第3話:平和への道のり
「なんなんだ、これ」
「え?」
さくさくと先を歩いていたルリエールは、数歩後ろを歩く俺の小さな呟きが聞こえたらしい。どうもレイヴンの所為で口が開き易くなっていることを少し恨む。立ち止まったルリエールは、振り返って案の定不思議そうな顔をしている。
「どうかされましたか?」
「ここらへん、こんな酷かったわけ?」
「え、っと。何が、でしょう?」
本気で困った顔をされて、やっぱり失敗したと思う。
「あー……いや、大したことじゃないんだけど」
「はい、何がでしょう?」
そうですかと前を向くかと思ったのに、促されてしまった。
「なんでこんな土が死んでるの」
「──土が、死んで、いる?」
きょとんとされると、なんか俺が間違っているような気がしてくる。農学をかじった程度の俺でも、と云うより誰もがわかるような土の死に具合だ。
「普段いったい、何食って生活してんの」
「昨晩は久しぶりにお肉もありましたが、本来はメジルと云う魚が主食です。食べ物は港から戴きますが……、それがどうかされましたか?」
説明する気も起こらなかったので、俺はかぶりを振った。レイヴンの道が道だから、という意味を俺はようやく理解した。
西国滞在の二日目、約束通り俺とルリエールは南へ下り、 天帝が作ってくださったと云う孤児院に向かっている。宿を空けて良いものかと思ったが、ルリエールは毎日通ってるらしく、平然と休みにしてしまった。西国の宿の需要など、こんなものなのか。この大陸の北側からの玄関は、変に突き出た2つの港からなる。ダグが毎朝通っている港は、その南側だ。そこから西に少し歩くとルリエールの宿、北西へ行くともう一つのでっぱりである港町で、南へ行くと孤児院となる。昨日歩いたのはある程度使用頻度の高い港から宿までの道のりで、外れたところを歩かなかった。
それがどうだ。一歩違う道に踏み込んだら、こんなにも荒れ果てた土。足を取られて歩き辛くまるで砂漠のようなのに、ルリエールは気にもしない。むしろ慣れたようにずんずん進むので、俺が足手まといなんじゃないかとすら思える。農作とか基本ないのだろうな、と結論づける。大地が死んでいる北国もあまりなかった。すぐに壊れてしまうから作らない、近くには海がある。下手に時間がかかる農作より、下手に土地を使ってしまう農作より、海で新鮮な食料を手に入れる方が早い。
いろいろ考えていると、足を止めたルリエールが不安そうに続ける。
「ビルさん、どうかさないました?」
「いや、歩くの遅くて悪い」
本気で不思議そうにしているので、敢えて突っ込まない。年下の女であるルリエールに五歩以上の遅れを取っている俺は、明らかに異国の人間だ。ここにはとけ込むことができない、外の世界の人間。また付け込まれる。しかしルリエールは、まるで気にした様子もなくにこりと笑う。
「慣れない道ですから、仕方がありません。港の周りは綺麗だったでしょう?」
綺麗だった。宿までの道のりは大したものでなく、ほとんど何もなかったが、ここまで驚くほど歩き難いことなんてなかった。まるで砂漠のようだ。
「孤児院はローキアに預けていた戦争孤児のために、天帝が作ってくださったものです。 院を作る余裕はあったものの、道の整備はまだ手がけられないのでしょうね」
ルリエールは云いながら、ちらと南西を見る。例のリヴァーシン神国のことを云っているのだろう。まだ敵である存在がある時点で、いつ壊されるかわからない不確かなものは作れない。この大陸の正史を正確に語れる人など一人も居ないと云う噂は事実かのように、きっと国なんて大したものではないような印象がつけられている中で、このクレアバール天帝が作り出した西の大帝国は相当な時代の変わり目なのかもしれない。
