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左手で吸収したものを強化して右手で出す物語  作者: へたまろ
第2章:王都学園生活編

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第125話:夏休み前の恒例いろいろ

1時間早く目が覚めたので、出勤前に書けるだけ書きました(;^_^A

もし、話がぶつ切りだったら……帰宅直後に力尽きたと思ってください(笑)

「マルコは俺に何か恨みでもあるのか?」

「どうしたの?」

「また、フレイ殿下がラーハットに来るって聞いたんだけど」


 夏休みの3日前、登校中にヘンリーがそんな事を言い出した。

 いや、別にそれ僕関係ないよね?


「なんで、そこで僕が出てくるの?」

「完全に、マルコがフレイ殿下と知り合いになったからだよな?」

「違うし、元々はセリシオのせいだと思うよ?」

「元はそうかもしれないが、何故おれんとこまで毎回来るんだよ! 前回、どれだけ酷い目にあったか!」

「へー」


 そういえば、こいつはフレイ殿下に「3」まで言わせたんだっけ?

 王女の顔も3度までと……


「1発で6カ所も殴られんだぞ!」

「それは凄い!」

「百叩きの刑とかって言ってたけど、実質6百叩きだからな!」


 まあ、でも本人的には100回のつもりなんだろうし。 

 というか、言わせなければ良いだけで。


「まあ、姉弟子だしね」

「えっ?」

「聞いてなかったの? フレイ殿下はおじいさまに師事してるんだよ?」

「どうりでか……ってことは、姉御って呼ばないと」

「また、叩かれるよ?」


 まあ、ヘンリーだからどうでも良いけどさ。

 それよりも、フレイ殿下の噂をしていたのが良くなかった。

 

「はーへは?」

「殿下!」


 不意に後ろから目を隠された。

 ただ、遅れてレイが殿下って叫んでしまったせいで色々と台無しだ。


「おはようございます、フレイ殿下!」

「おはようございます、姉御」

「姉御?」


 おいっ、ヘンリー!

 本当に、言いやがったこいつは!


 まあ、別に良いけどさ……

 ヘンリーが今更どうなろうが。

 ユリアさんが不思議そうな表情を浮かべている。


 それ以上に不思議そうな表情を浮かべてしまったのは、僕とヘンリーだろ。

 だって、目の前のフレイは……


「いや、流石に無い! 王族がパンを咥えながら登校は流石に無い!」

「ええ?」


 僕の指摘にフレイ殿下が口からパンを取り落とし……地を這うようなアッパーカットでそれを掴み取る。


「やっぱり、駄目か……」

「ほら、言ったでしょう! というか、帰ったら確実に叱られますよ」

「私達は止めましたからね」

「薄情者……」


 いやいや、何やら言い争っているけどさ。

 なんでパンなんか咥えて登校していたんだ?


「とある本に、パンを咥えて街の角でぶつかった相手が運命の人みたいな物語が載っていましてね」


 おっ……おぅ。

 それは、また乙女な……

 たしかに、「遅刻、遅刻!」とかって言いながらパンを咥えて走る姿は似合ってそうだけど。


「それは前提条件で、遅刻寸前で走っているというものが加わるのでは?」

「あら、マルコ詳しいわね。でも、遅刻寸前でぶつかってしまったら、遅刻確定ですわ」


 意外と真面目だ。

 いや、そうじゃない。

 食べ歩きは不真面目だと思う。


 何故、2人ともしっかりと注意しないのか?

 そう思ってレイとユリアさんの方を見るとプイッと目を逸らされた。

 レイの頬に最善を尽くした痕跡は見られた。

 セリシオよりも大変そうだ。


「あの、姉御?」

「どうしたの、ヘンリー?」


 そんなフレイ殿下に、ヘンリーがおずおずと声を掛ける。

 というか、姉御はスルーか。


 本当に王族か、この子? 

 影武者的に用意された、一般の子とかじゃないよな?


