第95話:最凶魔王蜂
「それでは、今日の授業はここまでです」
「疲れたー!」
「早く洗濯物を取り込まないと」
教壇で教科書をトントンと整える。
それから小さくない室内を見渡す。
管理者の空間にある、勉強部屋。
真っ白なボードに書かれた、解説付きの詩。
黒い布の塊……塊と呼ぶに相応しい物体でなぞるだけで全てが消える。
その様子を見て私の罪もこのようにサッと消すことが出来たらなと思っていると、ふとズボンの裾を引っ張る感覚が。
クコかな?
マコかな?
手を伸ばして頭を撫でる、ゴツゴツとした感触。
視線を落とすと、大きな黒い瞳を輝かせてこちらを見上げる……蟻。
「蟻様……」
大きな蟻だった。
主が呼んでいるとのこと。
ひくひくと小刻みに痙攣する右の頬をどうにか押さえて、蟻の後を追いかける。
「どうだ、ここでの、生活にはなれたか?」
「はい」
タブレットと呼ばれる神の遺物を操作しながら、こちらに声を掛けてくる男性。
22~3かと思っていたら、30に届きそうな年齢とのこと。
黒髪で黒い瞳に、平べったい顔。
自分達とは明らかに違う造形を持ったその顔も、最近では見慣れた。
「あっ……有難うございます」
そこにスッと差し出されるお茶。
ただお茶を乗せたお盆を持つ手がおかしい。
無数の節足で、慎重に揺らさないようにお盆を持ち上げているのはやや大振りな百足。
……巨大な百足ですが、この世界の虫達を見ていると、自分の中の虫のスケールが大きく塗り替えられた。
彼の名前は大顎様。
百足の……ただの百足らしいです。
主様曰く。
しかもこの方、さらに大きくなられるとか。
最大で成人男性3人分くらいの体高になるとか。
ふふふ……
ここは地獄でしょうか?
ただし、生活はすこぶる快適。
食事も美味く衛生管理もしっかりと行き届いており、残した者達に対して申し訳思うくらいに。
そうですね……さしずめ、地獄の楽園といったところでしょうか。
「どうした、ボーっとして?」
「あっ、すみません。思えば、ここに来て大分経つものだなと、思い出に浸っておりました」
「そうか?」
「ただ、全然ここの生活には慣れませんけどね」
正直快適過ぎて、居心地が悪い。
分を超えて贅沢な生活というのは、返って息苦しさを覚えてしまう。
外から子供達の笑い声が聞こえて来たので、視線を向ける。
神殿から外は丸見えになっていて、芝生が敷かれた土地をクコとマコが走り回っている。
その周囲を巨大な蜂様達が。
微笑ましそうに見えているのは、時折首を傾げつつ鎌を嘗めるラダマンティス様。
ふふふ……
どう見ても、絶望的な状況。
巨大な蜂に追いかけまわされて、巨大な蟷螂に見つめられる子供2人。
地獄絵図の中のどこかのワンシーンを切り取って来たような、酷く幻想的な風景。
それでいて芝生に降り注がれる日の光。
頬を撫でる優しい風。
散水が終わった芝生は、キラキラと光を反射して輝いている。
天国に地獄の使者が舞い降りる。
これを絵にしたら、そんなタイトルだろう。
思えばベニス領では、こんな風に景色を眺める余裕なんて無かったな。
いつも領民の顔色ばかりうかがっていた。
いや、御機嫌取りとかじゃなくて。
文字通り顔色。
体調が悪い者は居ないか、栄養不足の子供は居ないか。
そんな事を考えながら視察を行い、何度も食料配布のバランスを計算しなおし、どうにか綱渡りで1人の餓死者も出さずに乗り切った。
私の娘であるパドラが、学校で作ったという縁のお陰で。
娘のしたことは、マサキ様から一通り教えて貰った。
領地に戻って来た時に、時折苦しそうな表情を浮かべていた理由も分かった。
たまに泣きそうな顔で笑っているという表情を覗かしていたことは気になっていたが。
ただ、自分から話してくれたらなという思いで、深くは追及しなかった。