遥か西、山脈の麓に位置すると云うクレアバールの帝都パクスカリナに居る天帝を思う。
あまり詳しいことは知らないが、その壮大な夢に感服する。知り合いになれても友人にはなれないタイプだろう、俺にはそんな巨大な夢など持てない。
歩くのが遅い俺に合わせて、ルリエールはゆっくり歩き始めてくれた。申し訳ない気持ちになりながらも、それを口にするほど素直でもない。これだけの道を歩いて行くのは結構面倒だろうに、ルリエールは毎朝孤児院に行っていると云う。今日もかなり早く起きて作っていたのは、孤児院に持って行く昼食らしかった。これだけ品行方正な人としばらく付き合える自信などまるでないのだが、ルリエールは俺のいい加減さを咎めることもなく礼儀正しく優しい。似たような従兄が居るが、あいつらとはまた違うか。正直、苦手ではあるものの、嫌いにはなれない。ただ単に罪悪感を覚えるだけだ。
しかし俺がここをどんだけ気に食わなく思っても、実質出て行くこともできない。 どうせ西に居るのならさらに西に行きたいと思っていたが、現在西に行くのはあまり勧められることではないらしい。もう少しどうにか行けないかとあがくつもりだったが、この道を見ている限り、取り敢えずはこの西国の港町で大人しくしているしかないと諦めた。今のところ、西側の通行手段は徒歩、或いは馬しかない。乗馬は得意じゃないし、返せる保証がないから買うとなると、結構な金がかかるだろう。金は有り余ってるから問題ないが、自国の金だから換金するのがまた面倒くさい。
「大人しくしてろよ」
「わーってるよ」
俺の肩に居座るレイヴンが、俺の考えを見透かしたように口を挟む。この煩い鳥が居なければもう少し楽にできるだろうに、生憎と大人しくしていてくれなかった。
「ビルさん大丈夫ですか、荷物、やっぱり持ちますよ」
「いや、それは平気だから」
何人分だかわからない弁当を作り上げたルリエールは、それを一人で持って行こうとしていた。慌てて助けに入ったものの、ルリエールには日課だったらしく、平気な顔をして持っていた。助けに入るどころか、足手まといになっているのではないかと思うんだけど。
「情けねぇなー、ビル」
「煩い」
それは俺が今、一番感じていることだ。
「まあ、ルリ。面倒くさい客で本当に悪いんだけどさ、こいつ放って置くと無理するけど、あんま無理させないように見張って欲しいんだよ。憎たらしい性格で忘れそうになるけど病気持ちだから、無理してぶっ倒れることがよくあるんだ」
「え、そうなんですか?」
「あー、こいつの云うことはほとんど気にしなくて良いから」
──強がっちゃって。
煩ぇ。
案の定、ルリエールは不安そうな顔をして、俺の顔色を見て来る。いや、そんな顔されてもこっちが困る。顔色は元から悪いんだよ。悪かったな。
「大丈夫、なんですか。荷物はやっぱり……」
「重病人だったら、こんなふらふら出かけたりしねぇよ。大したことじゃない」
何かしゃべりたさそうなレイヴンの口を塞いで俺は先手を打つ。レイヴンがばたばたと騒いだが、生憎とこれ以上俺のことを話させるわけにはいかない。あまり目立ちすぎるのは良くないってわかっているだろうに、どうしてこう先に口が出るんだ。最近この莫迦な鳥が逆に、俺の寿命を縮めている気がするのは気のせいだろうか。
一悶着あったものの、どうにか孤児院まで辿り着いた。この砂地に突然こじんまりとした平屋が立っているから、結構目立つ。あまり広くはないものの、これだけ広大な土地が広がっているから遊び場所には困らないだろう。
「あ、ルリ姉ちゃんだ!」
外で遊んでいたらしい子どもたちが、ルリエールの姿に気付いて早速手を振る。