「この夏、我がラーハット領に来られると聞いたのですが」

「ええ、クルージングに釣りに、バーベキュー! それから、花火! 夏のラーハットは魅力がいっぱいと聞いたので」

「はいっ! そうなんです! ところで、どなたからそれを?」

「エマと、ソフィアよ? 2人ともとてもラーハットの事を褒めていたわ」

「是非、全身全霊をもってておもてなしいたします」


 急にキリッとした表情で、片膝を付いて決意を表すヘンリー。

 どうした?


 あれか?

 エマの紹介だからか?


 僕の時は、恨み言を言っていたくせに。

 本当にもう、友達辞めても良いんじゃないかな。


「それでは、また」

「ええ、ごきげんよう」


 それからパンを新たに口に咥えて歩き出したフレイ殿下を見送る。

 あのパンはいつまで、咥えておくつもりだろう……


 あっ……


 フレイ殿下が校門を曲がったあたりで、先生の怒鳴り声が聞こえた。

 それもそうか……

 あんなもん、咥えたまま学校に入ればそうなるか。


「せ……先生が運命の人?」

「何を言っているのだ、フレイ」


 というか先生にぶつかったのか……

 あと、それも違うと思う。


「ふふふ、エマがなぁ……あいつも、素直じゃないな」

「いや、ラーハット領に対する気持ちは素直なものだと思うよ」

「マルコ、世界が輝いて見えないか?」

「ごめんシビリアディアの一部の壁や道しか見えないし……輝いてない。それと世界を見ようと思ったら、空を飛ばないと」

「夢の無い奴だな」

「登校中に夢想する方がどうかと思うけど?」


 遠くに離れてしまったヘンリーが、遠い世界に旅立ってしまった。

 まあ良いや、放っておこう。


――――――

 そんなこんなで、夏休みまであっという間。

 うんうん、やっぱり居るのね。


「お帰りなさい! マルコ!」

「ただいま戻りました、お母さま」

「おかえりなさい、おにいさま」

「テトラ! ただいま! 会いたかったよ。大きくなったな」

「なんか、私の時と反応が違いますね」


 家に帰るとお母様と、なんと今回はテトラが居た。

 久しぶりにあったテトラはちょっと大きく見えた。


 今回の誕生会は、お父様が忙しくて王都に来られなかったので、お母さまだけだった。

 ちょっと寂しかったけど、代わりにお父様が僕の為に仔馬を買ったと聞かされた。

 うーん……馬か。

 正直要らないけど。


 それは言えないので、黙っておく。

 というか、騎士だしね。

 おじいさまは乗馬も、相当の腕だし。

 僕も、しっかりと乗りこなせるようにならないと、駄目だろう。


「今年は、フレイ殿下が来られるようですよ」

「あらっ、冬も行ってたんじゃないの? よほど気に入ったのね」


 おじいさま、おばあさま、お母様、テトラと食事を食べている時に夏休みの予定をチラリと話す。

 フレイ殿下がまた来ることを伝えると、おばあさまが少し笑っていた。

 何やら、思うところでもあるのだろうか?


「冬でも楽しめたみたいなので、夏のベルモントとラーハットも気になるとの事でした」

「そう、良い事ね。だったら、色々と準備しないとねマリアさん」

「うう……また、マルコとの貴重な時間が」


 お母様は恐らくフレイ殿下に付きっきりになるだろう僕の事を考えて、一緒に居る時間が減るとかってぼやいている。

 どうせ1週間も居ないのに。


「そういえば、今年はセリシオ殿下がおじいさまに集中的に訓練を付けて貰うとか?」

「ああ、殿下がわざわざ直接お願いに来てのう。ここまで積極的に教えを乞うたのは、エインズワース殿以来だな」


 エインズワース公爵……

 戦場でおじいさまに窮地を救って貰った、先王の従弟にあたる人だ。

 熱烈な剣鬼信者ともいえる。


「この夏の間に、殿下に抜かされてしまうかもな」

「いや、それは結構な事なんですけど、ヘンリーに付けたような訓練はやめてくださいね」

「……」


 おじいさまに、顔を背けられた。

 いやいや、あれは王族とかにやっちゃ駄目なやつだから。

 というか、これでセリシオまでオラオラ系になってしまったら、王様に子作りを頑張ってもらわないといけなくなるよ?


