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いつもの巡回を始める。
小粒なやつらが一斉に離れていく。
このままくっついていたらロクなことがないと知ったに違いない。
ここに住み着いたころ、背中にしがみついていたが、走っただけで振り落とされていた。
そんなこともあって、くっついてくる奴はいなかった。
水飲み場を回ってから、出すものを出すところ、そしてこの森で一番高いところに至る。
遠くに海らしいものが見える。
日にあたってきらりきらりと光っている。
反対側に顔を向けると、小高い山々が連なっている。
天気がいい日のいつもの光景だ。
そのことを確認すると一気に降りる。
腹が減ったな。
いつもの木の実があるところに向かう。
その途中でいつもの様子と違うところ感じた。
少しばかり、木が倒されている。
臭いを嗅ぐ。
知らない臭いだ。
森の深いほうへと臭いのあとをつけていく。
少し行くと、水飲み場にでた。
朝に回ったときは何でもなかった。
その後にここに来たのだろう。
ならば近いか。
さらに臭いを追っていく。
ほどなくして前を行く殻持ちに追いついた。
ノロそうに見えて進む足は速かった。
同じくらいの体の大きさの殻持ちを、後ろから小突く。
振り返りもせず、足を速めて逃げ出そうとする。
追いつけないわけがない。
上からのしかかる。
確か、ひっくり返せば歩けなくなるはずなのを思い出す。
腹になっている辺りに足を差し込んでひっくり返しに行く。
短い脚をばたばたとさせている。
さて、ここから。
首だろうと思う辺りに食いつく。
肉がだぶついて届きにくい。
それだけに暴れる殻付き。
ぐっと食い込ませると食い破れずとも絞めることになったようだ。
しばらくすると動かなくなった。
よし。
そのうち、小粒なやつらがやってきて食い尽くすだろう。
腹の柔いところに食いつき、鼻先を潜らせていくと、固いものにぶつかる。
光る石。
これだけはだれにも譲れない、俺だけの獲物だ。
ガウッハウッ
かみ砕いて飲み込む。
身体の奥が熱くなっていく。
たまに来る奴ら。
オレと同じ匂いは感じるが、オレの獲物だ。
身体の火照りが落ち着くとまた歩きはじめる。
森のことは知っている。
そして迷い込んできた奴らを探し、光る石を食べる。
それがおれの暮らしだ。