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93 ガメルとの戦い



 手にしたメイスを振りかざし、西方総督とやらが俺に襲いかかってくる。俺もまずは剣で相手をしてやることにした。


 さすがにご大層な肩書を持っているだけあり、ガメルのメイスさばきはなかなかのものだ。俺も初めの頃より剣の腕は上がっているはずなのだが、何とか流していくのが精いっぱいだ。


「ほう、なかなかやるではないか人間!」


「そいつはどうも」


 魔族の分際でなめやがって。余裕しゃくしゃくといった様子のガメルに、俺は内心で毒づく。


 まるでジャネットがハンマーで殴りかかってくるかのようだ。あのスピードでこの重さの攻撃を繰り出してくるのだ。並みの剣ならとうにへし折られていただろうな。


 息つく間もないガメルの乱撃に、さすがの俺も限界が近づいてくる。忍耐の限界を越えそうになり、俺はたまらず後方へと転移した。


「何だ今のは? 人間、おもしろい芸を見せるではないか」


 ニタリと笑い、ガメルが口の奥の鋭い牙を見せる。いい気になるのもそこまでだ。いいかげん腹が立ってきた俺は、そろそろ本気を出してやることにした。


「何、これからもっといいものを見せてやる」


「何だと?」


 ガメルがわずかに表情を動かす。俺は薄く笑うと、奴の後ろへと転移して一太刀くれてやった。


 俺が放った一撃はガメルの腕を胴体からおさらばさせるはずだったが、奴はとっさに身体をひねって回避しようとする。ちっ、この一撃に反応するか。


 俺の剣はガメルの腕を完全に捉えきることはできず、その三分の一ほどを切り裂くにとどまる。まあいい、これでもさっきのようにはメイスを振るえないだろう。


「うがあぁ!?」


 叫び声を上げ、ガメルが俺を憎々しげににらみつける。人間ごときがこのわしに傷を、とか何とか思っているのだろう。


「に、人間ごときが、このガメルに傷をつけるなど……」


「おいおい、本当にお前たちは思考にひねりがないな」


 ひとしきり冷笑を浴びせると、俺はガメルに忠告してやった。


「どうする? そんな腕ではもうメイスは振るえんぞ?」


「ちょこざいな! 貴様など、わしの魔法で灰も残らず消し飛ばしてくれる!」


 腕から煙を上げながら、ガメルが雄たけびを上げる。どうやら奴には再生能力があるようだが、それが追いつかないらしい。いや、むしろ傷口が拡大しているようにも見える。


 俺が手にしているのは、神様じいさんからもらった剣だからな。俺のステータスに「神の加護LV8」などと書かれているあたり、その辺のヘタな聖剣より強力なのかもしれない。


 傷が治らないのを不思議そうに気にしながら、ガメルが俺へと手を突き出してくる。魔法か。どれ、それじゃあれを試してみようか。


 ガメルの手にはどんどん魔力が集まっていく。この前のAクラスの奴よりかなりでかい魔力だ。まあ、本当にやばそうなら転移して避けるだけの話だがな。


「消え失せろ、人間!」


 咆哮と共に、ガメルの手から強大な魔力が放たれる。俺が跡形もなく消し飛ぶ様子を楽しむつもりだったのだろうが、その魔法が遮られる様に、ガメルが驚きの表情を見せる。


 やがてガメルの魔法が止まる。驚く奴の視線の先、俺の手には円形の盾が握られていた。


「ふむ、意外と防げるものだな」


「き、貴様、その盾は一体何だ……」


「ソレルノ教国に伝わる防魔の盾だそうだ。なかなかの魔力だったが、所詮はその程度ということだな」


「な、なめおって……。そんな盾を持ったところで、貴様ごときいくらでも……」


 そのセリフを言い切る前に、ガメルの右脚を鋼鉄の槍が貫いた。


「ぐおおおおおおおお!?」


「何だ、ただの槍でも通るのか。今までの連中と変わらんな」


 突如現れた槍に、何の対処もできないままガメルが苦悶する。虚空から突然時速200キロを超える速度の槍が飛び出してきたのだ。対処できる方がどうかしているのだがな。




 さて、待たせたな。これから俺が直々にお前をじっくりと料理してやる。楽しみにするがいい。



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