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左手で吸収したものを強化して右手で出す物語  作者: へたまろ
第2章:王都学園生活編

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第141話:祭りの後

 ファーマさんに連れて帰って貰っている途中で、マサキと入れ替わってもらった。

 一応、気を失っていたフリをしていたのでおぶってもらっていたが。


「ふぁーあっとっと」

「おや、お目覚めですか?」

 

 我ながらわざとらしいと思いつつも、ファーマさんの背中で背伸びをして落ちそうになるフリを。

 普通に起きただけじゃ、芸がないと思って。

 少しだけローズの視線が痛い。


 ちなみに、結構の人が建物の窓や通りの角から覗いていたらしく、僕が解放されてスライム扮するマハトールが撃退されるとワッと周囲が湧いたらしい。

 そして、どこからともなく多くの市民の方々が。


 本当に、それこそ数十人規模で。

 ファーマさんは、領主の坊っちゃんを救った英雄として、もみくちゃにされていたけど。

 ついでに、僕も。


 ちなみにアシュリーの方はジャッカスが迎えに行って、武器屋喫茶に送ったらしい。


 ジャッカスといえば、ジャジャの森の顛末なんだけど。

 ライダ、レイダという2体の大蛇には逃げられてしまったと。

 代わりに、フルカスというデーモンロードは、総力をもってボコボコに。


 いや、本当に可哀想になるくらいに。

 虫達や、リザベル、ジャッカス、キアリーさん含め冒険者の方々に囲まれてそれこそ、華麗に空中を舞っていたらしい。


 今回の騒動でデーモンロードに襲い掛かる虫達を見て、ベルモントの守り神は虫説が信憑性増し増しになっている。


 もしかしたらそのうち、蟻饅頭や、蜘蛛饅頭なんて……

 あんこが無いし、饅頭もないからクッキーやパンかな?


 可愛くデフォルメした蜘蛛のパンとかなら……漢字は駄目だ。

 クモのパンとかなら……うん、字面も可愛らしいし流行るかも。


 ちなみにマハトールは、そそくさとその場から離れていた。

 というのも、マハトール曰く……


「ジャッカスさんからいまのうちにって言われまして。助かりました」


 とのことで、どうやらジャッカスにどさくさ紛れに退路を用意してもらったらしい。


 リザベルに関しては、さる高貴なお方と契約を結んでおりますなんて言ったりして。

 今回の窮地を予見して、私が派遣されましたが不要のようですね。

 この街の冒険者の方々は本当に素晴らしい! などなど、調子の良い事を言っていたらしい。


「あまり、目立つことを好まない方なので、余計な詮索は遠慮いただけると……ただ、いつだってこの()を見守っておられます」


 なんつったもんだから、これまた様々な憶測が。

 上手い事、躱したものだ。

 

 結果、リザベル=この国の重鎮の貴族の使い魔。

 礼儀正しく、人当たりの良い悪魔。

 悪魔にしては、なかなか分かる奴。

 実力の大半を隠していたが、本当の力はいかほどのものか。


 などと、かなり良い印象を残して去っていった。

 

 ちなみに、さる高貴な方の方は……

 あれほどの悪魔を操るこの国を見守っている方は、もしかして……

 剣鬼様の奥方様……

 そんなはずは……でも、あのお方ならもしかして。

 マルコ様のおばあさまであらせられますし。


 うん……唐突にエリーゼおばあさまが、話題に。

 まあ、良いか。


 反してマハトールはというと。


 あのクソ悪魔が、マルコ様のみならずフレイ殿下達まで。

 人を食ったような態度といい、このデーモンロード以上に腹立つわぁ!

 次に見掛けたら、ぶっ殺してやる!

 いや、探し出してぶっ殺してやる!

 ただ、割と腕は立つらしいぞ?

 うわぁ、それなのにあんなふざけた小物ぶってたのか?

 ムカつくわー……


 などなど、僕と殿下の誘拐犯の主犯格として槍玉に挙げられていた。

 マサキはどう思ってるか知らないけど、こんど美味しいものでごちそうしてあげよう。

 彼も良く頑張ってたし。


「良く無事で戻ってきましたわね」


 家に帰るなり、門の前で待ち構えていたお母様から、タックルを受ける。

 吹き飛ばされるかと思った矢先に両手を掴まれて、引き寄せられて抱きしめられる。

 色々と、身体中から変な音がしてるけど。


「まあ、俺は無事だと信じていたがな」


 お母様に抱きかかえられた状態で、近づいて来たお父様も頭を優しく撫でてくれる。

 思ったほど、心配はされていなかったらしい。


「この度は、誠に申し訳ありませんでした」


 ファーマさんが、可哀想になるくらいに恐縮している。

 本当に、申し訳ない。 

 これも、全部マサキのせいなのに。


「無事に戻って参りました! ファーマさんが、助けてくれました」

「マルコ様……呼び捨てで結構です」

「うーん、でもいまは命の恩人だからね」

「その……それが仕事ですし、そもそも一度敵の手に落ちた時点で、私は護衛失格です」


 堅い!

 堅いよ、ファーマさん!

