おとぎ話
こうして悪い魔女は倒され、王国に平和を取り戻した青年は美しい姫と結婚をし、そうして二人はいつまでも平和に暮らしました。
物語ならばそう締め括られるような結末を城の中から眺めながら倒されたはずの「悪い魔女」はヒヒヒと不気味な笑い声をあげた。
その声を聞いて王さまはため息を吐くとその笑い声はどうにかならないのか、と苦言を呈する。しかし魔女は習い性になっちまったんだから仕方ないだろう、と答えた。
「それにしてもここまで上手くいくとは」
王さまは歓喜に沸く城下を見下ろしてそう呟く。魔女はまたヒヒと笑うと、それじゃあ料金の話だが、と切り出した。
魔女の言った料金を聞いて王さまは顔をしかめ、少し高すぎるんじゃないかと文句を言った。しかし魔女は澄ました顔で答える。
「払わないならそれで良いんだよ。その代わりに今回の結婚がすべて私に仕組まれたことだっていうことはバラさせてもらうけどね」
その言葉に王さまはため息を吐く。見目こそ麗しいが才覚に乏しいワガママな姫を結婚させるためにずいぶんと無駄な出費をしてしまった。
そんな王さまの気持ちなど知らずに、青年と姫は幸せそうな顔で国民に囲まれていた。
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