狙いは濁音だったのに?
双六じゃ十二進んだ辺りだろ
季語:双六
これも「渡り鳥」に続き、日曜朝の某俳句番組で佳作となったラッキーパンチが出た一句。
どこがラッキーパンチだったかが、分かりますか?
真面目に俳句を始めてから半年程経った頃なので、少し俳句の知識はありました。俳句では、「清らか」や「美しい」をイメージさせる句は、助詞の濁音を避けて句の響きを良くする。逆のイメージの場合は、逆に濁音を入れる。
今回の兼題は「双六」で、兼題に濁音が入っているのだから、濁音を利用してやろうという発想から生まれました。
中々上手くいかない・進まない。それでも双六の序盤戦で、サイコロの6の目が2回出れば追い付ける。マイナスイメージを利用して、敢えて濁点を多くの入れた句を考えました。
だから句の中に「じゃ」や「十二」・「進んだ」・「だろ」と濁点増し増しの句にしました。
ただ濁点の増し増しだけでは、無かったのです。もう1つ成功させた大きなポイントが、上五・中七・下五の接続にあったのです!
誰でも知っている句の「古池や蛙飛び込む水の音」と同じことが、この句でも起こっていました。
古池や 蛙飛び込む 水の音
上五の「や(ya)」と中七の「か(ka)」の「yaka」の接続、中七の「む(mu)」と下五の「み(mi)」の「mumi」の接続と、同じ母音や子音で接続すると、句の繋がりが自然になるテクニック。
上五の「じゃ(jya)」と中七の「じゅ(jyu)」の「jyajyu」の接続、中七の「だ(da)」と下五の「あ(a)」の「daa」の接続。意図せずに成立してしまった接続。句の流れがスムーズとなることで、句に勢いが出ました。
上手くいっていない双六だが、まだまだ諦めていない。句の雰囲気に嵌まってしまいました。
意図しないテクニックが重なるなんて、ラッキーパンチでしかないですね!




