桑原七海①
おやおや、この青髪の青年と黒髪の少女が出会うらしい。
彼女達は………いや、これはまだ話さない方がいいだろう。
とにかく私の話を聞いておくれよ。
煙たい、苦しい、だけど今ちょっと耐えれば。
そう言ってミナ……桑原七海は朦朧とする意識の中を漂っていた。
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一酸化炭素中毒死。
一番手っ取り早い自殺方法かと思い、早速七海は実行していた。
学校の備品の七輪を持ち込んで炭を焼く。
「これで……もう、いろんなことに耐えなくていいんだ」
とか言っているが、今考えるとただの病み期だった。これは。
本当はあと少しで警報が鳴ることも知ってたし、死ぬ気なんかさらさらなかった。
………でも、警報は、鳴らなかった。
「あれ…………おかしい………!」
私もだんだん焦りが見えはじめてドアに駆け寄る。
だが自分で止めたテープは運悪く頑丈すぎて、どんなに暴れても無意味な事を物語っていた。
「なんで!?開かない!!!!!!」
しばらく叩いたりドアを揺らしたりして必死に脱出を試みたが、ただの悪足搔きに過ぎなかった。
だんだん意識が朦朧とし始めてあと残り少ない体力を振り絞って叫んだ。
「誰か………助けて………!!」
その時、テープでベトベトにしたドアから破壊音が聞こえた。薄れゆく意識の中音のした方を見る。
ドアの前には左目が真っ白な青い髪の少年が立っている。
逆光で顔はよく見えなかったが耳の付いたマントをしていた事は分かった。
助けに来た人の目を見た瞬間、安心感からか私は意識を手放したのだった。
**
「──ねぇ、───大、丈夫?ね、ぇ」
自分を案ずる声、そして視界の先には天井。
あまり覚醒していない頭で周りを観察した。
天井を見る。
学校の保健室の天井じゃあないみたいだ。
───保健室の天井じゃあない…………?
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
慌てて起き上がると、真っ青な髪に左目が白い青年が驚いた顔でこちらを見ていた。
その青い髪は空のように明るく、片方の目は闇を、もう片方は雪を纏っているようだった。
意識を手放す前にドアの前に立っていた青年だ。
「驚、かし、て、ごめん」
「い、いえ、こちらこそ、助けていただいて、ありがとうございます」
沈黙。
その沈黙を破ったのは青髪の青年だった。
「えっ、と、もう、遅い、か、ら、家ま、で送、る」
脊髄反射で私は答えた。
嫌だ、と。
「そっ、か」
アッサリと青年は了承した。
こちらの理由を聞かず、相談に乗るという重いこともせずただ、うん、と言ってくれた。
「なら、家、来、る?」
「は?!」
なんとも突拍子もない。家に来いと?
「で、も、今、日の、寝床、無、いで、しょ、桑原さ、ん」
「いや、そうだけどってなんで名前………?!」
「………そ、こ」
そう言って、青年が指さしたのは私の目だった。
訳も分からずにその場でオロオロしていると青年は先にスタスタ歩いていっていた。
その背中を急いで追いかけながら、取り敢えずお邪魔したら尋問だ、と心の中で呟いたのである。
それが、ユーヤと私の初めての出会いだった。
①って事は次にも続きます(真顔)
こんにちは、翔馬です!!!!!!
こんにちはって言っても読んでくれてる人がいればですが………。
いやはや、ナーバスなことは言いません!!!!!!(もう言ってる)
読んでくれてる方がおりましたらこれからもよろしくお願いします!!!!!!
では、また次回に!!!!!!