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左手で吸収したものを強化して右手で出す物語  作者: へたまろ
第2章:王都学園生活編
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第102話:フレイ来訪(前半)

話数被りを直していってる途中です……3話くらい被ってたので、修正したら2章も100話超えてた。

「それにしても、マルコは友達が多いのね」

「うむうむ、良い事だと思うぞ」


 1月10日頃、ようやく王都も落ち着いたのでベルモントへと帰って来た。

 大体1月5日頃から王都に来ていた人達が帰り始めるので、少し日数をずらした。


「この度は、宜しくお願いします」

「また来たぞ! マルコ」


 そして遅れて2週間後、フレイ御一行がやってきた。

 セリシオを引き連れて。


「あらやだ、可愛いこの子」

「フレイ殿下!」


 僕の影に隠れるように立っていた、アシュリーにフレイ殿下が抱き着く。


「きゃっ、姫様」


 アシュリーが目を白黒とさせている。

 うん、自由だ。


 長期休暇の間は、アシュリーがこうやってうちにメイド見習いとしてやってくることは、お母様の中で確定しているらしい。

 自分の好みの嫁にするためなのか、少しでも一緒に居られるようにとの配慮なのか……


「やっぱり、女の子って良いですわよね」

「そうね、こんな小さなメイドって普段見ませんから。うんうん、メイド見習いとして初等科の子を長期休暇の間雇うのはありかも」


 フレイ殿下がチビッ子メイドの魅力に取りつかれてしまったようだ。


 そしてこのフレイ殿下。

 割と、滅茶苦茶だった。


「あはははは、これ楽しい!」

「殿下! そんなに息を吹き込むと!」


 フレイ殿下吹いていたガラスがポスっという音がして、穴が開いて破裂する。

 今回は、溶けたガラスを少し膨らませて、色の違うガラスを巻いてさらに溶かしてと、模様付きのコップを作ることにした。


 13歳だから、セリシオやベントレー達よりも器用に作業できるかなと。

 途中ピンセットのようなもので気砲も入れて、アクセントも付ける。

 

「明日の朝には届きますよ」

「あっつーい! 水浴びしたい」

「ここは暑いから良いでしょうが、すぐに寒くなりますよ」


 炉の前にずっと居た為、フレイ殿下もケイもユリアさんも冬だというのに汗をかいていた。

 それと、ちょっと顔が煤けている。


 いまだ工房の中は熱気が籠っているから、フレイ殿下がそんな事を言い出す。

 いや、外は冬だから。


「さむーい! 暖かい物食べたい!」

「セリシオ……お姉さま、自由過ぎない?」

「……王城じゃ立派に王女をやってるんだ。セリシオ殿下と一緒に居る時や、王都から離れた時くらいは自由にさせてやってくれないか」


 セリシオの代わりに応えてくれたのは、ケイ。

 彼もラフな格好で、この旅行を楽しんでくれていた。


「次はなんだっけ?」

「えっと……宝石加工?」

「そうだったわ!」

「いや、流石に1日で全部は無理ですよ! もう日も高いですし普通に街を観光しましょうよ」


 そうこうしているうちに昼の3時くらいになったので、一度ホテルでお湯を浴びてから着替えてお茶を飲みに行くことになった。


「あら、お坊ちゃま」

「坊っちゃん」

「ここが、アシュリーの実家の武器屋喫茶です」

「ほへー」

「素敵なお店じゃない」

「良い匂いですわね」

「俺達の時は来なかったぞ?」


 武器屋喫茶に入ると、フレイより先にケイが反応する。

 壁に掛けられている武具を見て、胸を躍らせているようだ。


 そして、フレイも武器に興味があるのか、カウンターじゃなくて飾り棚に足が向いている。


「あら、このグローブ良いわね、殴り易そう」


 王女の言葉じゃない。

 そんな事を思いつつ、セリシオの方を見上げる。


「お前な……王族をこんな武器だらけのお店に連れてくるか普通?」

「大丈夫、貸し切りにしてもらうから。逆に変な輩が襲って来ても、こっちも武器取り放題だし」

「そうかもしれんが」

「僕もマスターも一通りの武器なら扱えるからね」

「こ……心強いな」

「また、街の中にうじゃうじゃと王都の兵隊さん扮する、なんちゃって通行人もいっぱい居るしね。店内にはファーマも、ローズも居るし」

  

 割と王族が来ると、王族が訪れたというステータスアップ以上に、こういった隠れ護衛の人達が落としてくれるお金で街が潤う。


 僕一人が我慢すれば、街が活性化するんだから我慢しよう。

 まあ、うちの人達も胃が痛い思いをしてるかもしれないけど。


 当然、いま武器屋喫茶の前には不自然な人数の通行人が集まっている訳で。

 裏口のある細い路地にも。


 もはや、初めてのお使いのカメラマンばりに隠す気が無いといっても、過言じゃない。

 それどころか、全員なんちゃって一般人だから、怪しい人が紛れ込んでも逆にこの護衛の人達の中に紛れて分からないんじゃ。


 あっ、大丈夫?