そして、王子誘拐失敗の知らせを受けた時……ようやく終われると思ってしまった。
正直、いっぱいいっぱいだった。
お金が無い事が、こんなにも辛いなどとは思いもしなかった。
いや、お金なんかいらない。
せめて、領民の皆が満足いく食事がとれるだけの食料があれば。
自ら山に入って、食べられる物を探したりした。
今まで食料として見られてこなかった草や、木の根など……
だが干ばつの中、豊かな水分を蓄えた植物など食えるもんじゃない。
えぐみ、渋みだけならともかく、毒まで持っているものばかり。
そんな中でスイカを見つけた時は、大はしゃぎでそれをもって近くの村に馬を走らせた。
その周りには、まだまだたくさんのスイカが実をつけていた。
何故、誰も発見しなかったのか。
そう思いつつも、皆の喜ぶ顔が見たくて従者と一緒に村に駆け込んだ。
そしてそこで知った、残酷な事実。
「スイカがあったぞ!」
そう言って手に持った果実を、見えるように高く掲げたら即座に近くに居た男性に腕を掴まれて、無理やり下ろさせられた。
「領主様、大変の御無礼申し訳ありません……ですがその実だけは、村の者に見せないでもらいたい」
「ん?」
鬼気迫る表情で心苦しそうな声で、話しかけてくる農民の男性。
もしかして、こやつは知っておって黙っておった?
だとしたら、独り占めするつもりだった?
それにしては茎が折れていたり、といった事も無かった。
まだ一つも収穫されていないような。
一部、鳥が啄んだような跡はあったが。
いや、万が一の非常食として隠しておいた可能性も。
村がどうしようもなく立ちいかなくなった場合に、収穫するつもり?
それまでに、実が熟れすぎて腐ってしまうだろう。
「それは毒の実です。ただ、あまりに美味しそうな見た目をしているので、毒と分かっていても食す者が後を絶たなくて……」
「なっ!」
「本当です……大人であればまだ命までは、ただ子供達が口にすれば間違いなく大事に至ります」
「今の弱った状態であれば、私達でも危険です」
いつの間にか集まった領民たちの言葉に打ちひしがれて館に戻ったのは、苦い思い出だ。
と百足様が差し出して下さった真っ赤な果肉を、はちきれんばかりに主張するスイカを食べながら思い出す。
「取りあえず、これから訓練か?」
「そうですね、何やらカブト様が新しい訓練を思いついたらしくて」
「そ……そうか。くれぐれも無理だけはするなよ」
「はい……」
私はクロウニ……領地を救うために愚かな事をして、死ぬはずだった男。
いまは、この地獄の楽園で第二の人生を始めたところだ。
次は間違えずに、皆を笑顔に出来るように。
――――――
蟻達に運ばれていくクロウニを見送ったあとで、タブレットに視線を落とす。
そこには魔王が牛たちと水路を作って居た。
水路は2本。
水を引き込むものと、排出するもの。
どちらが先に引けるか、競争を行っているらしい。
魔王……大人げない。
牛たちが人海戦術で1列に並んで一生懸命鍬を振るっている間に、何やら口ごもると地面に一直線に光が走って溝が出来ていた。
それをチラリと横目で見てあせる牛たち。
また何やらくちごもる魔王。
溝の底面と側面が一気に滑らかな、固い石のようになる。
「終わったぞ!」
「魔王様、早過ぎます!」
「ていうか、魔法ズルいです!」
「1対30なんだから、このくらいのハンデもらってもいいだろうに……」
「いや、魔王様に対するハンデがこの人数差なのですから、そこで魔王様がハンデもらっちゃ駄目でしょう?」
口々に文句を言う牛たちを手で黙らせる。
「鍬を振るっても変わらんよ、どれ貸してみろ」
魔王が手を差し出すと、牛の1人が手に持った鍬を渡す。
それを下から上に思いっきり振り上げる。
一直線に地面に亀裂が走る。
いや、鍬って振り下ろす道具だよね?