「おばあさま、しっかりとお願いしますね」

「なぜ、わしじゃなくてエリーゼに言うのだ?」

「おにいさまのともだちは、すごいひとばかりですね! あとおじいさま! ぼくもけんをならいたいです」

「テトラ……剣を振りたいなら、兄が教えてあげるよ」


 テトラがおじいさまのツボを刺激したので、すかさずフォローを入れる。


「何を、半人前の癖に偉そうに。テトラはわしに習いたいと言っておるぞ」

「孫に張り合うんじゃありません! それに、基礎を教えるならマルコの方が適任だとわたしも思いますよ」

「エリーゼ……」

「まあ、お義母様もマルコの才能に気付いてらしたのね」

「ええ……まあ、昨年の運動会の様子を見ていたらね」


 大運動能力テストで、僕が他の子よりもマシだということはおばあさまも知って貰えた。

 お陰で、多少の無茶も叱られるけど前ほど本気で怒られる事は減った。


 はあ……取りあえずおじいさまの訓練を本気でこなして、テトラがおじいさまに師事するのを少しでも遅らせないと。


「おにいさま! あしたからおねがいします」

「ああ、きっとテトラは僕よりも強くなるぞ! なんせ僕の弟だからな」

「ふふふ」

「ああ……天使が2人! だれか、有名な絵師を呼んできなさい」

「はっ」

「呼ばなくて、結構です」


 お母様の寝言が、あまりにも切羽詰まった様子だったので、控えていたメイドが退室しかけていた。

 おばあさまが、ぴしゃりとそれを止めるけど。


「お義母さま……」


 お母様は恨めしそうな視線を送っていた。

 というか、本気だったのか。


――――――

「よしっ、お前達なら今回は大丈夫だろう」


 目の前には、小さな蜂と小さな蟻が。 

 小さいけど、細工は流々。

 その数約1000匹ずつ。

 前回の教訓を活かして、ひたすら無力化に特化させている。


 合成素材は睡眠薬に、安眠枕、カモミール、ラベンダー、ゼラニウム、ベルガモット、エンジェルトランペットなどなど……

 この蜂や蟻に噛まれたら、間違いなく夢の世界に旅立てる上に……身体の指揮系統まで奪われる。

 これによって継戦能力を奪うだけでなく、一時的に配下に組み込めると。


 やり過ぎた感はある。

 が後悔はない。


 他には龍の骨や、玉鋼、フッ素に魔石をもろもろ。

 かなりの守備力まで誇る。

 

 加えてポーションや、聖水といったものも合成しておいた。

 かなり大きくなってしまったので、分裂できるスライムを合成。

 なんと、こいつらいまは2cm程度のサイズで1000匹ずつ居るが、合体したら最大で2m級にまで大きくなる。

 まあ2cm弱の蟻や蜂でもそこそこ大きいけど。


 今回はこいつらにフレイ殿下の護衛を依頼。

 そう、マルコじゃなくてフレイ殿下の専属護衛として作り出した。


 前回のような事故を起こさない為にも。


 勿論、今回の夏休み前の自由研究……合成はこれだけじゃない。

 他にも色々。

 

 皮の鎧にポーションを合成してみた。

 自動回復が付いた。


 うんうん……コスパ良すぎじゃね?


 冗談でショートソードにポーション。

 斬った相手が回復する、面白グッズに。


 うーん……訓練で使えないかな?


