オール漢字句
俳句にも様々な表記があり「ひらがな」や「カタカナ」、それに「記号」だって使われている句があります。平仮名は柔らかいイメージで、カタカナなら無機質なイメージ。読みだけでなく、文字としても見栄えも評価の1つになります。
そして、たまに見かけるのが漢字だけの句。俳句の中でも、さらに文字数が短くなり、文字の密度の濃さは目立ちます。全て漢字の句で、有名なのはこの二句ではないでしょうか。
奈良七重七堂伽藍八重桜 松尾芭蕉
山又山山桜又山桜 (やままたやまやまざくらまたやまざくら) 阿波野青畝
韻の話もありますが、松尾芭蕉の句は画数の多い漢字の中に混ざる「七」と「八」が際立って見えます。阿波野青畝の句は「山」の繰り返しの配置に、使わている漢字は季語の「桜」と「又」。画数の少ない「山」と「又」を使った遊びのようにも感じます。
知ってしまえば、真似したい! でも全てを真似するのは難しいので、まずは漢字を使った効果の「迫力」や「硬い」というイメージだけを真似してみました。
鉄工所産対魔王用案山子
季語:案山子
これも日曜朝の某俳句番組で佳作となった成功句です。普通の案山子ではなく、鉄骨で出来た案山子は魔王に対抗するためのもの。ファンタジーらしい発想が、全て漢字表記に上手く嵌まりました。漢字だけで詠んだ句としては、二句目なので十分に成功といるのではないでしょうか!
ちなみに、この時の私の本名句は「手はチェケラッチョ案山子も陽キャじゃなきゃ」です。韻をもりもりにして、「じゃなきゃ=jy(a)n(a)ky(a)」と締める。少し自信があった句でしたが……自分でも笑うしかなかったです。