大丈夫かこのじじい。
そう思って眺めていたら、その鍬を地面にトンと軽く叩きつける。
ズバシャアッッッッッッッッッッ! って音が聞こえて来たような錯覚を覚える。
地面が一気に爆ぜて、亀裂に合わせて溝が出来る。
そしてようやく、鍬が振り下ろされる。
ここにきて、正しく振るわれる鍬に嫌な予感しかしない。
ズバァァァァァァッって音が聞こえて来た。
うん、気のせいじゃ無くて、聞こえた。
と同時に地面と壁面が衝撃に圧縮されて、陶器のようにツルツルと軽く光まで放っている。
おかしい……
俺の知ってる水路の作り方と違う。
「スキルも反則です」
「じゃが、効率的じゃ」
「身体能力のみで作物を育てた方が、美味しく食べられるっておっしゃったじゃないですか!」
「それは畑作業に関してであって、別に環境整備までは……」
「それを含めてでしょう!」
部下達からブーイングの嵐だ。
とはいえ、魔王は嬉しそうに笑っている。
一番最初に観察したときに見た、しかめっ面はなんだったのか。
「それでは、わしはあやつが待っておるで部屋に戻る」
「お……お疲れさまでした」
「お疲れ様です」
鍬を放り投げると、スタスタと魔王城に戻る魔王。
牛たちが可哀想な物を見る目で、その後ろ姿を眺めている。
「また、独り言タイムか……」
「ただ、独り言の後に色々とアイデアが浮かんでいる様子」
「最近夜中も独り言が聞こえることがあって、こないだ魔王様の部屋の前を通ってたら高笑いが聞こえて、思わずチビリそうになった」
「いよいよ、ヤバいのかもしれんな」
牛たちが心配そうにそんな会話をしているとは露知らず、漆黒の扉を開いて自室に入る魔王。
肩をポキポキとならして、腕を回しながら良い汗かいたみたいな行動してるけど……殆ど体力使って無いだろう。
魔法使って、鍬を3回振っただけで疲れるか。
「どうじゃ? なかなか見事な水路じゃろう!」
「まあ……確かに……」
「中央に銅を這わせておるから、そこに魔力で熱を流したら良いのじゃろう?」
「雪解け水じゃ冷たすぎて、作物に悪い影響を与え兼ねんからね」
「なるほど、でこれからどうすればいい?」
「ねえ? 最近聞いてばっかだよね? 少しは考えよ? 自分で考えよ?」
「はっはっは、わしが考えた事全て否定するくせに、どの口が。もう、心が折れてしまったわい」
魔王があまりに突拍子もないことばかり言うので、全部否定してたら考える事をやめてしまった。
いまは部下達が、どうやって楽しく農作業に関われるかということしか考えない。
農業に関する工夫は、殆ど俺任せだ。
それにしても、まさか魔王が話してみると、ここまで気さくなじいさんとは。
というか話を聞いてくれる相手は居ても、自ら話しかけてくる相手は居なかったらしい。
息子ですらも成人してからは、王と部下といった関係で業務の話しかしないとか。
こうやって対等に話が出来ることが、新鮮で心底楽しいらしい。
「そうだな、いま植えているのはジャガイモとトマトと白菜、それからキュウリだっけ?」
「そうそう、それとお主がくれた植物たちじゃ」
「おお、あれは良い感じに育ってるか?」
「うーむ……」
この間送った品種改良というか、合成改造を施した野菜達。
管理者の空間で育てるのも気がひけたので、押し付けた訳だけど。
「聖水味のトマトとか……ポーション味のトマトとか……鉄のように固いキュウリとか……黒い白菜とか……なんの嫌がらせかと思うたわい……正直ポーション味のトマトは良いのじゃが、こないだうっかり死霊軍団の団長が聖水味のトマトを口にしたときには、口から急に光を放ってびっくりしたわい」
「あれっ? 聖水味のトマト? ああ、こっちの悪魔用のトマトが混じってたか。悪い悪い」
「なんじゃ、わざとじゃなかったのか?」
野菜が好きなマハトールの為に、トマトの中に4個に1個くらいの割合で聖水と合成させたの混ぜてたの忘れてた。
最近じゃ、聖水入りの食べ物を普通に食べてるからな。
思わば成長したもんだ。
まだ、聖属性は使えないけど。
「てか、悪魔用に聖水入りのトマトとか、鬼か」
「いや、訓練用だよ。いま、聖属性を身に着けるって、張り切ってる悪魔がいるもんで」
「変な奴が、いるのじゃのう」
まあ、俺が出来るようにならないと殺すって言ったんだけどね。
そして、城の裏手にある第二魔王シークレットガーデンを眺める。
タブレットの向こうに、魔王が遠見の魔法で映像を映してくれているのをだ。
ちょっと見ずらいので、タブレットをピンチする……
何やら見慣れないアイコンが右下に現れる……
32V、42V、52V、60V、70V、100V、200V?