 金剛石も真っ青な堅さだ。


「そうだな……マルコを攫われた時点で、お前はクビになっても仕方ない……が、悪魔からマルコを救った程の武人なら、雇い入れることに他の者も不満は無いだろう」

「え?」

「そうだ、マルコを攫われた時点でクビにしたことにしよう! で、マルコをたまたま通りがかったファーマさんという方が助けたと……お礼に、うちで雇い入れることに」

「無理がありすぎです。誰も納得しませんし、何より私が承服しかねます」


 お父様が、脳筋なりに考えだした妙案だったのに。

 バッサリだ。

 いや、僕も何言ってんのこのおじさんって感じだったけど。


 そこは、ファーマさんもベルモントの一員らしく、頭を筋肉で固めて笑いながら再雇用してもらえば良いのに。


「良いよ、僕が納得したから。ファーマさんにはこれからも、護衛を務めてもらうとして……ただ、ここに居る間は他の人にも手伝って貰って、休暇を作って訓練とかしたらどう?」


 取りあえず、これでクビにでもなったら僕の夢見が悪い。

 マサキは……自由に動けるようになることを、重視しそうだけど。


 ただ、取りあえず自由な時間を確保するために提案。


「いえ、こうなった以上、一時も離れる訳には」


 重いよ……

 堅いし、重いよ……


「ジャッカス先生やキアリー先生に頼むから、大丈夫だよ。それよりも、お父様と訓練とか魅力的じゃない?」

「マイケル様と?」

「それは、名案だな! 私も、父の部下のものなら訓練相手に不足は無いし」


 よしっ!

 お父様の方は釣れた。


「貴方達、いつまでも家の前に居ないで早く入りなさい」


 色々と盛り上がって居たら、そそくさと屋敷の中に入っていったお母様にせかされる。

 そしてその後ろには、マリーが笑顔で出迎えてくれていた。

 ヒューイさんや、トーマスにも無事を喜ばれ、その日は豪華な夕飯に。


――――――

「昨日は大変だったわね」

「私としたことが、不覚」

「一日無駄にしましたわ」


 次の日、謝罪も兼ねてフレイ殿下達を迎えにいったら、全然気にした様子は無かった。

 周囲の騎士達も、街で問題を起こして窮地に駈けつけられなかったことで、色々と負い目を感じているのか複雑な表情だ。


 まあ、それほどまでにマサキの言っていた、ノーフェイスという人物がやり手だったと。

 フワフワとした記憶しかないらしく一応アシュリーの事も覚えてはいるようだけど、偽物だったという話をすんなりと受け入れてくれた。


 この事に関しては、悪魔が扮した子供を見抜けなかった事で、騎士さん達がさらに身体を小さくしている。

 いやいや、本物だったんだけどね。

 申し訳ない。


 自分の為とはいえ、事実じゃないことで自身を責める騎士の方々を見ていたら、居た堪れない。

 でも、どうしようも出来ない。

 申し訳ない。


「まあ、忘れるのが一番ね……マルコ達にとっても、この人たちにとっても、私にとっても」


 フレイ殿下が、無かったことにしようとしている。

 でも、それが一番良い方法かもしれない。


「でも、忘れられない事が1つだけあるのよね」

「えっ?」

「私を助けてくれた、艶のある黒い髪に、吸い込まれそうな綺麗な漆黒の瞳を持つあの方は……どなただったんでしょう」


 ……

 えっ?

 いやいや、マサキは僕の身体で行動していたはずだし。


「顔はお面で隠れてたけど、とても頼もしくて……傍にいるだけで、安心感を与えてくれる温かな方だったわ。この街の冒険者の方かな?」

「いや、流石に黒い髪に黒い瞳なら、とても目立つので分からないはずは無いですが……東方の異国の方だとは思うのですが、この街で見たことは無いですね」

「ああ、言われてみれば東の大陸には、そういった特徴のある人も多いんだっけ? この国に観光か旅で来た方かな?」

「あはは……分かりませんが、見つけたら少し話を聞いてみますね」

「そうしてちょうだい。それよりも、今日はどこに連れて行ってくれるのかしら?」


 こんな状況でも、観光は続行するらしい。

 ケイも騎士の人達もビックリした表情を浮かべたあと、苦笑いしていたが。


 それにしても、まさかマサキの姿を見抜かれるとは。

 この王女様も、どこか普通じゃ無いのかな?


「ユリアは覚えているか?」

「いや、助けてくれた人までは……ただ、なんとなく優しそうな悪魔に、抱きかかえられていたのは覚えているけど」

「優しそう……か」


 マハトールの印象も、ユリアさんにとってはそう悪くないらしい。

 

 ちなみにアシュリーの方は昨日の記憶は無いらしくて、今日も普通に出勤しようとしていたとか。

 大事を取って、休みにしてあるけど。


 昨日の件は、本当に分からない。

 マスターも、普通にお迎えが来たから送り出したと。

 

 ところが、こちらから出したお迎えは、アシュリーが体調を崩したから今日は休むと報告を受けていたし。

 もしかしたら、記憶を弄られたのかもしれない。


 本当に、厄介な相手だった。

 まだ、終わって無いけど。


 とにかくこうしてなんとなく、ベルモントの要人誘拐未遂事件はうやむやになっていった。

 これで良いのかという部分はあるが。

 皆、記憶が不鮮明過ぎてどうにも出来ないと踏んだらしい。


 その後2日間ほど、フレイ殿下は普通に滞在してラーハットへと旅立っていった。


「帰りにもう1回よって、2泊ほどして王都に戻るから」


 不穏な言葉を残して。




今回の騒動は、これにて終了です♪

本当に次話から、しばらくほのぼのとした話を数話……場合によっては10話くらい続けられたらなと(/・ω・)/


それと、レビューを頂きました(((o(*゜▽゜*)o)))

とても、分かり易く……そして、当社比8割増しくらいで魅力を伝えてもらってます♪

ありがたやーm(__)m


これからも、是非お願いします(* ´艸`)


あっ、明日は7時投稿が難しいかもですが、当日中にはあげるように頑張ります(`・ω・´)b


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