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ー女のワイヤーー

製造室で腕と脚を切り落とした事故から、

数週間経った。

これまで、事故当時の製造室内の調査や

事故生徒についての事情聴取などもあり、

立入が制限されていたのだが最近解除された。

ある日、男子高校生が製造室に入った。

消毒液のような臭いが立ち込めていた。

おそらく、血液の臭いが酷かったのだろう。

そんなことを思いながら中に入ると、

あの電車内で出会ったセーラー服の女が

立っていた。

話しかけようとするとー

「ねえ。なんで、ここに来たの?」

突然聞かれ、腰を抜かして後に倒れ込んだ。

もう一つ、聞かれる。

「ねえ。私を、怖いと思う?」

ふふふっ、と右手を顎元に添え、

微かに笑うその女。

そしてー、笑顔になる。

「ねえ。ありがとう。ここに来てくれて、

電車でも会って。私と一緒に、来てくれる?」

そして、手を差し伸べてきた。

男子高校生は何かを悟ったように、

目から光が無くなり、女の手に己の右手を

添える。

「ありがとう。来てくれるんだ。

私、とっても嬉しい。だって、こうやって

誘っても、誰ぁ〜れも来てくれないんだもん」

その女の目からも、光が消える。そして。

「じゃあ、行こう?」

その言葉とともに、ザシュッという音が鳴る。

男子高校生の右腕と右脚が、

切り落とされていた。

その近くには、どこかで見ただろうか。

鉄のワイヤーが血が付いて落ちていた。

男子高校生はその場に崩れ落ちる。

猛烈な痛みで、喋ることすらままならない。

女が口を開く。

「ねえ。ありがとう。

貴方が、私と一緒に来てくれた、

初めての人。

もっと、たくさん来てほしいね?」

男子高校生は、女が喋り終える前に、

死んでいた。

女は、男子高校生を見下ろす。

そして、製造室の扉を向いて、口を開く。

「次は、誰が来てくれるかな?」

ふふふっ、と微かに笑った。

女の手には、

鉄のワイヤーが強く握られていた。

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