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左手で吸収したものを強化して右手で出す物語  作者: へたまろ
第2章:王都学園生活編

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第230話:ぽっちゃりマルコ

「うう……身体が重たい」


 すまんマルコ。

 冬休みに入って日中は普通にマルコが生活しているが、なんやかんやと魔王城や黒騎士の塔に入り浸ってしまった。

 つまり……マルコが普通に規則正しく3食と2回のおやつを食べているのに加えて、俺も魔王城や黒騎士のところでおやつや食事をもらっていたわけで。

 まあ、いうなればがっつりと夜食を食べ続けた結果、マルコがぽちゃぽちゃしてしまった。


 肉体的な疲労は、ダニーの達のお陰でほぼないのだが。

 これは……まあ、しばらくはダイエットかな?

 とはいえ、王都でもベルモントでも早朝訓練は続けていたわけで。

 筋肉もがっつりついたので、あとはこの筋肉を落とさずに脂肪を落とせばいいわけだ。


 せめて縦にもがっつり成長してくれてれば良かったのだが。

 言うてもせんのないことだ。

 訓練と筋トレは継続しつつ、摂取カロリーに気を付けつつ有酸素運動も取り込んでいこう。


「これはこれで、可愛いですね。マイケルそっくり」


 マリアは別に息子がぽちゃぽちゃしようが、関係ないみたいだった。

 マルコなら、なんでも可愛いのだろう。

 今年はフレイが言っていたが、王族の襲来がないのが救いだな。

 ちなみにマルコも俺に恨みがましいことを言いつつも、やる気満々だったりする。

 なんせ、アシュリーにお餅みたいと言われてしまっては、流石に傷ついたらしい。

 いや、アシュリーは別に乏したつもりはなさそうだったけど。

 男としてのプライドもあるのだろう。


「遅い」

「知ってます」


 マルコと剣を交えているマイケルから檄が飛ぶ。

 それに対して、がっくりと肩を落としつつ答えるマルコ。

 

「いや、そういう意味じゃ」

「これだけ丸くなったら、速度も落ちますよ」

「いや、剣速はむしろ上がってると思うぞ? 私がいうのは、反撃に対する反応の話でだな……」

「身体が重くて、振りぬいた剣を戻すのに違和感があるんですよ」

「そ……そうか」


 息子が太ったことを気にしている。

 そのことに気付きつつも、マイケルは普段通りに指導を行っていた。

 ただ、マイケルの想定外のところにも、マルコに対する地雷となる言葉が隠れているので彼も困ってしまっていた。

 アドバイスの言葉選びを間違えると、どうせ太りましたからとマルコが凹んでしまうのだ。

 探る探る言葉を選んでの指導。

 いつも以上に、苦戦している。


 まあマイケル自身、あの体形でどうやってあの俊敏な動きが出来るのかと思うような、そんなへんてこりんな生物だからな。

 マルコにも当然出来ると思ってしまうのだろう。

 我が息子だし。


 にしてもだ……早いとこ痩せないと、うじうじマルコが再発してしまいそうだ。

 

 結局3週間かけて、元の体重よりもちょっと2kgくらい増えた状態で落ち着いた。

 それでも、以前よりは全身が引き締まっているから、暴食ともいえる生活もあながち悪いことばかりではなかったようだ。

 魔王のところで、正体不明の肉を結構食べてたし。

 分岐鎖アミノ酸のBCAAが多量に含まれてそうな、良質な赤身だったな。


 マルコがダイエットを始めてからはラーハット領から送られてくる魚介の中でも、マグロに近いものは積極的に食べさせた。

 ロイシンを多く摂取するように意識した結果、筋肉を殆ど落とすことなく減量に成功できたのは良かったと思う。

 そういえば子供の時に筋肉をつけすぎると背が伸びなくなるという話も聞いたことあるが、実際はあまり関係ないらしい。

 そもそも、成長期の子供は大人程筋肉が付きやすくはないらしいし。

 確かにムキムキにはなっていない。

 無駄なお肉がなくなった結果、筋肉が目立った感じかな?

 まあ、力はついているからいいけどさ。


「良い感じ」


 マルコが鏡の前で上半身裸になっているのを見て、苦笑いしかできないけど。

 