「おはよう、みんな」
ルリエールも慣れた様子で、飛び込んで来る子どもたちに混じる。俺はそれを、遠くから眺めやることしかできない。進んで子どもたちの中に入れるほど、明るい性格はしていない。いつもこうやって傍観していたいのだが、従兄の子どもはそうもいかない。俺が寝ているのすら邪魔をして、平気で部屋に上がって来る。俺が家に居たくない理由って、なんか本当に、小さなことだらけなんだけど。
「あ、船のお兄ちゃん!」
と、後ろから声がかかったのは、その時だった。振り返ると確かに船で会った子どもと、孤児院の人間だろうか、一人若い男が一緒に居る。町に買い出しにでも行った帰りなのか、荷物を大量に持っているのに、軽々と俺のところまで駆け寄って来る。
「まだ居たんだね、そっか、船、出なかったから」
「ああ、しばらく居る」
「船のお兄ちゃん、ルリ姉ちゃんのところに泊まってるの?」
「長いんだよ、その呼び方」
「だって、名前知らないもん。俺ティーガだよ」
「ビルで良い」
にこにこと無邪気に云われると、相手をしなければならない気持ちになるから不思議だ。ティーガの大声を聞きつけた子どもたちが、ルリエールから離れてなんだなんだと混ざって来る。いや、あの、ルリエール、わざわざ俺の説明とかしなくて良いんだけどさ。
「ビル兄ちゃんは何所から来たの?」
「東の方」
「東? 東って争いがまったくない、静かな大陸なんでしょう?」
「僕知ってるよ、ティディエリア大陸って、幸福の女神が居るんだよ!」
「えー、だったらリヴァーシン神国の女神様だってそうじゃない」
「違うよ、リヴァーシンの女神は戦の女神なんだよ」
幸福の女神なんて聞いたこともないけど、口を挟む間もなく、隣のレイヴンが目をつけられた。
「すっげー、鳥だよ、鳥。綺麗な白い鳥!」
「これ、ビル兄ちゃんの鳥?」
「あー、うん、一応俺の、鳥」
鳥だと答えるしかないだろう。レイヴンは不服そうな顔をしていたが、ここで口を開くのは流石にまずいと思ったらしい。黙ってくれているものの、視線が痛い。結局、形的には鳥なんだから鳥で良いじゃねぇか、と思うが俺の方も云えやしない。
「遊んで良いぞ、これで。煩いけど、聞き分けは良いから」
「うわー、本当? 良いの?」
飼い鳥なんてそんな珍しいもんでもないはずだけど、この感動の具合はなんだろう。レイヴンが相変わらず何か云いたそうな顔をしていたが、口の軽さに対する仕置きだ。たまには反省しろ。
しかし子どもらがレイヴンに触れる前に、ぱんぱんっと手の音が響いた。ティーガと一緒に来た、たぶん孤児院の男だ。騒いでいた子どもたちがぴたり、と止まる。
「ティーガ、先に荷物を片付けて来なさい。みんなも、手伝うんだよ。 ルリエールさんのお弁当も、御礼を云って中に運びなさい」
わらわらと群がるように話していた子どもたちが、 はーいと返事をしてルリエールに頭を下げると、一斉に中に入って行った。流石のお手並みだ。ティーガは後ろ髪引かれるように俺を振り返ったが、 終わったら遊ばせてやると云えば、満面の笑みで子どもたちの先頭を突っ切って行った。来たばかりだと云うのにすっかり馴染んでいる。
そんなに鳥が珍しいのか。俺は必要ないから、譲ってやりたいもんだ。
「ごめんなさい、ベルクスさん」
ルリエールが駆け寄ると、「ベルクスさん」はにこりと微笑んだ。
「いえ、とんでもない。いつもありがとうございます、ルリエールさん」
白々しいほどにさわやかな朝の挨拶、という感じだ。俺にはできない、貴族みたいなやり取りなのに、こいつら別に育ちが良いとかそういんじゃないんだよな。貴族同士は白々しくて本当に嘘だったりするけど、こいつらは本気で爽やか路線なんだろう。「ベルクスさん」の視線がこっちに向く。ひょろっとした優男だ。いかにも真面目で首席のような印象を受けるが、堅すぎず礼儀正しく人当たりも良い。見た目通りの奴なのだろう、俺を見てまた爽やかに微笑む。
