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左手で吸収したものを強化して右手で出す物語  作者: へたまろ
第2章:王都学園生活編
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第127話:フレイ襲来

次話よりちゃんとした文量になると思います。

「今年もお世話になりますわ」

「はは、前回いらしたのも今年ですよね?」


 ……お父様。

 そういうことは、敢えて口にしちゃ駄目だ。


 そもそもフレイ殿下の発言したそれは、そういう意味なの?

 新学期ということを考えたら、いちおう前年度と本年度的な?

 いやまあ、フレイ殿下の事だから何も考えずに社交辞令的に言ってる気もしなくはないけど。


 すでに目がワクワクとしている。

 予め最低限行きたいところだけは、メモしてきている。


 武器屋喫茶、隠れ家的創作料理店、オセロ村。

 この3つだけ……


 他はこっちで考えないといけない。

 うん……

 というか、敢えて指定せずに僕が案内する場所を楽しみにしている様子。

 

 観光資源は割とあるけど、王族を連れて行くに相応しいかと考えると。

 いや、避暑地的な感じで考えてみた。


 湖のほとりでバーベキューや、高原でテニスとか?

 海水浴をしようにも、海は無いし。


 テニス……

 なんてものは、無い。

 というか、そもそもボールを使った競技自体が無い。

 

 弾むボールというのが、そもそも難しかったり。

 あらかじめ作っておいて良かった。


 テニスボールじゃないけど。

 ゴムボールだったり。


 ゴムの木っぽいものからラテックスの抽出に成功。

 いや、ゴムの木の皮を剥いで流れる樹液がゴムということは知っていた。

 マサキが……


 あれ?

 僕も知ってるはずなのに。


 ただ、ゴムにする方法が分からない。

 試行錯誤の末、濾過して乾燥させることでゴムっぽいものが出来る事が分かった。

 色々な方法を試して、ゴミや不純物を取る方法を検討。

 足掛け4年で、どうにかゴムシートの形成まで辿り着けたのだ。


 固めたゴムを伸ばして、重ねてさらに伸ばして……

 重ねたのを剥がせ……ない。

 引っ付いた。

 

 色々と考えた。

 間に紙を挟んでみた。

 紙がひっついた。

 ちくせう!


 これはマサキのセリフ。

 水魔法で皮膜を張る。

 完璧!


 いや、水魔法を使える人が居ないと出来ないし。


 油を塗る。

 良い感じ。

 油を取るのが大変だったけど。

 

 取りあえず、オリーブオイルを遣ったりと……

 食塩水から苛性ソーダを作って、植物性洗剤を作れば……

 苛性ソーダの作り方がそもそも分からない。

 

 電()分解だっけ?


 流石に学生時代に習ったとしても、すでに記憶の彼方に。

 

 仕方ないので薄めた油で、どうにか引っ付かないようにする薬剤っぽいものを作成。 

 油は高級品と……

 全力で止められ、結果として1枚ずつ木の板でプレス。


 個人的にはやっぱり重ねて潰した方が。

 なので、油の量産が先んじられる。


 脱線。

 

 その貴重なゴムを使って中が空洞の半球のゴム同士を合わせてボールの完成。

 完全に中身までゴムのものも。

 金型を使っての1つ1つ手作りの作業なので、ほぼ寸分の誤差も無い。

 前世なら100均で複数個入って売られていたようなクオリティのゴムボールに、これだけの手間暇。

 人件費だけでも、馬鹿にならない。

 

 量産化……はまだまだ、難しそうだ。


 貴重なゴムボール。

 ラケットは、簡単に出来た。

 ネット状にした糸を張ったラケット。

 正直、生糸だからそこまでの強度は無い……けど、まあこの時代に楽しむものとしては上等かと。


「えっと、そうだ! 新しい遊びを考えたので庭でやってみませんか?」

「ええ? 折角来たのだから、どこか観光に出かけたいですね」


 そうですね。

 ゴムボールを作る事に情熱を注いで、完成してハイになっていたが。

 彼女はうちの領地に観光に来たわけであって、うちに友達として遊びに来た訳ではないと。

 家でのおもてなしを考えてどうする。


 取りあえず、近場の山間の高原にテニスコートなるものを作らせよう。

 療養施設と一緒に。

 出来れば、天然温泉のあるところで。


 運要素がかなり強いので、敏腕の水魔法使いと火魔法使いを同時進行で探して貰おう。


「どうかした?」

「いえ、変な事を言ってしまってすみません」

「まあ、ベルモントの考える事だから、ちょっと興味は惹かれたが」


 おお。

 珍しく、クリスの兄のケイが助け船を出してくれた。


「でも、初日にやることじゃないわよね?」

「まっ、そうですね。そこはまだ、初等科2年生の子供です……これから、覚えて行けばいいかと」


 おもてなしの国出身としては、かなりカチンときた。

 これは、計画を根本から見直す必要がある。


 マサエモンの出番だ!