「来月からアシュリーも王都暮らしだね」

「パパを説得するのが本当に大変だった……ていうか、パパも王都に引っ越すみたい」


 どうやら武器屋喫茶の2号店を王都に開くらしい。

 いや、武器屋喫茶あるんだけどね……

 アシュリーのパパのお店に感銘を受けた人が開いているけど。

 それも知ってるみたいだけど。


 元祖武器屋喫茶が王都に出来るのか。

 まあ、マルコ御用達だから、最近では外からも客がだいぶ来てたみたいだし。

 マスターは売上が増えたからといって贅沢をするようなタイプでもないので、だいぶ貯蓄がたまったのだろう。


「の割にはお店は片付いてないよね?」

「ここはこのままで、叔母さんの旦那さんが継ぐみたい」


 どうやらマスターの妹の旦那さんが、お店をそのまま引き継ぐみたいだ。

 もともとは冒険者だったみたいだけど、これを機に引退するらしい。

 お店を譲り受けたことより、旦那が冒険者を引退するきっかけをもらったことに叔母さんは感謝してたとか。

 兄妹揃ってストイックだな。

 ちなみに後任のマスターは目下、アシュリーのパパの元で修業中だ。

 武器の知識ではなく、料理とコーヒーとお茶の修行だけどね。

 そこは叔母さんに任せればいいのではと思ったが、それだと暇になって冒険に出かけると危惧して叔母さんは家事をしつつ空いた時間に手伝う予定らしい。


 そのアシュリーの叔母さんだけど、マスターにあまり似てなかった。

 アシュリーの面影のある可愛らしい女性だ。

 その旦那さんは、冒険者ギルドで何度か見かけたことがある。

 マスターの義弟なら、もっと気軽に声を掛けてくれもよかったのだが。

 領主の息子だし、キアリーやジャッカスといった名の知れた冒険者と懇意にしているので、近寄りがたい存在だったと。

 もしかしなくても、ベルモントの冒険者ギルドでかなり注目されていたようだ。

 それもそうか。

 仮にそうでなくともベルモントだ。

 年を経るほどに、近寄りがたくなるのかもしれない。

 脳筋一家の跡取りだもんな。

 少しだけ、ベルモントのイメージアップに努めたくなるような話もいっぱい聞けたのは、良かったのだか悪かったのだか。


「せっかく寮で独り暮らしが出来ると思ったのに」

「うーん、でも家族は出来るだけ一緒にいた方が良いと思うよ」

「そりゃ寂しいけど、それとは別に独り暮らしって憧れるよね?」

「僕はおじさんと一緒の方が、安心かな」


 いや、女子寮と男子寮は敷地が離れてるし、なんの心配があるのやら。

 セキュリティーも特に女子寮は、かなりのものだと聞いている。

 あまり束縛が強いと、嫌われてもしらんぞ……とは言わない。

 なにごとも経験だ。


「それよりも今日はヒューイさんなんだね?」

「うん、トーマスはデートみたい」

「えっ?」


 アシュリー、それは流石に酷いと思うぞ?

 信じられないみたいな表情をしているが、ついにトーマスにも春が来たんだ。

 ジャッカスのお陰で。


 マルコと特に仲がいいジャッカスと、トーマスは自然と仲良しになっていってた。

 まあ、ジャッカスはマルコを崇拝しているので、トーマスとしても見てて気分が良いらしい。

 それを除いても、かなりの実力者でベルモントに関わるものとしては、十分合格だと。

 お前は何様だと言いたいが、なんだかんだ言ってもトーマスはベルモントの警護を預かる兵士なのだ。

 性格があれだけど、実力はかなりのものらしい。

 もはや若手ではなく、中堅くらいの職歴にはなってるし。


 トーマスが新しく入った人たちから、憧れの眼差しを受けて先輩扱いされてるのは違和感しかない。

 俺の中では、トーマスはトーマスなんだけどな。

 そして、後輩たちからそんな扱いを受けて、調子に乗るところまで含めてトーマスだった。


 若手から出会いがないと泣きつかれて、任せとけと胸を張っていたが……

 お前も昔は同じようなことを言ってただろうと。

 そのトーマスももちろん当てがなくて、ジャッカスに泣きついていたが。

 結局、ジャッカス主催の婚活パーティーで、トーマスは運命の出会いを果たしたわけだ。


 すなわち、トーマスの彼女は冒険者なのだ。

 若手の剣士の女性らしい。

トーマスよりも5つ年下で、Eランクの冒険者と……

 まあ、そのクラスの女性陣からすれば、ベルモント邸付きの兵士ってのは羨望の対象なのだろう。

 剣を扱う者からすれば、ベルモントってのは本当に名門なんだよね。

 道場開いてないけど。


 今回の休みはかなり実家を満喫できた。

 テトラともいっぱい一緒に過ごせたし、王都に戻る前にエマのところにお邪魔してから王都に戻る予定らしい。

 もちろんベントレーやジョシュアも、エマの領地で落ち合うことになっている。

 いつもマルコのところにお邪魔してたからと、今回はエマが皆をおもてなしてくれると。

 あまり期待はもてない……なんてことを言ったら、マルコにため息を吐かれた。

 マルコは色々と期待しているらしい。

 良いことも、悪いことも含めて。

 やはり、楽しみだけでなく不安もあるようだ。


 


 

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