 いやいや、これは単純に暇潰しでやってみただけ。

 本番はこれから。


 魔王領に送る野菜の改良が、目的だ。


 まずはネギにショートソードを合成。

 ベースをネギにすることが重要。

 

 ショートソードをベースにすると、ショートソードを基軸にした何かになる。

 ネギ臭いショートソードとか。

 ネギみたいにふにゃふにゃのショートソードになる。


 ネギとショートソードを足した結果。

 気付かずに横を通り過ぎると、足が切れるネギが完成。


 よしっ、取りあえず10本に1本の割合で混ぜとくか。


 引き抜こうとうっかり握ったら、指が落ちそうだからポーションも合成しておこう。

 どっきりが目的で、怪我させることが目的じゃないからね。

 たぶん、奴らは頑丈だから切れないだろうけど。


 あと人が良いからキレないはず……


 ジャガイモにアルミホイルを合成。

 なんの意味があるかって?


 まあ銀色に輝く芋にはならなかったけど。

 食べたら分かる。


 アルミホイルって……噛んだら物凄く気持ち悪いよね?


 ただの悪戯です。

 てへっ。


 真面目なのも。


 ジャガイモデンプン、いわゆる片栗粉の作り方。

 簡単に。

 ジャガイモをすりおろす。

 水の中で布でくるんで裏ごし。

 沈殿させて水を入れ替えて、混ぜて沈殿。

 3~4回繰り返して、1時間放置。

 上澄みを全部捨てて、こそぎ取って広げて乾燥。

 そしたら、完成じゃがいも片栗粉。


 のジャガイモを改造。


 合成素材は、ターメリックにクミン、カルダモン、シナモン、クローブ、ローレル、オールスパイス、コリアンダーシード、ガーリック、トマト、チョコレート、ブラックペッパー、レッドペッパー……

 まあ、想像は容易いと思うが。

 知ってるスパイスを全部ぶちこんどいた。


 ローリエやフェンネル辺りは別になくても良いかなと思ってるけど。


 オールスパイスがあったら、ナツメグ、シナモン、クローブもいらないかな?

 まあ、いいや。


 出来上がったデンプン粉。

 うん、香ばしい香り。


 カレー粉です。


 素直にカレースパイスを作っても良いけど、これさえ作ってしまえば育てて収穫するだけでお手軽カレースパイスが入手できるし。

 種芋を残しておけば、どんどん増えていくし。

 畑のスペースも節約できるし。


 魔王の喜ぶ顔が目に浮かぶぜ。

 

 よしっ、10個に1個の割合でレッドペッパーの代わりに、ブートジョロキアを。

 いや、トリニダード・スコーピオン・ブッチ・Tの方が……


 トリニダード・スコーピオン・ブッチ・T


「私の戦闘力は、146万です」


 とか言ってる奴ね。

 146万スコヴィル。

 スコヴィルってのは、辛さ戦闘力といわれるあれ。


 カプサイシンを抽出すれば、生姜から辛みを抽出したショウガオールでも16万スコヴィルの辛さが確保できるらしい。

 タバスコが2500から、5000スコヴィルだからその辛さは……


 魔王の驚く顔が目に浮かぶぜ!


 でも間違って、じゃがバターにしようと普通に焼いたりしたら……

 軽い、バイオテロだ。


 先にミスリルさんで実験した方が良いかも。


 あー、野菜の改造は作った後の楽しみが多くて良いね。

 気が付いたら日が暮れてた。


 周りには変な野菜だらけ。

 とっとと、魔王領の家庭菜園にぶち込んでおこう。


――――――


 ちなみにマハトールはいまだに、俺からどんな罰を受けるのか怯えながら目を閉じて待っているらしい。

 リザベルが教えてくれた。


「ふーん……」

 

 取りあえず、放置しておこう。

 いつまで保つかな?


 

導入回ですね( ̄ー ̄)b

後半はなんか……あれです……

ちょっと、頭がおかしくなってたかもwww


これ書いてるやつ、頭大丈夫かと思われた方は下の方から是非評価お願いしますm(__)m

本日は評価が増えれば増える程、反省します(`・ω・´)b

嘘です!

調子に乗ります( ̄▽ ̄)b


これからも、宜しくお願いしますm(__)m

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