 後で相談しよう。

 まずは、今日を無難に乗り切らないと。


 その無難にというのが、とても困る。


「そういえば、フレイ殿下は冒険者とかは興味あったりしますか?」

「まあ……あるわね」


 僕の質問に、顎に指を当てて間を置いて……というか、溜めてからニヤリと笑う。

 まあ、これまでの彼女の様子を見てたら当然だよね。


 ケイもちょっとだけ、眉を上げて興味を示しているし。

 ユリアさんだけが、嫌そうな顔を一瞬浮かべていたけど。


「うちに出入りしている冒険者で、ジャッカスという者が居るのですが」

「ああ、最近噂になっているジャッカス様ですね」

「えっ?」


 フレイ殿下が何やら知っているような口ぶり。

 いやいや、冒険者をやることに興味があって、冒険者には興味が無いのかと。

 あっても、それなりに華のある冒険者とかかなって。


「驚異の救命依頼達成率100%の救命師(ライフセーバー)・ジャッカス……彼の噂は兼ねてから聞いてますよ? 年齢的にはそうでもないけど、登録してからほぼ最速でのA級冒険者昇格」


 あれっ?

 意外と華がある?


「どんな死角から不意打ちを行っても、確実に受けることから無死角(フルサイト)とも呼ばれていると」


 ……うん、十分に話題性はあった。


「その方が何か?」

「いえ……最近、初心者の館というクランを立ち上げて、冒険者体験が出来るみたいなのでどうかなと」

「殿下?」

「良いわね」


 僕が誘うと同時に、ユリアさんが眉を顰めて諫めようとしたけど即答だった。

 あー、これはユリアさんに対してやらかしたかも。


 なんで、そんな事に誘うのですかといった感じで視線で責められる。

 いやいや、冒険者体験といっても外に出る訳じゃないし。

 出ても、初心者用の森や平原までだし。


 それもうちの()達が常に哨戒しているからまず危険は無いし。

 ということは言えない。


「大丈夫ですよ。かの名高い救命師の方が付いてくださるのですから、ドラゴンが現れても平気ですよ」

「ですが……」


 流石にドラゴンが出てきたら、無理じゃないかな?

 それよりも、ユリアさんが嫌がってる理由がちょっと違うかな?

 

 ケイが耳打ちしてくる。

 暑いからあまり外で行動したくない?

 日焼けも気になる。

 汗でベタベタするのもやだ?


 面倒くさい女だった。

 いや、普通かな?

 でもアウトドアデートでこんな事を言われたら、正直萎える。

 そんなタイプの女性を、アウトドアに誘うなと言われたらそれまで。

 自分本位な男と逆に……


 あれっ?

 なんでそんな事を思ったんだろう。

 そうだ、マサキの時にそんな記憶があったっけ。

 

 ということで、早速初日の行動が決まった。

 初心者の館で、冒険者体験。

 

 勿論、ジャッカスにアポなんて取って無いけど。


「どうして、ジャッカスさんと知り合いなの?」

「彼が冒険者になる時に紹介状を書いたんだ。こっちに居る時に剣を習ってたりもしたし」

「なるほど……彼がベルモントの送り者で、冒険者ギルドの監視をしつつマルコが自身で見出した直属の配下という噂は本当だったみたいですね」

「なんですか、その噂は! というか、そんな話まで出回っているのですか?」


 知る人ぞ知る的な噂話だったらしい。

 ジャッカスの出鱈目な戦闘スキルと、僕の紹介状、それから僕が領地に居る間はよく一緒に行動していることから信憑性がちょっとずつ増えていたとか。


 フレイ殿下は、ほぼほぼそうじゃないかと疑っていたとか。

 失礼な。

 ほぼ、マサキの差し金だ。


 



ちょっと、実家に寄ったらご近所さんに捕まって駆け付けビール350ml缶4本……

多分、話が支離滅裂になりそうなので(;^_^A


感想返しも、出来れば今日しますがたぶん明日になるかと(/・ω・)/

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