「初めまして、ルリエールさんのところのお客さんですね。僕はここに住んでいますベルクス・ラッシュと申します」
「ビルで良い」
「子どもたちの質問は容赦ないですね、東からいらっしゃったのですか?」
「ここには北から書簡届ける仕事で来たんだけど、帰れなくなったから」
「ああ、そうですね。今、出航停止命令が出ていますから……」
本当に同情してくれている。良い奴なんだろうな。
「子どもの扱いに慣れていますね」
今の何所らへんがそう見えたのかさっぱりわからないが、まあ面倒なので否定はしない。
「まぁ、いっぱい居るから」
「ご兄姉弟妹が?」
「いや、従兄姉弟妹とその子ども合わせてうじゃうじゃと」
「そうだったんですか。ご兄姉弟妹は居るんですか?」
空かさずルリエールが突っ込んで来て、一瞬目の前が暗くなる。
「ビル」
小さくレイヴンに呼ばれて、ああと思う。
「まあ、妹が、居る。けど」
「にぎやかそうですねぇ」
案外簡単に話が逸れてくれたので、ほっとする。あんまり家族の話はしたくない。父母も妹も、俺にはないものを持っている人たち。どうにも苦手だ。のんびりした父母としっかりした妹。そしてやっぱり、のんびりしている俺。 どうしようもない家のような気がする。
「中に入りませんか、狭いところですが、良ければご一緒にどうぞ」
にっこりと笑って、ベルクスさん、──基いベルクスは孤児院へと促した。
・・・・・
散々子どもたちの相手をして、昼飯まで一緒になって食べてしまった。いつもは朝食を届けて子どもたちに声をかけて帰ると云うから、随分な長居をしてしまったことになる。思ったよりレイヴンが大人気だったのと、あれこれ話をせがまれたからだ。
朝っぱらから非常に疲れたが、ルリエールはご機嫌そうなので、まあ良いとしよう。世話になる代わりに、金以外に何かを返せたらそれで良い。レイヴンは散々いじり倒されて疲れたらしく、気分転換に飛んで来ると行ってしまった。おもちゃにされることは嫌いだが、子ども自身は嫌いではないから、素直に俺に怒れないのだろう。変なところで律儀な奴だな、と思う。
また途方もない道を歩いていると、ばあぁん、と音が響いて地面が揺らいだ。
「え……?」
「──天帝が動いているのですよ」
立ち止まったもののそれほど動揺していないルリエールは、平気な顔で云う。
「天帝?」
「残っているリヴァーシン神国を落とすために、動いていらっしゃるのです」
そう云えばそんなことを云っていたか。南西を見遣ると、確かに遠くで煙が上がっている。こんな距離でこんなものが見えるのか、と変な感心をしてしまう。この港の国を征圧するのは話し合いだったらしいことから、暴君ではないのだろう天帝がここまでするとは相当な手間だろう。
「ここ数日は、こういった脅し合いが続いていますね。だから出港停止になってしまって」
その所為なのか。早いところ征圧してやってくれ。俺のために。
その声が聞こえたように、ぱかぱかと馬の駆ける音が鳴り響く。へぇ、ここら辺に馬が居たのかと思ったが、その男が特別だったようだ。遠くから近付いて来るそれは、しっかりとした軍服に鎧を固めて、腰元には剣、甲冑はかぶっていないものの、どっからどう見ても、軍人にしか思えない。近付いて来た彼はルリエールの前に、ぴったりと砂埃も上げずに立ち止まった。
「ルリエール殿」
「ごきげんよう、デューグレイト将軍」
