初めて話す
テツヤは顔を赤くして恥ずかしくてルミを直視できない。彼の心臓は早鐘のように打ち、手汗がじっとりと滲んでいた。彼はスマートフォンの画面を見つめたまま、何を言えばいいのか分からずにいた。
一方、ルミは少し戸惑いながらも、テツヤに向かって微笑んだ。彼女もこの奇妙な状況に緊張していたが、少しでも和らげようと努力していた。
「こんにちは、奥山さん。これ、ちょっと驚いたよね」
とルミが話しかけた。
テツヤはぎこちなく頷いた。
「うん、そうだね。政府がこんなことをするなんて、夢にも思わなかったよ。」
ルミは少し笑って、
「本当にね。でも、せっかくの機会だから、お互いを知るために努力してみようか?」
テツヤは深呼吸をして、少しリラックスしようと試みた。
「そうだね。半年間付き合わなきゃいけないなら、楽しく過ごせるように頑張ろう。」
ルミはその言葉を聞いて、安心した様子で頷いた。
「それじゃあ、まずはどこかでお茶でもしながら、お互いのことを話そうか?」
テツヤは再び頷き、二人は近くのカフェに向かうことにした。彼らはまだぎこちないが、少しずつ会話を重ねることで、次第に緊張がほぐれていくことを期待していた。
カフェに着いた二人は、窓際の席に座り、メニューを見ながら注文を決めた。ルミはホットチョコレートを、テツヤはアイスコーヒーを頼んだ。
「それで、奥山さんはどんな趣味があるの?」
とルミが問いかけた。
テツヤは一瞬考えた後、照れくさそうに答えた。
「えっと、ゲームとか、アニメを見るのが好きかな。ルミさんは?」
ルミは微笑んで、
「私もアニメは好きだよ。最近はまってるのは『君の名は。』かな。何度見ても泣いちゃうんだよね。」
テツヤは驚いた様子で、
「本当に?僕もその映画が大好きなんだ。特に音楽がいいよね。」
その共通点が見つかったことで、二人の会話は自然と弾み始めた。少しずつ、お互いのことを知り、理解し合うことで、半年間の付き合いがどのようなものになるのか、二人とも少しずつ期待と希望を抱き始めていた。