ご対面
「どうぞ。」
中から柔らかな声が聞こえた。テツヤはドアを開けて中に入った。
そこには、一人の女の子がキャンバスに向かって絵を描いていた。彼女は黒髪を一つにまとめ、真剣な表情で筆を動かしていた。
「柴田ルミさん?」
テツヤは少し緊張しながら尋ねた。
ルミは振り向いて、微笑んだ。
「はい、そうです。あなたが奥山テツヤさんですか?」
「そうです。」
テツヤはぎこちなく頷いた。
「あの、政府からのメッセージを受け取って・・・。」
「ええ、私も同じです。」
ルミは優しく笑った。
「でも、心配しないでください。半年間、一緒に過ごすことになったけれど、無理に何かを変える必要はありません。お互いに自然体でいましょう。」
その言葉に、テツヤは少し安心した。
「ありがとう。正直、どうしていいかわからなかったから。」
「大丈夫です。これから少しずつ、お互いのことを知っていきましょう。」
ルミは再び筆を取り、絵に向かった。
テツヤは彼女の隣に座り、その絵を見つめた。彼女の絵には、彼が今まで見たことのない美しさがあった。これからの半年間、彼は彼女との時間をどう過ごすのか、少し楽しみになってきた。