっとした目印を制服につけてくれてる。


「じゃあ、マルコは?」

「えっと……マルコ君はあまりそういったことに興味ないかなと」


 セリシオの言葉に、ウェッジ先輩が少しひるんでる。

 いや、やめたげて。

 僕は気にしてないから。

 というよりも、アシュリーを早く迎えにいかないと。


「では僕たちも参加しなくて良いですよね?」

「あの、クラブ活動とか……」

「マルコは?」

「あー……」

「良いから! 僕、サロンで時間潰してるから」


 ディーンの激しい追及に、ウェッジ先輩が徐々に壁に追い詰められていってる。

 慌てて間に入る。

 

「じゃあ、僕が付き合いましょう。殿下はどうぞいかれてください。あまり先輩を待たせるのも」

「ディーン?」

「ディーン!」

 

 思わず、セリシオとハモってしまった。

 こいつ、自分が逃げたかっただけじゃ。


 あー、せっかくのアシュリーをもてなすタイミングが。

 うーん、正直にいうとキラキラした世界を見せてあげたかった。


「それは軽率すぎますよ」


 ディーンにはバレバレだった。

 うんうん。


「新入生の行動じゃないですよ?」


 お互い様だけど、圧倒的に分が悪い。

 ごめんなさい。


 僕が変なことをしそうだったので、先手を打って止めてくれたのか。

 そして、それを出しに面倒なイベントから抜け出したかったと。


「まあ、マルコなら問題になりえないでしょうけどね」


 やめてくれ。

 僕は普通の子供だ。

 そして、ウェッジ先輩が意気消沈して、同じように落ち込んでいるクリスと出て行ってた。

 一部の貴族科の子と。


 エマ、ソフィアも免除されたらしい。


 ジョシュアは貴族同士の顔つなぎに意欲的だから、自主的に参加。

 ベントレーは……人間観察ね。

 ふふ……


 で、セリシオは?


「クリスにメッセージを渡して、送り出した」


 それは側仕えを売ったってことじゃ。


「そのための、側仕えでもある」


 もう良いや。

 諦めよう。


 廊下を歩いて、ウェッジ先輩たちとは別方向に。

 途中、他の先輩に連れられた貴族の子達を見かけたけど。

 みんな、道を譲って頭を下げてくれる。


 うーん、先輩後輩って……

 これから、そういったことを教えるためのレクリエーションじゃ。

 良いのかな?


 まあ、殿下は貴族じゃないけど、権力の最たるものだし。

 他は侯爵家と辺境伯家。

 伯爵家だけど、過去に聖女を輩出してる名家。


 僕はただの子爵家だよー。

 そっち側だよー。

 おじいさまが、侯爵家相当の名誉貴族だけど。

 おじいさまだけのことだからー。


 そっちに行きたいオーラを全開で。

 全員から目を背けられたけど。


 高等科貴族科サロンは……

 うん、入った瞬間に圧倒された。

 あまり利用するつもりはないけど。


 あそこは、仮眠スペースかな?

 寝椅子が並べてあったけど。

 ブルジョア。


 食堂あるのに、キッチンが3ヶ所。

 それぞれに料理人が。

 権力社会。

 運営費は100%、貴族科の親御さんの寄付。

 ふふ……


 うちも出してるのかな?

 

***

 次の日、廊下で先輩が道を譲ってくれた。 

 なんでかな?


「マルコ君のお陰で、今年の新入生は理解が早くて助かるよ」

「みな、上下関係がしっかりと叩き込まれてた。流石ベルモント」


 3年生の貴族科筆頭派閥の人達から、お礼を言われたけど。

 

「恐怖政治……」

「暴君……」


 その、後ろにいる派閥の子から不穏な言葉と、怯えた視線が……


 そうそう、昨日の新入生歓迎パーティはそれなりに楽しかったかな?

 

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