 皆お揃いの革の腕輪を、隠れないように身に着けている?


 いや、たまたま集まった色んな格好の人達が、皆お揃いの腕輪とか……

 怪しすぎる。


「へえ、これがチャクラムですか」

「ええ、癖が強くて扱いが難しいですし、まあ、余り使っている人は居ませんね」


 観賞用に変わった武具も置いてあるので、マスターとケイが盛り上がっている。

 セリシオはフレイ殿下の方をチラチラと見ている。

 そんな彼女はときおり、ゴツゴツとしたグローブやら、鉄板の張られたグローブを手に取って感触を確かめている。

 フレイ殿下がグローブを手に取る度に、露骨に嫌な表情を浮かべるセリシオ。

 たぶん、試し打ちとかされるのかな?


「美味しいですね」

「はい、マスターは喫茶店を開くのが若い時からの夢だったみたいで、趣味の武器集めも合わせて商売にしてますが、本業は喫茶店ですから」


 ユリアさんは武器には全く興味を示さず、紅茶を飲んで優雅に過ごしている。

 勿論、茶葉は最高級の物をマサキに用意して貰った。

 事前に王家の人を連れてくるからと、マスターに差し入れをしておいた。


「このクッキーは?」

「ああ、期間限定で手伝ってくれている彼女が、焼いてくれたものですよ」


 そう言ってマスターが、カウンターの奥でお皿を拭いている女性を指し示す。

 ベルモントからアシュリーの代わりに貸し出し中の、メイドの1人だ。

 趣味はお菓子作りというか、ベルモントに入ってからお菓子作りにはまったというか。


 お茶菓子を彼女が作りたいと強く申し出て、厨房で修行してまでその技術を得たのは……味見という名のつまみ食いが出来るからだ。

 本人から聞いた。


 出身は貧乏商家の3女で、本当に慎ましい生活を送っていたらしい。

 お菓子なんて食べられる訳もなくベルモントに仕えるようになった時に、シェフがクッキーの型を取って、残った生地で焼いた端切れクッキーを食べてから忘れられなくなったらしい。


 なんとしてもお菓子担当を勝ち取ろうとする彼女の妄執はすさましく、今じゃベルモントのシェフに引けをとらないお菓子作りの腕を持っているとか。

 なので、彼女が屋敷に居る時はティータイムのお菓子は、彼女が作る事が多い。

 

 いや、とっととお暇もらって、お菓子屋さんでも開けば良いのに。

 多少の援助はするってお母さまも言っているが、ベルモントで得た技術なので、ベルモント家の皆さんに喜んで貰いたいと頑として首を縦に振らない。


 たぶんだけど、安定を手放したくないんじゃないかな。


「ああ、ユリアだけ先にズルい」

「ふふふ、まだまだ一杯ありますから」


 グローブを一通り見て満足したのか、ふとカウンターに目を向けてユリアさんがクッキーを食べているのを見て、大声をあげてそっちに向かって行く。

 たぶん、ここだからこんだけ砕けているんだと思う。

 

 その手には爪が仕込まれた籠手が……

 ああ、なんか肉弾格闘系の姫様ってどっかで聞いた気が。

 城内に閉じ込めても、壁を蹴破って出て来そうだ。


 さてと、夕飯は各々で……


「今日はホテルじゃなくて、街で食べたい気分ね」

「フレイ殿下、流石にそれは……」

「大丈夫よ、お客さん全員がなんちゃって町人になるだけだし、お店も喜ぶんじゃない?」


 敢えて警備の人達の事をスルーしているのかと思ったけど、彼等も上手く利用するつもりらしい。

 あー……どうしよう。

 どっか、良いお店あったかな。

短くてすいません。

気力あるうちに書いて、途中で尽きたので布団に戻ります…c(-ω-*c[___]

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