your teller 1
マイテラーの番外編ではありますが、
こちらは本編を読まなくてもお楽しみいただけます。
では、お楽しみください。
少し離れた誰もいない場所。
そこにいつも君はいる。
「おかえり。」
その言葉は、いつもの名文句。
それを聞くと改めて自覚する。
私が唯一、存在することを許された居場所。
・・・そんなこと言ったら、君はまた悲しい笑顔をするのかな。
「うん。」
ただいま、の変わりに私は笑顔でそう答えた。
晴れた空に、優しく吹き付けてくる風は、ようやく春の匂いが混じり始めていた。
…やっと…、冬が終わる。
「…今回は、どんな景色を見てきたの?」
「…んふふっ。とっても素敵な場所だったよ。」
「そうか。…聴かせてくれるかい?
・・・その、君の美しい物語を・・・。」
いいよ。
そうね…、
まず、これは彼らとの出逢いから始まるの。
…それは、
あなたが昔、私にくれた感情から出来上がる、優しい世界。
「…そう。それは、いい出逢いができたね。」
優しく笑う君の表情。
それが、それこそ私が一番美しく素敵だと思えるものなのに…。
「君にも、頼れる人ができたじゃない。」
そう。
解説なしに全てを読みきってしまうのも、君だけ。
「…でも、まだ信じきれずにいるんだ?
途中の「やっぱり…。」って彼に呟きそうになった言葉…。
それを口にしていれば、君はまだそこにいたかもしれない。」
「…そう。でも、それはね…」
「君のワガママじゃないよ。
そう。
それは…
君の、成長した証の言葉。」
君って本当は名探偵なんじゃない?
隠されたストーリーも、君にはお見通しなんだ。
「また、季節が来たら、描きに行けばいいさ。」
彼や彼らの事を…。
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