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無くした記憶

作者: とろ

全てを忘れてしまった

友人も

親友も

家族も

大切なあの人も

全てが僕の記憶から無くなった

でも悲しくはなかった

もう忘れてしまったという記憶すら無くなったのかもしれない

僕はただ突っ立った

何をするためにここにいるのかも忘れてしまった

もう記憶の中には僕だけしかいないのかもしれない

すると僕のそばに誰かが近付いてくるような足音が聞こえてきた


どうせ覚えているはずがないと、僕は無視した

その人は僕の背中に抱きついてきた

まるで慰めてくれるかのような


僕の視界が歪んだ

涙だった

記憶を無くしても泣かなかったはずなのに今僕は泣いていた


僕は膝をついて泣いた

その人はまだ離れなかった

僕が泣き終わるまでずっと待ってくれた

何時間も男らしくなく泣いた僕をずっと背中に抱きついて冷たくなった背中をゆっくりと温めてくれた


僕を温めてくれた人の顔は見えなかったし、覚えてもいなかった

でもその温もりは僕の記憶の中に覚えている感じがした

ずっと昔にもしてくれたような優しい温かさ


僕以外を忘れてしまったこの記憶にうっすらと残っていた温かい記憶

もう忘れたくない

これだけは忘れたくない

君……

君との残っていた記憶

ありがとう

僕の中に残っていてくれて

ありがとう……これからも

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