将軍でルリエールとは知り合いらしい。服装が服装でなければ、どちらかと云うと文官にも見える、優男顔だった。その顔が、ずいと容赦なく俺に向く。だろうな、とは思ったけど。
「そちらは?」
「昨日、こちらの港にいらっしゃいました宿のお客様ビルさんです」
「この大陸に、客……?」
明らかにいぶかしんでいる。軍の人間なら、怪しんで当然だろう。 しかし俺だって好きで居るわけではないから、別段困らない。
「六日前に頼まれ仕事で入国した。船が出ないから、出て行けない」
出たいが出て行けない、と云うのを強調する。あれこれ身元を調べられるのは面倒くさい。 と云ったところで調べられてしまうのだろうか、そうだとしたら、適当に名前を変えるしかない。どっちにしろ、聞き取れないのだから嘘ではないと云える。
しかし将軍はあっさりと頷いて、無用な取り調べを行わなかった。
「然様か、失礼した。我々の所為だ」
ありがたいことだけど、入国ってこんな簡単で良いものなのだろうか。 ろくに入国審査もしない俺の故郷に比べたら、船内で身元を調べられているからましだろうけど。
「私は天帝直轄騎士団団長指揮下の一隊将軍、ウィリアム・デューグレイト」
「ビルで良い」
流石に咎められるかと思ったものの、わかっているのか突っ込まれない。
「ビル殿は北国から来たのか」
「仕事で北国から、故郷は東の方」
今日この説明をしたのは何回目だろうと思いながらも、繰り返すように云う。流石に天帝の軍人に捕まったら面倒くさそうだから、ここはちゃんと答えるべきだろう。
「東? 東からわざわざ、かの地まで来たのか?」
「閑だからね」
呆れられる反応はいつものことだ。どうしてそんな平和な国から、 わざわざこんな戦地に来るのか。おまえは莫迦ではないか、ときっと思われている。
しかし将軍は驚いた後、わずかに微笑んだ。
「そうか、東の国は平和だと云うが、本当らしい」
「事実だ」
実際に平和かどうかはともかく、俺もなぜか断言してしまう。すると将軍が馬から降りて、すっと俺の前に立つ。思ったより背が高い。背が高いつもりで居た俺でも少しだけ見上げる形になる。
「我々は女神の存在を否定し、リヴァーシンの土地のものにも国に協力するよう要請したく思っている。セイルーン・クレイヴァ天帝は、クレアバール帝国は西国を落ち着かせる」
「確信か」
「迷いなく断言できる」
そんな断言できる主に仕えることができるのは、随分羨ましい話だと思う。自分にはできない。そんな忠誠心などない。何か一つに懸命になるものも持って居ない。
とにかく、俺には関係ない。仕える主もなく、ただ行く当てもない旅をしているだけだから。帰る場所はある。帰って来いと手招く場所は。だがそこに居ることを、誰もが望んでいるわけでもない。同情からそこに居ることを望まれるのはごめんだったし、あまり居たいとも思わない。
ダグは俺の家庭に何か問題があり帰りたくても帰れないとか、国を追われているとか、素晴らしく激しい過去を持っているように想像しているらしいが、 すみません、実のところ大した理由もまるでなく、ただ外に出たくて出ているだけです。 進学をせず外に出たのは、元々あの狭い国に居ることに堪えられず、また自分の生まれ出た枠の中から出たいと思っていただけのことで、大した志を持っているわけでもない。近所の裏の評判通り、単なる穀潰しの長男であると俺自身が思う。
恵まれた家庭に生まれて、恵まれた生活をして、ここまで来ただけのことだ。
「船がなるべく早く出るよう最善を尽くす、もうしばらく待っていただけないだろうか。何、リヴァーシン神国以外は天帝が治められた。港町復興ももうすぐでしょう」
自信満々に云われても、返せる言葉はない。
俺はただ、無言で頷いただけだった。