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左手で吸収したものを強化して右手で出す物語  作者: へたまろ
第2章:王都学園生活編

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第199話:マハトールの優雅な一日

 私はマハトール。

 ただの子飼いの悪魔ですよ。


 おっと、お話の前に先に主に紅茶をお届けしないと。

 ちょっとでも遅れると、百足の大顎先輩に仕事を取られてしまいますので。


「ふむ、お前も飲んでいくか?」

「では、遠慮なく」


 紅茶をお届けするとありがたいことに、ご一緒させていただくことになりました。

 最近では、聖水で入れた紅茶も美味しく感じるようになっております。

 ただ、1つだけ解せないのは、主は普通の水……というよりも、富士山麓の水で入れた紅茶をお飲みになります。

 富士山麓が何かわかりませんが、名水とのこと。

 とても気になります。


「そうか、だったら今度この水で聖水を作ってやろう」


 斜め上のお言葉を頂きましたが、まあ普通の聖水よりは期待が持てそうです。

 なんでも霊験あらたかな山らしく、心身が浄化されるような……そんな素晴らしい雰囲気の山だとか。

 そうですか……そうですか……


 それが終わると主に送られて、今回の仕事場に向かいます。

 今回主が言いつかせられたのは、孤児院でのお仕事です。


 なんでも領主からの寄付金を着服するだけでは飽き足らず、子供たちに働かせてそのお金も巻き上げていると。

 なんともけしからん院長です。

 そうです! この孤児院の院長がそれを行っているというのですよ?

 信じられません。


 最近ではナチュラルに、物事の善悪が分かるようになってきたので。

 それも主が……


「もし害されているのが、クコやマコだと考えたら?」

「ふーむ……腹立たしいですね」

「その程度か……よしっ! クコやマコが何者かに害されたら、俺はどうなるだろう? 誰かに八つ当たりしつつ、そいつを消すかな?」

「理解しました……子供に害を成すものは、視界から私が消しましょう」


 絶対に八つ当たりの矛先は私だと……いや、そうとは限らないけど。

 会話の流れから、かなりの高確率だと思う。

 

 まあ、何はともあれ子供に危害を加える連中は、ギルティですね。

 おおう、蟻先輩や、蜂先輩の視線が突き刺さるように痛い。

 というか顎や針が物理的に突き刺さってます。


 まあ、私たちの邂逅は3年前。

 もう3年ととるか、まだ3年ととるか。


 えっ?

 まだ3年。

 全然反省が足りない?

 

 まだ3年だそうです。

 

 蟻先輩は厳しいことを言いますが、一番親身になって私のことを考えてくれるお人好しでもあります。

 ん? お蟻好しの方がいいかな?


 聖属性習得の手伝いから、普段のトレーニングの相手まですべて担当してくれてます。

 お陰で、物凄く強くなったんですよ私。

 それはもう、デーモンロードクラスくらいには……痛いです。

 