試しに60Vを押してみる。
おお!
タブレットの画面自体が滅茶苦茶デカくなった。
しかも、魔王の室内が広域で映っている。
へえ……意外とシンプルだ。
机や椅子も機能美を追求したような、今風のOAディスクっぽいし。
もっと骨やら牙やら、水晶とかいろいろなものがあると思っていた。
意外と壁の色はベージュと。
床は黒大理石。
天井は結構高い、そこまで華美じゃないシャンデリアというか燭台が吊るしてある。
とはいえ天井自体が光ってるので、ただの飾りと。
そして、この部屋唯一の調度品ぽい。
本棚も余計な装飾は何一つついていない。
しかも、綺麗に整理されている。
本とか読まないで飾るだけで、満足するタイプの人の本棚みたいだな。
もしかしてあれか?
どれか一冊引っ張ると、本棚がスライドして隠し扉が現れるとか?
「見ておるのか?」
部屋をキョロキョロと見渡していたら、突っ込まれた。
まあ、後で詳しく聞いてみよう。
いまは、魔王第二シークレットガーデン。
通称、マニデン!
今決めたけど。
「でこの裏畑じゃが、ここにはお主の作った変わった野菜を育てるという事でいいな?」
「……はい」
お披露目する前に、普通に裏畑で決定していたらしい。
あまりにスムーズに魔王が言うものだから、もう異論を挟む余地もなさそうだ。
「なんじゃ、何やら言いたそうじゃが」
「いや、裏畑ってなんか……あれだね」
これは、魔王を倒した後に解放される裏ステージ的な?
畑に足を踏み込むと地面に引きずり込まれて、裏ダンに。
そこに、真のラスボスが……
最近の流れからして、善神様にお願いしたらノリノリでやってくれそうだ。
「魔王より強い人が居そう」
「ふむ……わしは、ちょっとロマンを感じるが」
魔王も男の子って事だな。
秘密基地的な。
魔王によって結界が施されているこの場所では、ヘチマが一生懸命水を撒いている。
蛇の抜け殻と合成してみたら、蔦が蛇のように動くようになった。
あと、その先に生えたヘチマで水を吸い上げて、他のヘチマから水を撒く事が出来るとか。
他には……
いきなり地面から飛び出してくる竹。
鉄の槍と合成した結果、割と固い。
蛙の死体と合成したら、普段は地面に潜っていて上を害虫が横切ろうとすると、一気に茎をのばして突きさ……さらないけどね。
一応の監視役に蜂を2匹と、蟻を5匹置いているから。
害虫じゃなくて、管理者だし。
あとその程度で怪我をするほど、柔に作って無いし。
って、おおい!
蟻が凄い勢いで、上空に飛んでいった。
でもって空中で華麗に回転をしながら、巨大なカボチャの葉に着地。
ホッと安心したのも束の間。
他の虫達が一斉に拍手している。
ん?