 大型の白蟻先輩に中足で押し倒され、前足を顔の横に突き立てられました。

 そしてこめかみを顎でゴリゴリとやられます。

 まあ、切断されてないところを見ると、かなり手加減はされているのでしょうが。


 白蟻先輩の私を見る目はかなり厳しいです。

 一度聖属性を無効化出来るようになって、調子にのって組み手を挑んだんですけどね。

 いつもの仕返しなんて考えてませんよ。

 純粋にどれだけ強くなったかなと。

 別に、聖属性さえ防げばただの蟻だろうなんて思ってませんよ。


「ふふふ、これからは先輩は私の後ろを歩いてきてくださいよ……何があっても、守って見せますから!」


 純粋な気持ちでした。

 驕ってたわけじゃありません。


「効きませんよ、今更その程度の光属性の攻撃なんて! お得意の聖属性で来てください! 受けきってみせます!」


 手をくいくいっと曲げて、挑発なんかしちゃったりも。


「ぐぇっ!」


 次の瞬間、思いっきり土属性魔法で拳大の石を鳩尾に叩き込まれました。


「ひえええええええええ!」


 さらに風属性魔法で体を切り刻まれながら上空に巻き上げられ……


「ぐがぼがぼごぼっ!」


 上空から大量の水とともに地面に打ち付けられ」


「あばばばばばばばばばば」


 電撃で感電させられ。


「あちいいいいいいいいいい!」


 焼かれました……


 ははは、マハトールうっかり。

 弱点属性の聖属性を克服しただけで、他の属性の魔法への耐性は普通のレッサーデーモンよりも上、デーモンくらいでした。


 さらに言えば膂力は言わずもがな、蟻先輩の装甲に傷など入れられるはずもなく。

 顎も足も凶器でしかないですし。

 なぜ、私は聖属性を無効化できるようになった程度で、調子に乗ってしまったのか。

 ふむ……


 あっ、蟻先輩今日も凛々しいですね。

 今回もお仕事ご一緒出来て、とても光栄です。


 本当にですね。

 一緒に仕事ができて、良かったです。

 一応人とコミュニケーションが取れる私を立ててくれますし。

 私よりも仕事も手も早いですし。

 強いですし。


「大丈夫怖くないですよ。あのお方にあったら、どんな悪人だろうとそれはもう聖人君子のように、生まれ変わるのです」

「ひいいい……私はいったい、何をされるんだ」


 昔のことを思い出していただけなのに、気が付いたらここの孤児院の院長の首根っこを掴んで地面を引きずってました。

 顔がボコボコですが、誰がやったのでしょうか。


「院長先生、どこに連れてくの?」

「シスター達もいなくなっちゃった」


 子供たちが不安そうですが、すぐに腰を曲げて微笑みかけます。


「大丈夫すぐに戻ってくるからね。そしたら、優しい院長先生になってるよ」

「やめろ、やめてくれーぐふっ」


 横でいい歳したおっさんがジタバタと鬱陶しかったので、ついぶん殴って黙らせてしまいました。


 白蟻先輩含め、蟻先輩方は建物の補強をしているようです。

 蟻本来のお仕事ですね。

 うーん……どうやって、こんな立派な壁を作ったりしてるのか不思議ですが。


 ああ、土魔法と火魔法と風魔法ですか。

 そうですか……

 あの、ここ色とかが……

 ああ、それも魔法。


 このガラス……魔法ですね。


 マサキ様は、蟻先輩方に何を求めていらっしゃるのか。

 いえ、別に悪口とかってわけじゃないです。

 違います、単なる疑問ですので、どうぞ作業をお続けください。


 えっ? 私ごときがマサキ様を理解したつもりで、あのお方の行動に疑問を持つこと自体が不敬?

 ……おっしゃる通りです。


 院長と一緒にマサキ様に回収してもらったら、ちょうどリザベルが神殿でつまみ食いをして土蜘蛛さんに怒られているところでした。

 あまり堪えた様子もなく、ふわふわと子供たちのところに行ってしまいましたが。


 と思ったら、戻ってきました。

 どうやら、マコちゃんに振られたようです。

 ざまーみろ。


「リザベルはなんで働かないのに、許されるのでしょうか……」

「ん? 僕は僕で、自発的に仕事してるから、こうやってここに居るときはのんびりしてるんだよ。指示待ち悪魔の君とは違うんだからさ」


 そうだったのか……

 時折消えると思ったら、何かしていたようです。

 それにしても、生意気な後輩です。

 他には、クロウニが居ますが……彼を相手に偉そうにするつもりもないですし、出来ません。

 彼は立派な御仁ですからね。

 人の視点でみたら。

 ちょっかいなんか出そうものなら……おっと、寒気が。


 ああ……早く、ちゃんとした後輩が欲しいです。

 いや、威張りたいとかじゃなくて。


 はい……

 そうですね、あとから来た後輩より弱いとかみっともないですもんね。

 訓練ですよね。

 ただ、戻ってきたばかりなの……何も体調が万全な時に事が起こるばかりじゃない?

 仕事の直後に問題が起こることも……

 

 はい……


 私はマハトール。

 最強のレッサーデーモン……

 いえ、違いますよ!

 レッサーデーモンの中で最強って意味ですから!


 だから、ちょっとカブトさんとか、ラダマンティスさんを呼ばなくていいです。

 呼ばなくていいってー!


 

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