ふと地面に目をやる。
蟻の1匹が大きな葉を背負って、地面の穴の開いた場所の前に立つ。
でもって、えいっと勢いよく穴に飛び込む。
カコーン!
という音を響かせて上空高くに打ち上げられる。
例の鉄の槍の竹で。
そして今度は空中で、前足と後ろ足を使って葉を広げる。
ヒラヒラとゆっくりと舞い降りてくる葉に対して、器用に体を捻って上下を入れ替えると葉の上に立って上手くバランスを取る。
そして、下に向かって手を振っている。
なになに?
イエーイ!
じゃない……
波乗りならぬ、風乗り?
ちょっと、楽しそうじゃないか。
魔王が呆れた様子で、それを眺めていた。
「本当にお主の周りには変な物ばかりじゃのう」
「あー……大丈夫、ちゃんとしたものもあるから」
「ふむ……にわかには信じがたいが」
フワリと地面に降り立った蟻が、丁寧にお辞儀をしている。
そして次は蜂の番と。
「……おいっ!」
立ち位置を間違えた蜂の羽に、竹が突き刺さって地面に引きずり込まれてった。
いや、別に引きずり込んで栄養にするタイプじゃないから、単純に地中に戻った竹の巻き添えを喰らった形だけど。
なかなか穴から出てこない。
少し心配になる。
やばいかなと思った時に、ひょいっと穴から蜂が頭を覗かせた。
照れくさそうに頭を掻いて、穴から出ようとして……
再度センサーに引っかかったのだろう。
スコーンと良い音をさせて、上空高くに打ち上げられてしまった。
穴の開いた羽のせいで、上手く飛べていない。
そして地面にポトリと着地。
俺が見ていたことを知っているからか、物凄く凹んでいた。
いや、それよりもちゃんと仕事しようか君たち?
ちゃんとしているらしい。
蜂の一匹が後ろをお尻で指し示す。
「魔王蜂……」
「えっ?」
「いや、蜂の魔物の中で最も強く、それでいて高い知性と、獰猛な気性を持つ超攻撃的な種族じゃ。魔物じゃから、当然虫とはそもそものスペックが違うのじゃが……」
真黒な体に前足に尖った鉤爪を3本ずつ持つ、巨大な蜂。
1m近くある。
顎も大きく、大人の男性も噛み千切りそうな凶悪さ。
触角か角か分からないような突起が頭にあり、羽は6対。
お尻の針は尻尾のように長く伸び、自由自在に動かせると。
ふーん……
そんな凶悪そうな蜂が、うちの子達に纏わりつかれている。
蟻がその蜂の大きな体の背中に乗ると、そのルシファービーが飛び上がって全身がこっちに良く見えるようにアピールしてくる。
そして、頭を深々と下げる。
……うん。
うん?
どうしたのあれ?
現地雇用した従業員?
物凄く強そうだけど?
ああ、さっきの蜂がワンパンで倒したと……
一針の間違い……じゃない。
文字通り出会い頭に口へ思いっきり前足を突っ込んで、後頭部を地面に叩きつけてやった?
あれっ?
蜂の戦い方ってそうだっけ?
顎とか、針とか……
フッ……使うまでも無い?
そうですか……
ちなみにルシファービー1匹でも、一応虫系魔物の中ではトップクラスの脅威度。
虫系魔族が好んで使い魔にするらしい。
これが1万匹規模の群れとなると、魔族でも2~30人は対処に必要となると……
人間だと……軍隊が出動するレベル?
一個大隊は最低でも必要?
なかなかやるじゃん。
そのルシファービーが目の前で、俺に媚を売っている。
後で回収して、改造するか。
「おぬし、あれを改造しようとしてないか?」
「えっ? ああ、取りあえずナデナデシテーって言えるようにしとこうかなと……」
「なんじゃそれは」
「悲鳴にモルスァも入れとかないと」
「……たまに、よくわからん改造を考え付くのう……」
さてと……畑の様子を見ないと。
 





